本誌記者 王文捷
コペンハーゲン気候変動大会が騒ぎと失望の中で幕を閉じようとも、「低炭素」という概念が 2010年を席巻し、世界が注目し討議する重要な話題になるだろうということは否定できない。「大口汚染源」のレッテルを貼られた中国紡績・アパレル業が直面する排出量削減の任務は並大抵のものではない。
「ある程度の意味において、生産効率の向上は同じ時間内でのCO2排出量の削減を意味する」と、聯邦三禾紡績貿易有限公司の王栄華副総経理は記者に語った。「この十年、中国紡績市場の競争は日増しに激しくなり、ますます多くの企業が科学技術への投入を増やし、製品構造を調整し、業界全体の競争力が絶えず強化されてきた。価格の高い省エネ・排出量削減技術を前にして、私たちもかつて躊躇した。でも今考えると、ハイテク設備を使用し始めたことは間違いなく正しかった。」
福建省石獅市にある聯邦三禾紡績貿易有限公司は 1997年の創業で、中高級カジュアル衣料生地の研究開発、生産、販売に専門に従事する大型総合企業である。2008年 8月、製品染めプロジェクトの完成に伴い、聯邦三禾は自主研究開発と技術アップグレードという発展路線を堅持し、国の低炭素エネルギー技術に積極的に呼応、今現在で世界最先端の高級製品染め用染色機を計22台導入し、年間生産能力は800万枚である。
「新設備一台の寿命は8~10年で、販売価格は約180万元。価格は国内の一般設備の20倍に相当するが、長い目で見れば、この投資には絶対にそれだけの価値がある。機械一台あたりで毎年節約できる運営コストが59万元にものぼるからだ。」王栄華氏は言う。
低浴比(浸染時の染色液体積と織物重量との比率)技術は新設備の一大ポイントだ。王氏の紹介によると、新設備の浴比は一般設備のわずか4分の一で、省エネ・排出量削減効果が顕著であり、一台あたり毎年 3万トン節水でき、蒸気換算標準石炭318トンを節約できる。同時に、汚水処理コストもこれに応じて減り、設備一台あたりで毎年9万元の節約が可能だ。
このほか、新設備の高自動化と高安定性は生産効率を大きく向上した。すべての工程はコンピューターで制御され、精確に作動し、染色ロット差の問題を最小限にまで減らし、製品染色の一致性を確保した。(純綿メリヤスは機械織物のように連続的な染色を実現できず、その染色工程は通常間歇式、すなわち一ロットずつ生産される。それによるロット間の色の差がすなわちロット差である。)
「一つの製品を完成させるのにだいたい200の操作工程が必要で、大変複雑だった。新設備の高自動化によりこうしたゲージR&R(繰り返し精度と再生産性)が安定し、製品修正率が減少した。通常の状況下では、一般設備の修正率は15~20%の間だが、新設備の修正率は100分の1以下に抑えられ、10~15%のエネルギー節約に相当する。これに応じて、CO2排出量も低下した」と、王栄華氏は説明した。
聞くところでは、紡績工業のエネルギー消費、水消費、廃水排出量はそれぞれ全国工業のエネルギー消費総量、水消費総量、廃水排出総量の 4.4%、8.5%、10%を占めるという。一方でプリントと化繊は、紡績業のうち省エネ・排出量削減の重点業界として、毎年の廃水排出量だけで 26億トンを超えている。
12月中旬、聯邦三禾は国の紡績製品開発貢献賞を受賞した。「省エネ・排出量削減は国ひいては世界の人々にかかわる大事だ。多くの企業と同様に、聯邦三禾は温家宝総理がコペンハーゲンで行った呼びかけに積極的に呼応し、低炭素経済発展のために自らの力を捧げていく。」王栄華氏はこう述べている。
「北京週報日本語版」2010年3月10日 |