中国社会科学院世界経済・政治研究所の張宇燕所長は「今のところ、世界経済の全面的な回復力は依然として不足している。リバウンドと回復は違う概念だが、現在認められるのはリバウンドだ。リバウンドは技術的または反発性のものであり、必然的に回復することを意味するわけではない。だが、回復は周期的な概念だ」と見ている。
その理由について、張氏は、発達した経済体の失業率がなお高いものであるからだと指摘した。米国の失業率は来年また10%を上回ることが見込まれ、ユーロ地域も楽観視できない。深刻な失業率は消費に響くことになる。
張氏はまた次のように述べた。米国の世帯純資産はすでに最も多い時期の63兆ドルから40兆余りに下がったため、これほど大きな資産効果の変化は米国の消費に影響を及ぼすだろう。
これまでのところ、米国の金融システムが受けた損失はまだすっかり表に現れておらず、金融システム全般はまだ弱いものだ。実体経済のレベルでは、欧米の生産能力の利用率もなお非常に低いレベルにある。
全世界の経済には、さまざまな不確定要素も存在している。労働力のコストが徐々に上がっており、回復をけん引する産業は全世界でも不足し、実体経済への資本の強力な支持が今でもまだなく、貿易保護主義も強まっている。
「世界経済の動きに対して、もっと関心を寄せ、もっと憂慮することは、マクロ政策の制定により有利になるだろう」と張氏は考えている。
「北京週報日本語版」 2009年11月10日 |