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中国への影響  
中国経済が直面するPPI圧力

 

任所長は、PPIの上げ幅はやや高まったが、ほかへの影響は大きくないため、CPIを大きく押し上げることはないだろうと分析している。

一方でPPIの上昇はCPIに影響しないと考える専門家もいる。

国家情報センターの張永軍氏は、PPIの上げ幅がすぐにCPIに影響するとは限らない、と分析する。というのは、CPIに直接関係するのは商品の小売価格で、工業品の工場出荷価格が上がっても、小売価格には目立った調整がなされておらず、このことは各レベルの卸売業者と小売業者がいずれもPPIの上昇圧力を内部で消化していることを物語っているからだ、という。

申銀万国証券の上級マクロアナリストである李慧勇氏は次のように分析する。「今は依然として消費財の供給が需要を上回っているため、PPIがCPIに反映されるには大きな限界がある。PPIが1ポイント上がっても、当期の非食品価格を0.13ポイント押し上げることが可能なだけだ。PPI上昇のCPIに対する影響は主にマインド面のもので、食品価格の上げ幅縮小がもたらすCPI全体の下押し局面を変えることはできない」。

事実、国家統計局のデータからも、PPIの急上昇がCPIにもたらしている影響は今のところ限定的であることが見て取れる。PPIの上昇とCPIの下押しという鋏状価格差は、3月から顕著になり始めたことをデータが示している。5月には初めてPPIがCPIを0.5ポイント上回り、6月には1.7ポイント、7月には3.7ポイント上回るに至った。この時期、PPIの上昇が原因で、下げていたCPIが反発するというような現象はまったく現れなかった。李慧勇氏は「これは、総体的に供給が需要を上回っているという中国の川下製品市場が直面している状況を反映している。それに加えて、一部の中間製品の価格統制が、PPIがCPIに反映されるメカニズムを大幅に弱めている」と見ている。

今後の動向

海通証券のアナリストである陳勇氏は、PPIの上げ幅は当面、基本的に最高点に達したと見ており、今後はやや下がるだろうと予測する。

その理由として、陳氏は次のことを挙げる。上半期に国際的な大量商品と原油価格の上昇を促した主な要因は、強い需要の勢いや弱いドル、国際的な投機的売買などの要素を含め、目下、消失しつつあり、世界的に経済が停滞している。国内の生産財価格は引き続き下がることが見込まれ、今後のPPI上昇の余地には限りがあり、10%前後の伸び率はすでに頭打ちとなった。

海通証券の研究員である李明亮氏は、マクロコントロールと経済全体の下ぶれ圧力のもとで、今後、投資需要がさらに抑制される可能性があり、遅くても10月ごろには頭打ちになるだろう、と見る。

中央党校研究室副主任の周天勇氏は、これとは異なる認識を示し、これ以上PPIが上昇するかどうかは不透明だとの考えを明らかにした。同氏によると、中国では一部の分野における価格改革が検討中であるため、PPIの動向は、一部価格の合理化を図る国の政策が登場するか否かにかかっているという。「たとえば、燃料税、汚染排出費の問題などが今年中に解決するのか来年まで解決を待つのかだ。さらに、石油価格や電気価格の逆ザヤ問題を合理化できるかどうかだ。世界的に鉄鋼価格が安定するか下がって、石油価格も下がれば、国内の電気価格、石炭価格を調整する余地が広がり、PPIは下がるだろう」と周氏は言う。

しかし今のところ、周氏が言うPPIを下げる仮説条件は存在しないようだ。米国の金融危機でドルが引き続き下落傾向にあり、多くの投資家が株式市場に投資するマネーを、収益がさらに見込まれる先物市場へと振り向けているため、エネルギーや生産財の価格には新たな上昇傾向が出現している。

中国にとってCPIの持続的低下は、本来なら今後のマクロ経済政策の微調整に余地を提供するものであるが、PPIの高さが引き続き記録を更新すれば、マクロコントロールの難しさがさらに増すことにもなる。国家発展・改革委員会マクロ経済研究院の副院長である陳東琪氏はこうした状況のもとで、当面は経済の継続的な成長を保証するため、政府は企業のコスト圧力をいかに緩和すべきかに注目し、企業の生産に対する積極性を高めていく、と表明した。

陳氏は、「当面考慮すべきことは税制改革を加速させること。現在、原材料、労働力、環境保護にかかる企業のコストが急速に上がっている。このような背景のもとで国が成長を保証するには、企業に対してより良い生産環境を提供する必要がある。目下、中央政府は減税を通じて企業の創造力を増すことを考えているが、これも1つの良い方法だと思う」と述べた。

さらに陳氏は、減税以外のほかの方法も中央政府は考慮中であり、PPIとCPIの鋏状価格差が引き続き拡大すれば、新たな措置の一部が登場する可能性がある、と明かした。

「北京週報日本語版」 2008年10月31日

 

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