金燦栄
(中国人民大学国際関係学院副院長)
1月20日にオバマ政権が誕生してから、中米関係は積極的かつ安定した発展傾向を見せている。両国の上層部の交流が頻繁になり、経済貿易関係が絶えず強まり、世界金融危機対応面での協力が順調に進み、その他の国際地域実務においても政策の協調に力が入れられた。全般的に言えば、オバマ米大統領の就任後、中米関係は幸先のよいスタートを切り、両国関係のさらなる発展のための基礎が固まった。
中米関係が幸先のよいスタートを切った理由
オバマ米大統領が就任して以来、中米関係は政権交代による政策変動の影響を回避することに成功している。その理由としては、主に次の点が挙げられる。
オバマ氏が大統領になる前に、中国側はそのブレーンと積極的にコンタクトを取った。政権を握って以降、双方の上層部は密接な接触を重ね、特に両国の首脳会談が行われた。これは両国関係の友好のシンボルであると同時に、中米関係の良好なスタートのために重要な貢献を果たした。
北京五輪開催後、中国の改革・開放の成果が次第に現れてきており、総合力は絶えず向上しつつある。建国記念大閲兵式は中国の強大な軍事力と国防力を見せつけた。中米両国の実力格差が縮まり、双方の平等な付き合いに向けて物質的前提条件が整った。
胡錦濤国家主席とオバマ米大統領は17日午後、人民大会堂で共同記者会見に臨んだ。
改革開放以来、中国は控えめで協力的な対外政策を基調としてきた。実力が向上したからと言って、中国の対外戦略の平和的な性格は変わっていない。平和的発展の道を歩み、調和のとれた世界を築き上げると主張することで、中国外交の平和、協力の原則がさらに明確になった。これによって米国の対中戦略の基調によりいっそう協力性が加わり、米国は中国を受け入れるようになっている。
金融危機の発生によって米国の金融市場の地位に深刻な打撃が与えられ、実体経済にまで影響が及んだ。米国経済の回復は中国の急速な成長と積極的な協力に依存しており、米国が中国に対して求める利益はそれに応じて多くなった。一方で中国政府の効果的な危機対応も米国が中国の力を評価するのに一役買った。
オバマ米大統領はその就任後、国家利益をよりうまく実現するため、ハードパワーとソフトパワーの総合的な活用を強調する「スマート・パワー」外交を積極的に推進している。「スマート・パワー」外交の具体例として重要なのがマルチパートナー関係の提唱である。中米関係の角度から見れば、パートナーシップの位置付けは中米がさらに実質的な協力の枠組みを作り上げることに役立つだろう。
政策の実行は政策ブレーンにかかっており、彼らの知識や嗜好、個性は国の政策選択を左右する重要な可変要素となっている。オバマ米大統領の政策ブレーンには、中国実務を熟知する外交のエリートが多くいる。彼らは中米関係の重要性と複雑さを深く認識し、中国に対して理性的かつ実務的な姿勢を取る傾向にある。
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