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内容の要旨  
2008年 中国の国防

中華人民共和国国務院報道弁公室

2009年1月・北京

前書き

2008年は新中国の発展過程においてきわめて尋常ならざる、平凡でない一年であった。この一年来、中国は四川省汶川で発生した特大級の震災を乗り越え、北京オリンピックとパラリンピックを成功裏に開催し、また改革開放30周年を迎えた・・・・・・ 現代中国と世界の関係には歴史的な変化が見られる。中国の経済はすでに世界経済の重要な構成部分となり、中国はすでに国際システムの重要なメンバーとなり、中国の前途・命運はますます世界の前途・命運と密接に結びつくようになった。中国の発展は世界を離れることができず、世界の繁栄・安定も中国を離れることができなくなった。 新たな歴史的起点に立った中国は、平和的発展の道を確固として歩み、改革開放と社会主義現代化建設を揺るぐことなく推し進め、独立自主の平和的外交政策と防御的国防政策を断固として遂行し、各国とともに恒久平和、共同繁栄の調和のとれた世界の構築を目指すことに力を入れている。

中国は科学的発展観を国防と軍隊建設の重要な指導方針とすることを堅持し、進んで世界の軍事発展の新しい趨勢に適応し、国の主権や安全、発展の利益の確保を根本的な出発点とし、改革革新を根本的原動力とし、よりいっそう高い起点に立って国防と軍隊の現代化を推し進めている。

一、安全情勢

新世紀に入って以来、世界には大変革・大調整・大変化が起こっている。平和と発展は依然として時代のテーマであり、平和を求め、発展を目指し、協力を促すことは、すでに阻むことのできない時代の潮流となっているが、グローバルな挑戦が日増しに増え、新たな安全上の脅威の要素がたえず現れている。

経済グローバル化と世界の多極化が進んでいる。世界の工業化・情報化のプロセスが加速し、経済協力が衰えを見せず、各国経済の相互依存・相互影響・相互連動が深まっている。世界の戦略的力の消長・変化が加速し、大国間の協力と相互利用が増加し、競争とけん制が引き続き発展し、発展途上にある新興大国群が台頭し、国際システムは大きな調整を必要としている。平和を擁護し、戦争を制約する要素は持続的に増加し、各国の安全分野における共同の利益が増大し、協力の意志が強まり、世界的な大規模な全面戦争はかなり長い期間避けることが可能となっている。

 世界の平和と発展は多くの難問と挑戦に直面している。戦略資源や戦略要地、戦略的主導権をめぐる争奪が激化し、覇権主義と強権政治が依然として存在し、地域情勢の激動が広まり、ホットな問題が増え、局地的な衝突と戦争が絶え間なく続いている。アメリカ発の金融危機の影響が深まり、世界経済の成長に伴うエネルギーや食糧などの問題が深刻化し、深層の矛盾が目立つようになり、経済リスクの連動性・系統性・グローバル性という特徴が顕著に現れている。テロリズム、環境上の災禍、気候変動、重大な疫病、多国籍犯罪、海賊などの問題は日増しに顕在化している。

国際関係に与える軍事安全要因の影響が強まっている。総合的国力の競争と科学技術の発展に促され、国際的軍事力の競争はさらに激化し、世界の軍事変革は新しい発展段階に入った。一部の大国は安全戦略と軍事戦略を調整し、国防への資金投下を増大させ、軍隊の体制転換を加速し、先端軍事技術と兵器・装備を発展させ、戦略的核戦力、軍事宇宙飛行、ミサイル迎撃システム、世界および戦場の偵察監視は軍隊強化のキーポイントとなっている。一部の発展途上国も先進的な兵器・装備の保有を積極的に追求し、軍事力の発展レベルを向上させている。各国は軍事手段を駆使した外交面の闘争をいっそう重視し、一部地域での局地的軍備競争のフィーバーが巻き起こり、国際的な軍備抑制と拡散防止体制は大きな挑戦に直面している。

アジア・太平洋地域の安全情勢は全般的に安定している。地域経済は活力に満ち、リージョナルおよびサブ・リージョナルの経済・安全協力は発展の勢いを保ち、対話を通じた平和的方式によって食い違いとホットな問題を解決することは依然として各国の普遍的な政策傾向である。上海協力機構(SCO)メンバー国は長期にわたる善隣友好協力条約に調印し、安全や経済などの分野における実務的協力が進展を見せている。ASEAN(アセアン)は『ASEAN憲章』に調印し、一体化プロセスが新たな一歩を踏み出した。中国とASEANの協力、ASEANと中日韓の協力には著しい成果が見られ、東アジアサミット、南アジア地域協力連合(SAARC)の協力は発展し続けている。朝鮮半島の核問題をめぐる六カ国協議は段階的な成果を上げ、北東アジア地域の情勢には緩和の傾向が見られる。

アジア・太平洋地域の安全保障はなお多くの不確定要素を抱えている。世界経済の激動は地域経済の発展に衝撃を与えている。一部の国々は経済社会の転換期にあり、政局の動揺が続いている。民族・宗教の矛盾、領土と海洋権益をめぐる紛争は依然として突出しており、地域のホットスポットは錯綜している。アメリカはアジア・太平洋地域への戦略的な関心と投入を保ちつづけ、軍事同盟を強化し、軍事面の配置を調整し、軍事力を増強している。テロリズム、分裂主義、極端主義の勢力がはびこり、ひどい自然災害などの非伝統的安全問題が頻発している。地域・国家間の政治的相互信頼を増大させ、地域の多国間安全協力を強化し、地域の安全上の脅威への対応を協調する能力を高める必要がある。

中国の安全環境は引き続き改善されている。中国の現代化建設の成果は世界で注目され、総合的国力は大幅に増強し、国民の生活レベルはたえず向上し、社会は安定・団結を保ち、国の安全を守る能力はいっそう強化されることになった。「台湾独立」分裂勢力の「台湾の法理的独立」の企みが粉砕され、台湾海峡の情勢には重要かつ積極的な変化が生じており、両岸双方は、「九二共通認識」という共同の政治的基盤を踏まえて協議を回復し、それが進展をとげ、両岸関係には改善と発展が見られるようになった。中国は先進諸国との関係を安定的に発展させ、周辺諸国との善隣友好関係を全面的に強化し、発展途上国との伝統的友情を絶えず深化させ、多国間事務において建設的な役割を積極的に発揮し、国際的地位と国際的影響力が著しく強化されることになった。

 中国は依然として長期的で複雑な、多次元の安全上の脅威と挑戦に直面している。生存面の安全と発展面の安全、伝統的安全上の脅威と非伝統的安全上の脅威、国内の安全問題と国際安全問題が交錯し、相互に作用し合っている。中国は、先進諸国が経済・科学技術・軍事などの面で優位を持つ状況、外部に対する戦略的防禦と外部からのけん制、分裂勢力と敵対勢力の妨害・破壊に直面している。中国は経済社会の転換期にあり、社会の安定を守る面で多くの新しい状況と問題に直面している。「台湾独立」、「東トルキスタン」、「チベット独立」などの分裂勢力は国の統一と安全を脅かしている。テロリズム、自然災害、経済安全、情報安全など非伝統的安全問題による被害が増えている。外部の安全環境の不安定、不確定な要素が国の安全と発展に及ぼす影響が大きくなっている。アメリカは中米間の3つの共同コミュニケに違反して、台湾に対し兵器を引き続き売却し、中米関係と台湾海峡地区の平和・安定を大きく損なうことになった。 これまでにない機会と挑戦に直面している中国は、平和、発展、協力の旗じるしを高く掲げ、平和発展の道を歩むことを堅持し、互恵・ウィンウィンの開放戦略を遂行し、恒久平和、共同繁栄の調和のとれた世界の構築を推し進める。科学的発展観を貫徹させることを堅持し、発展と安全の統一を実現し、伝統的安全と非伝統的安全の問題をトータルにとらえ、国の戦略的能力の向上に努め、国の緊急対応管理システムを完備させる。相互信頼、互恵、平等、協力の新しい安全観を堅持し、平和的方式によって国際紛争とホットな問題を解決することを主張し、各国との安全の対話と協力を推し進め、軍事同盟の拡大に反対し、侵略・拡張に反対する。現在であろうと将来であろうと、どこまで発展しようと、中国は永遠に覇を唱えることはなく、軍事拡張を行うことはない。

 

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