清水 由実
♪月の沙漠をはるばると旅のラクダが行きました♪という童謡は、きっと日本人なら誰もが一度は耳にしたことがあるちょっと不思議な味わいの歌だ。この歌の作詞者の加藤まさを氏は実際に沙漠を訪れたわけではなく、日本の海岸の砂浜からイメージして歌詞を書いたという。
日本では「沙漠(砂漠)」と言っても海岸の砂浜や砂丘くらいしか想い浮かばないが、それらはむろん「沙漠」ではなく、温帯湿潤気候に属する日本には沙漠は存在しない。そのためか、「沙漠」は日本人の想像力をそそり、ロマンをかきたてるようで、1923年に発表された「月の沙漠」の歌も半世紀以上の時を超えて1997年にNHK が行った「1000万投票 BS20世紀日本のうた」で、延べ1000万曲の投票曲のうち84位となり、ベスト100入りを果たした。
そんな日本ではなかなか味わえない本物の「沙漠」を楽しめる観光地が中国には結構あるが、その1つが寧夏回族自治区だ。ここはテンゲル(騰格里)沙漠とウランブハ(烏蘭布和)沙漠、モウス(毛烏素)沙漠に囲まれた沙漠都市だ。沙漠を中心とした独特の自然環境と歴史を背景にした西夏文化、回族文化など、ほかの土地にはないユニークな観光条件が揃っている。主な観光スポットとしては、沙湖旅游区、沙坡頭旅游区、賀蘭山岩画、西夏王陵、西部影視城、六盤山国家森林公園などがある。
銀川市の北西約50キロにある西部影視城。張芸謀監督の『赤いコーリャン』や謝晋監督の『牧馬人』が撮られた撮影所として有名
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