◇ビルが逆さまに建っている◇
中国ではビルの地下が最上部にある。最上階の7階は一番下にある。漫画「ドラえもん」の逆さまの世界ならあるかもしれないが、現実の世界ではありえないことだ。しかし、中国ではあり得るのだ。デパートや高層ビルの案内の表示が、実際とは逆になっている。電気スタンドを買おうと思って百貨店に入った。「電気スタンドは何階にありますか?」「6階にあります。」というので、案内板を見た。6階は当然上の方にあると思い探した。ところが、最上部は地下1階になっていた。6階は下から2番目だった。なぜ、こうなるのか。以下は推測であるが、多分、案内板を描く人が単純に上から1階は○○、次は2階が△△と描いていっただけのことだろうと思う。見る人のことはまったく念頭にない。案内板を描く人が最初に描いたのが一番上だったので、それが地下一階になったのではないかと思う。要するに案内板を見る人の立場はどうでもいい。それを描く人の考えが中心になっているのではないか。
地下1階が最上部にある案内板
この案内板のことを中国の人は不思議に思わないのだろうか。周囲にいる中国人数人に訊いてみた。「べつになんとも思わない。」「各階に何があるのかが分かればいいので、逆になっていても不思議には思わない。」ということだった。大陸的大らかさなのだろうか。日本でこのような案内板があったら、必ず誰かがクレームをつけると思う。
◇不思議に少ない中国の銀と銅◇
箸や箒の使い方やビルの案内板が日中間で異なるのは、感覚や習慣の違いからくるものだろう。しかし、スポーツの世界で、金、銀、銅の獲得数は競技の結果であり、感覚とはまったく異なることだ。北京オリンピック開幕まであと1カ月となったが、オリンピックで中国の獲得するメダルの数が、他国とは非常に違うことに気がついた。金メダルが増えているのに、銀、銅が他国に比べて極端に少ないのである。
沿道にびっしり並び聖火リレーに声援をおくる南京市民
オリンピックで中国の金メダルの獲得数は1984年(ロサンゼルス)15個(4位)、1988年(ソウル)5個(11位)、1992年(バルセロナ)16個(4位)、1996年(アトランタ)16個(4位)、2000年(シドニー)28個(3位)、2004年(アテネ)32個(2位)と順調に増えている。このままの勢いでいけば、北京オリンピックではアテネの32個を上回り、金メダルの獲得数は40個前後となり、世界でトップになることは間違いないだろう。
しかし、金メダルは増加傾向にあるのに銀、銅のメダル数はそれほど増えていないのである。ロサンゼルス以降の銀メダルは、8個、11個、22個、22個、16個、17個である。銅メダルは9個、12個、16個、12個、15個、14個で、金メダルが急増しているのに銀、銅は減少傾向にある。
金メダル獲得上位の国は、金が増えれば以下の銀、銅も比例して増加している。4年前のアテネ大会で、金メダルトップのアメリカは金36個、銀、39個、銅27個である。金銀銅それぞれ平均して獲得している。
この大会で3位のロシアは、金27個、銀27個、銅38個と、金、銀、銅のメダルはほぼ同数か下位にいくにしたがって多くなっている。しかし、2位の中国は金32個に対して銀17個、銅14個とそれぞれ金の半数前後と極端に少ない。銀と銅の数を加えても金メダルの数に及ばない状態である。
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