様々なことが原因で、2006年以降、日本の対中国(製造業)直接投資は減少し、不安定な状態にある。2006年には29.6%減少し、2007年にはさらに22.0%減少、2008年にやっと1.7%のプラス成長に回復したが、金融危機の影響で2009年1-6月は前年同期比で6.1%減少した。
それと同時に、日本の対インド投資は対中投資を上回るようになった。日本財務省の統計データによると、2008年、日本の対中(全産業)投資は前年同期比3.2%減の6793億円で、対インド投資は4.2倍増の8090億円となった。ベトナム、マレーシア、タイなどへの投資も拡大している。
11月24日に北京で開かれた「第1回中日青年経済リーダー対話・中日企業家高峰フォーラム」で、中国社会科学院日本研究所の研究員、経済研究室の主任、全国日本経済学会の秘書長である張季風氏は、こうした日本の対中投資の低迷について、周期的な低迷、運輸・機械業界への多額投資の消化、地価・人件費・税金の上昇などといった中国国内の投資環境の変化、日本企業がリスク分散を考慮するようになったことなどを原因として挙げた。しかし、これからのポスト金融危機時代に、日本の対中投資には新たなチャンスが潜んでいるとし、次のように指摘した。
日本企業の対中投資は、これまでは製造業が主だったが、現在は小売業、金融業及びその他の分野への投資も増えている。これは、中国が「世界の工場」であるとともに、巨大な「世界市場」となる潜在力もあるということを示している。日本の対中投資には、「製造業と非製造業並存」の投資構造が形成されつつある。ポスト金融危機時代、日本の対中投資を制約する要素は中にはなくなったり、弱まったりするものもあるが、逆に、プラス要因も増えており、低迷する日本の対中投資は、新たなスタート地点に立つ可能性が高い。
一、 中国の経済構造の調整。中国の経済成長のモデルは、粗放型から集約型に変わり、持続可能な発展へと転向している。こうした方針の下で、外資に対する要求はますます厳しくなっている。特に沿海地域では外資の導入がより慎重となり、高汚染、高エネルギー消費のプロジェクトは沿海地域への参入が難しい。その一方で、外商による投資の質が向上し、それに伴い投資リスクが縮小、新たな投資分野が現れ、日本の対中投資にチャンスをもたらしている。
二、 世界経済の回復。中日両国の経済協力の範囲は実は中日両国だけに止まらず、中国が日本から部品を輸入して組み立て、そして欧米などの地域に輸出するという構造が出来上がっている。ポスト金融危機時代の世界経済の回復は、中日経済協力、日本の対中投資に新たなチャンスをもたらすだろう。
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