2010年には中国のGDPが日本を抜くことは確実で、唯一残る疑問は、一体それが年初に前年度のGDPを公表する時か、年末に前年度のGDPデータの修正を行う時か、それともある四半期の時点で突然超過が分かるのかということにすぎない。
実際、この問題は目下日本の各大手メディアが盛んに論じる話題となっている。1979年にハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授が著した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が極めて深い印象を残したのかもしれない。日本はGDPでもうすぐ中国に追い抜かれようとしているこの時期に、『朝日新聞』に元旦から「ジャパン・アズ・No3 日中GDP逆転へ」という連載が載せられている。2010年に中国がGDPで日本を上回ることを日本メディアが少しも疑っていないことは明らかである。
GDPが著しく上昇している中国と、数年来GDPで上下に振れる不安定な日本を見れば、「逆転」は本来ならば道理に合っている。2009年、中国が達成しようとする成長率は8%で、実際の数字はより高い可能性がある。日本が発表した数字は、2009年の年間成長率が1.3%だった。2008年、経済総量から見て、日本のGDPは498兆円(約5兆ドル)、中国の総量は30兆元(約4.4兆ドル)で、両国の格差は0.6兆ドルしかなかったが、増加率の格差は6倍になった。しかも両国の現在の経済態勢は依然としてそれぞれの軌道を踏襲していくので、2010年に中国のGDPが日本を抜くことにはまったく懸念がない。
しかし、GDPの質を比べた場合、例えば一部の経済学者が使用し始めた「有効GDP」の概念から言えば、中国と日本の開きは引き離されることになる。いわゆる有効GDPとは、1つの国(地域)の人々が一定の期間に有した製品や労務の価値総量を指す。この指標では輸出入、浪費、病気、汚染、自然災害、交通事故などの要素は除外されている。実際、中国では重複建設、汚染の2項目のみを考慮しても、中国のGDPは大きく割引かれるのは間違いない。
もちろん、日本も進歩の過程をたどってきた。42年前の1968年に、日本のGNPは1428億ドルに達し、西ドイツを抜いて世界第2位になった。率直に言えば、当時の日本の世界第2位という位置はしっかりしないもので、随時西ドイツ、フランスに超えられる可能性があった。しかし、1968年以降、一連の企業技術革新を行い、自動車、日本の誇る新幹線、有名なソニーのトリニトロンブラウン管などはいずれも技術革新の成果であった。それだけでなく、日本はさらに産業構造の大調整を経験し、より重要なのは学術、思想の発展が経済と同時に進んだことだ。こうして日本は今日まで難なく世界第2位に位置してきた。42年後の今日、日本の経済規模はすでに1968年の35倍に相当している。
中国は量の面で日本を上回ったとはいえ、質の面で日本に追いつこうと思うなら、さらに努力をしなければならないかもしれない。実際、中国の変化の速さは想像を超えている。現在、中国のGDPは「有効な」増加へとシフトし始めている。
同時に、巨大な経済総量が13億の総人口で平均された後、中国の1人当たりのGDPはまだ日本の十分の一に足りないことを考慮すると、豊かさのレベルも日本とはまだ比較にならない。中国はようやく工業先進国のテーク・オフの段階まで進んだばかりで、今後、持続的に発展する道はまだかなり長く、発展の空間もとても大きい。だから、GDPの数値が日本を抜いたかどうかには大きな意義がなく、これから中国が安定かつ秩序立った社会発展状態に入ることのほうが更に価値がある。(陳 言)
「北京週報日本語版」2010年1月18日 |