本誌記者 金多優
四合院の低炭素生活心得
南鑼鼓巷は北京市東城区の西部にあり、かつて元の大都の中心エリアだった。現代では南鑼鼓巷社区(コミュニティ)管轄下にある南鑼鼓巷とその周辺にある6本の胡同は、地域内全体が最も老北京四合院の特色を持つ建築で、比較的完全に旧市街の姿を残している。
昨年末の中国政府のCO2排出量削減公約と、それに続いたコペンハーゲンの気候変動大会を受けて、全国的な「省エネ・エコ祭り」が並々ならぬ賑やかさで繰り広げられている。古い歴史を持つ南鑼鼓巷にも、この「CO2削減旋風」が強く吹き込んでいる。
中国では民間用エネルギーは全国エネルギー消費総量のわずか10%にすぎず、国民全員が低炭素生活を送ることがすなわちCO2削減ではない、と折りにつけて強調する人がいる。しかし南鑼鼓巷では、居民委員会の委員も、平屋建ての集合住宅に住む一般住民も、低炭素への理解を最も素朴な行動で表している。彼らの見るところ、低炭素生活の意義は特別なものだ。それは、国がCO2削減の公約を実現しようとするのなら、最も基本的な任務は国民全員の意識を育てることだからだ。そしてこうした意識を育てるには、まさしく一人一人が身近な小さな事から始めることが必要なのである。
2010年の新年早々、南鑼鼓巷居民委員会は年度計画書を策定した。そのうち省エネとCO2削減の計画書は数ページの長さに及んだ。
南鑼鼓巷居民委員会副社区(コミュニティ)長の姫艶釗さんの紹介によると、同地区では毎年省エネ・CO2削減、グリーン外出等のテーマ活動を行っている。2010年の計画では、省エネ・CO2削減に関する部分に新たな内容が加わった。例えばグリーン家庭コンテスト。これは家庭の省エネ・CO2削減の総合コンテストで、省エネライト、節水蛇口等といった各種省エネ製品を家庭で使用している比率、植物を植えているか等について全面的に検証するものだ。
ゴミ処理はずっと老朽化した平屋建て住宅地区の大きな悩みの種だった。2010年、住民のゴミ投棄を減らすために、居民委員会は、住民が家で使わなくなった廃品を定期的に居民委員会に持っていくと日常生活用品と取り替えることができるという規定を作った。例えば、使用済み乾電池で省エネライトや節水蛇口と取り替えることができる。
台所ゴミについては、居民委員会で環境を担当する馬主任が現在交渉中という新たなプランを話してくれた。2009年12月17日、居民委員会と省エネ環境保護組織「自然之友」が協力してゴミ分別に関するシンポジウムを開いた際、北京西部郊外の「小さなロバ」農場と知り合いになった。この農場は主に100%天然無公害の農産物の栽培と飼育を行っており、コミュニティとの協力関係を築くことを検討していた。さしあたっての構想としては、今年南鑼鼓巷の一部家庭に小型台所ゴミ発酵装置を無償で据え付け、住民にゴミの発生源での台所ゴミ分別処理を奨励するというものがある。処理後の台所ゴミは「小さなロバ」農場が定期的に回収し、グリーンな肥料・飼料として利用する。その見返りとして、農場は肥料や飼料を提供した家庭にオーガニック野菜を届け、こうすることで生態微循環が実現する。
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