人民日報海外版に先日、中央財経大学応用金融学科の韓復齢主任による、北京五輪が産業界に及ぼす影響を分析した記事が掲載された。文章の主要な内容は以下の通り。

五輪の開催により、好景気を得る業界は主に、投資および消費サービス。一般に、五輪経済は、観光、小売業、不動産、建築、交通、スポーツ、情報、通信などの8大産業分野に大きな影響を及ぼすものとされている。

＜観光業＞五輪の開催により、国外からの大量の観光客が訪れるだろう。過去に開催された各国の五輪開催時の状況を参考にすると、一般に、20万から30万人の国外観光客が入国するはず。主に、国外の中・上級階層で、スポーツ観戦や旅行を趣味とする人たちがやって来る。2008年には、北京五輪の観戦を目的とした観光客や競技関係者への宿泊場所の提供はピークに達する見込みだ。北京の星付きホテルは800軒に、客室は13万室に上る見込みだ。また、頤和園、故宮、長城などの北京の観光名所も観光のピークを迎えるだろう。2008年度の観光業における直接収入は、45億ドル以上になろうとしている。

＜商業＞五輪は商業にもたらす影響は主にショッピングや消費市場に集中するだろう。2002年から2007年まで、五輪開催準備による直接投資は、社会消費品の小売販売額を合計539億元にまで高める結果となった。特に大きな作用を見せた2005年から2007年の、年間それぞれの消費品小売販売額は、139億元、139億元、133億元に達している。北京五輪期間、北京の商業は消費のピークを迎えるものと予測できる。

＜不動産業＞五輪が北京不動産業に与える最大のチャンスとして、北京市全体の都市改造が挙げられる。インフラへの投資は、交通、商業環境などに大いなる改善をもたらし、不動産市場の価値は高まりを見せている。都市の公路、高速道路の建設により、郊外の住宅地域も日増しに栄えてきている。また同時に、五輪設備の改造により立ち退き住宅が多く発生し、それが将来の不動産業に多いなる可能性を与えている。過去における五輪開催都市を見ると、閉幕後の不動産市場はいずれも大なり小なりの下落がある。だが、北京不動産業の傾向は主に経済成長期と供給バランスと関係しており、また▽不動産購入の希望者の数が下がらないこと▽中心となる経済の一層の発展▽さらに完備される都市のインフラ▽土地資源の不足－－などの原因で、北京の不動産市場は五輪閉幕後、いくらかの調整はあるものの、大きく下落することはないものと予測される

＜建築業＞建築業は五輪工程建設を請け負う業界で、その利益を第一に享受する業界。北京市の都市建設の投資額は1800億元と記録的な数字を残した。その巨額投資は、建築業の発展における巨大な市場の需要を与えている。予測によると、2003年から2008年までの北京の建築業の総生産値は5千億元に達しようとしており、8万もの人に就業の機会を与えている。また、五輪競技会場の建設における、新たな構造・技術・資材の使用や環境保護の基準の向上は建築技術のレベルを向上させることとなり、建築業全体のレベルや総合的な実力の向上に役立った。また、建築業全体のレベルアップを推進し、国際市場でのさらなる展開に有利なものとなった。

＜交通運輸業＞交通は都市の生命線と呼ばれる。北京五輪開催中は短期間に膨大な数の旅客が訪れ、交通運輸業は大いににぎわうことが予想される。交通運輸のインフラ建設を進め、旅客に速くて快適な交通運輸サービスを提供することが、五輪開催都市が真っ先に解決しなければならない課題だ。五輪を迎えて、北京市の都市交通への投資は900億元に達しようとしている。2004～07年の4年間に、一連の重点交通プロジェクト建設が計画され、それには市内中心部と首都空港を結ぶ空港線24.5キロの建設も含まれている。