清水 由実
10月25日に自治区成立50周年を迎える寧夏回族自治区。自治区全体の23%近くが沙漠化している寧夏の半世紀は、厳しい自然との闘いでもあった。
流砂防止の決め手「草方格」
自治区として新たなスタートを切った1958年、包蘭鉄道(包頭-蘭州)が営業を始めた。1954年に着工してから4年の歳月をかけて開通した包蘭鉄道は中国西北部の幹線鉄道で、内蒙古、寧夏、甘粛の各自治区・省を全長990kmにわたって貫き、そのうち沙漠の中を140km走る「沙漠鉄道」でもある。
開通後は、レールや枕木が沙に埋もれないよう、鉄道の両側で防風・防沙対策をとる必要があったが、なかなか適切な方法が見つからなかった。中国社会科学院沙漠研究所の専門家らが研究を重ねた結果、「草方格」という方法がとられた。これは、麦わらを格子状に沙中に刺し込み、沙丘に網を張ったような形にして沙を固定し、その中に草の種をまいていくという方法だ。こうして沙の動きを抑え込み、その流動を食い止めるのだ。
その後さらに、その大きさや形などをめぐって研究が進められ、今では、流動沙丘に悩む西北部一帯で広く利用されるようになった。寧夏回族自治区の区都・銀川市の南にある霊武市の白芨灘国家自然保護区もその1つだ。
1つ1つ手作業で沙漠につくる「草方格」が沙漠化防止に一役買っている
白芨灘(はくきゅうたん)自然保護区と「治沙英雄」
そのことをすれば何かを生み出せる、成果がすぐに見られる、というわけではない仕事。だが、何十年後、何百年後になってやっと、その成果が目に見え、そこから多くのものを生み出す結果になる、そんな仕事に、長い長い時間をかけ、愚直とも言える姿勢で取り組んできた人物がいる。
白芨灘国家自然保護区は、もともとは一面のゴビ沙漠だったが、今では家の高さほどのモンゴリマツが並ぶ。これは、総面積9万8600ヘクタールという広大な白芨灘防沙営林場の職員らが50年余りにわたってモウス沙漠の沙地に2万6000ヘクタールもの緑の壁を築いたためだ。ここの営林場長であり、同自然保護区管理局の党委員会書記兼局長である回族の王有徳氏は、「私は沙漠改造のために生まれてきた」と語るほど、この道一筋に歩んできた人物だ。
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