胡錦涛国家主席は日本政府の招きを受け、6日から10日にかけて正式に日本を訪れた。胡主席と共に訪日した外交部の楊潔チ部長は、北京に戻る飛行機内で記者の取材を受け、次のように述べた。
胡錦涛主席の今回の訪日は、中国の国家元首による10年ぶりの訪日となった。日本政府はこの訪問を非常に重視し、高水準の礼遇と熱心で友好的なもてなしをした。日本各界の人々も胡主席の訪問を熱烈に歓迎し、訪問の意義を高く評価した。
(1)中日関係の未来図を描き、進むべき方向を指し示した
胡主席の訪問中、両国は「戦略的互恵関係の包括的推進に関する中日共同声明」を発表した。これまでの3つの政治文書を土台として、中日関係の新たな発展に基づいて、両国の長期的な発展の指導原則を確定し、両国関係の未来の発展を計画したこの文書は、中日間の4番目の重要な政治文書となった。これは、中日関係の政治的土台を固め、両国の戦略的相互信頼を深め、両国関係の長期的で健全な安定した発展の総体的な枠組みを構築し、戦略的互恵関係を全面的に深めるのに、重大な現実的意義と深い歴史的意義を持つ。また双方が発表した「中日両政府の交流と協力の強化に関する共同プレス発表」では具体的な協力に向けて70項目が列挙された。双方は、▽中日両国が相互にとって協力パートナーであり、脅威とはならず、平和的発展を互いに支持する▽両国間の問題の対話と協議を通じた処理を堅持する▽ハイレベルでの往来と政治面での交流を密接にする▽両国指導者の相互訪問の仕組みを構築する▽両国指導者のホットラインの仕組みを始動する▽政府・政党・議会など各方面での交流と対話のメカニズムを強化する▽安全保障の領域での対話と交流を引き続き展開する――ことを確認した。
(2)経済貿易領域での協力を深め、中日関係発展の物質的土台を強化
今年は中国の改革開放30周年にあたり、中日両国が経済貿易関係の発展と拡大を進めてから30年となる。中国の発展と日本の発展は密接に関係している。胡主席は、中日両国は相互にとって最重要経済貿易パートナーの1つであり、双方は経済面での相互補完的な優位性を十分に発揮し、新たな重点的な協力領域と協力項目を作り出し、中日経済貿易の量から質への転換を実現し、両国人民のためにさらなる利益を図るべきだと指摘。省エネ・環境保護領域での協力を重点的に強化し、中国の地域発展に積極的に参加し、両国の企業間協力の推進に力を入れ、地域と世界における経済事業での協力を深めることを提案した。胡主席の訪日中、省エネ技術・水質汚染対策・循環型都市建設などでの協力について双方は実質的な成果を上げた。また双方は、金融・情報・貿易・投資・中小企業・知財権保護などでの協力を全面的に推進し、両国の経済ハイレベル間の対話メカニズムを戦略的高度から有効に活用し、エネルギー政策についての大臣級対話を引き続き展開し、エネルギー分野での互恵協力を探っていくことで同意した。
(3)人文交流の強化によって国民感情を改善し、中日関係の社会的基盤を充実させることで合意
胡主席は、中日友好は両国民の友好につきるものだと指摘し、相互理解と友好的な国民感情を深めるための最も効果的で確実な方法は両国の人文交流を拡大することだと述べた。
(4)国際協力に向けた共同認識の拡大と協力強化
胡主席は、アジアの振興には中日両国の協調と協力が不可欠だと指摘した。双方はアジアに重点を置き、戦略的な協調と協力を強め、東北アジアの平和メカニズムと東アジア共同体の建設およびアジア地区における協力を共に推進し、アジアの振興に共同で力を尽くし、世界的な挑戦に共同で応え、調和のとれたアジアと世界の建設を共同で推進していかなければならない。双方は、東北アジアの平和的安定の維持のため共に力を尽くし、朝鮮半島の核問題にあたる6者会談を共に進めていくことを決定した。開放・透明・寛容という原則にのっとり、東アジア地区の協力を促進し、平和・繁栄・安定・開放のアジア建設を共同で推進していく。また双方は、気候変動と環境保護の分野での協力を強化し、経済貿易協力の新たな成長点とすることで同意。「気候変動に関する国際連合枠組条約」の枠組み内で、共通に有しているが区別ある責任と各自の能力に基づき、バリ・ロードドマップに従い、2012年以降の効果的な気候変動対策の国際的枠組み作りに積極的に参加していくことを確認し、「気候変動に関する共同声明」を発表した。楊潔チ部長は訪日の成果を以上のようにまとめ、中日戦略的互恵関係の新たな局面を切り開き円満な成功を収めたとして、胡主席の今回の「暖かい春の旅」を評価した。
「人民網日本語版」2008年5月11日 |