本日、私の頭に、鄧小平という、偉大な名前が浮かんでいます。30年前中国の改革開放をスタートさせたのは鄧小平であり、また、日本に行って中国を代表して中日平和友好条約の批准書を交換したのも鄧小平であります。本年は中国の改革開放30周年、8月12日は中日平和友好条約締結30周年にあたります。この美しい日に、私どもが中日双方の専門家・学者と代表を招待でき、今の世界情勢における中日関係の重要な意義を共同で検討し、同時に近年両国関係および経済貿易協力において収められた多くの成果を分かち合います。
中日両国は一衣帯水の友好的な隣国であり、歴史や文化の深い源と共通の利益を有しています。2000年来、両国人民は理解を深め、互い支え合い、共に進歩してきました。鑑真和上が六回も日本への渡航を試み,阿倍仲麻呂が長安で生涯を終えたなど、中日両国の悠久なる往来の歴史に対し、私どもは感慨無量であります。長期にわたる友好往来は、両国における文明の発展を促進したのみならず、アジア乃至世界の文明のためにも大きく貢献しました。しかし、あの戦争の不幸な歴史によって、中国人民は重大な災難に見舞われ、日本国民も少なからぬ害を受けました。手を携えて協力して初めて、ともに発展するできることを、歴史は再度証明しました。
1978年、中日平和友好条約を正式に締結したことは、法律上1972年発表された「中日共同声明」を確認し、中日両国の友好往来の基調をも定めました。同条約締結30年来、中日両国は互い支え合い、協力し合い、沈滞期を脱け出し、すべての面において飛躍的な発展を実現しました。政治の面では、国交正常化を実現させ、重要な諸問題において共同認識を達成しました。経済の面では、両国の貿易協力が引き続き発展し、経済貿易においての相互信頼を築き発展させています。文化の面では、両国の交流も空前の活況を示しています。不完全な統計によると、今年に限り、中日双方は40以上の交流イベントを行うということであります。
21世紀に入ってから、複雑な国際政治経済環境の下で、中日関係は沈滞期に入ったことはありましたが、寒い冬が過ぎ、待ち望んだ春が必ずやってきます。中日両国の指導者による頻繁な相互訪問は、硬い氷を砕き、暖かい春を迎えました。安倍前首相の「氷を砕く旅」、温家宝首相の「氷を溶かす旅」、福田首相の「迎春の旅」に続いて、胡錦濤主席は今年の5月「暖春の旅」として日本を正式訪問しました。これは、10年ぶり中国国家元首の訪日となり、その成果は一里塚の意義があります。
「暖春の旅」は、戦略的互恵関係の新たな局面を切り開いています。両国の指導者が会談後署名した「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する中日共同声明に、「双方は、両国が互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した。」との条文を初めて盛り込みました。双方は、以下の5つの柱での協力を決意しました。政治的相互信頼の増進、人的、文化的交流、友好感情の増進、互恵協力の強化、アジア太平洋地域とグローバルな課題への貢献など、視野が広く、内容が豊富であります。両国関係の更なる規範化、強化及び21世紀における長期的発展に重要かつ深遠な意義を持ちます。
「暖春の旅」は、大国の責任を示しています。私どもは「大国の旅」、「責任の旅」あるいは「道義の旅」と解釈してよいです。アジア乃至世界で相当な影響力のある国として、両国の友好は世界平和に、両国の協力はグローバルな経済に有益であります。両国の共通の福祉を求め、グローバルな課題を解決するための努力は、両国に対する責任であれば、世界に対する責任でもあります。
また、「暖春の旅」は、未来に向けての広い視野を示しています。歴史問題は、長期にわたって中日関係において避けられない問題であります。歴史を鏡として、未来を切り開いて初めて、中日両国民の根本的な利益に合致します。「歴史を覚えることは恨みを続けることではない」と、胡錦濤主席は日本国民に「平和」の情報を伝達し、両国の平和友好往来の主旋律を強調しました。
今日、中日関係は新しいスタートラインに立って、包括的な戦略的互恵関係が構築されています。いかにして交流と意思疎通を通して協力を実現させ、そして協力を通して双方の利益において最大限に共勝ちを獲得するのか、勇気と知恵が必要であります。未来を展望し、両国の戦略的協力は、アジア乃至世界の平和と発展に重要な影響を与えます。
今は平和の時代ではありますが、不安定の要因が依然として存在しており、危険な伏流に対し、警戒を持たなければなりません。北朝鮮やイランの核問題、パキスタン・イスラエル関係……これらの問題は世界を困らせています。エネルギーの安全、食料の安全、気候変化、環境保護、貧困、感染症などの問題も世界の平和安定に影響を与えています。アジア太平洋地域における二大の経済実体として、中日両国の全力を挙げての協力は、必ず東アジア乃至アジア地域の経済一体化のプロセスを促進し、アジア地域の経済の繁栄発展を推し進めることになります。世界の最重要な二ヶ国として、中日両国の関係の安定と発展は、両国のみならず、アジア太平洋全域、世界の平和と安定に有益であります。
中日両国は、「一衣帯水」の隣国であり、両国の戦略的互恵関係を発展させることは、両国民の共同利益に合致します。また、中日双方の共同努力も必要であります。良好な世論環境は、無視できない要素であります。メディアとして、私どもは微力を尽くす責任もあり、能力もあります。私どもは忠実に観察・報道するのみならず、進んで参与・企画します。
人民日報海外版は中国共産党の対外の機関紙であり、対外発行の中国の最も権威性のある総合的な日報であり、海外との交流と協力の絆と架け橋でもあります。鄧小平、江沢民、胡錦濤ら中国の指導者は、当報に大きな関心を寄せ、それぞれ題辞を書き記してくださいました。人民日報海外版創刊20周年にあたり、胡錦濤主席は人民日報海外版が「世界が中国を理解する窓口になるよう」と、自ら指示を与えてくださいました。これまで、人民日報海外版は、中国と世界人民との友情、中国と世界各国人民との交流と協力の促進に力を注いできています。
「北京週報日本語版」 2008年8月 |