黄河と沙漠の交差点 沙坡頭旅游区
沙湖旅游区とともに寧夏の国家5A級沙漠観光地として、銀川市から南西200キロの中衛市の西郊外に沙坡頭(さはとう)旅游区がある。中衛市で黄河はS字型に大きく湾曲するが、沙坡頭はその黄河とテンゲル沙漠が交差する、中衛市街区から18キロのところにある。中衛市へは銀川から列車かバスで約3時間、バスは20分おきに出ている。また銀川からは直接沙坡頭へ行くバスも毎朝1本ある。
沙坡頭は古代シルクロードの通り道で、テンゲル沙漠の東南端部にある。「テンゲル」とはモンゴル語で「天」という意味。天のように広大な沙漠と黄河、高山、オアシスが一体となった観光地で、1994年に国連環境計画(UNEP)から世界環境ベスト500の称号を授与されたところでもある。テンゲル沙漠は形成された時代が古いため、砂質が沙湖旅游区のものより細かく、きな粉のようにさらさらしており、鳴き砂としても有名だ。手づくりのボードに座って傾斜の急な砂山を滑り降りるサンドスキーの際にはこの砂の音が聞こえる。サンドスキーが怖いという人はリフトで下におりると、そこは砂山の光景とは打って変わって桑や棗、リンゴの木々が生い茂るオアシスだ。美味しい果物が実る8月中旬から9月末はベストシーズン。
沙坡頭はもともと自然条件の劣悪なところで、黄沙が立ち込めるテンゲル沙漠の一部だったが、賀蘭山の岩画に描かれている動物の姿などから、古代には森林と広大な草原があり、遊牧民族が暮らしていたと推測されている。沙坡頭地区からは新石器時代の人類の生活を示す遺跡も見つかっているが、今ではこれらの遺跡は砂の下に埋もれてしまっている。沙坡頭地区は地理的に重要な場所で、黄河上流、寧夏平原、蘭州河谷につながるとともに、河西回廊の通り道でもあり、唐代、西夏時代も中衛は屯田の重要な地域であった。その後、元、明、清代と人々は沙坡頭地区で大規模な開墾を続けたが、打ち続く戦争や行き過ぎた開墾、灌漑設備や耕地の放棄などによって生態系の悪化を招いた。沙坡頭地区にいつごろ沙漠が出現したのかについて、考古学者の景愛氏は元代に最初の沙漠が出現したと見ている。こうした沙漠の成り立ちや沙漠化を防ぐための対策などを紹介する「治沙博物館」もここにあり、さらに「中国沙漠博物館」を建設中だ。
沙坡頭ではこのほか、羊の皮でつくった筏で渡る黄河遊覧や、ラクダに乗ってのテンゲル沙漠巡り、沙漠の中でのバレーボールやサッカー競技などのイベントが用意されている。
沙坡頭旅游区は沙漠と黄河、高山、オアシスが一体となった観光地
羊の皮で作られた筏で黄河を遊覧
沙坡頭では砂で作った彫刻も楽しめる
注1 国家5A級観光地
中国には現在187カ所の国家クラスの観光地があり、07年10月からこれを1Aから5Aまでランク付けしている(それまでは1Aから4A)。ランク付けはサービス・環境と景観を軸に、交通、安全性、ショッピング、衛生環境、通信サービス、経営管理、旅客の満足度、資源、環境保護などを加味して点数制で決められる。さらに、最も等級の高い5Aを獲得するには年間延べ60万人以上の観光客(うち海外観光客は5万人以上)を受け入れていることが条件の1つとなっている。
注2 国家1級保護鳥類
中国に特有の鳥や中国では珍しい鳥もしくは絶滅に瀕している鳥で、1988年に全人代で採択され1989年から施行された「中国野生動物保護法」に基づいて法的に保護されている鳥類。
「北京週報日本語版」2008年9月23日
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