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胡錦涛主席が早稲田大学で講演ー視聴者の皆様からのコメント

 

胡錦涛国家主席が早稲田大学で講演を行うことについて、早稲田大学の関係者や学生、視聴者の皆様からコメントをいただきました。

早稲田大学 堀口健治副学長

十年前に江澤民主席が大隈講堂で歴史を直視して未来を切り開こうという話をしてくれましたが、これは当時の日中の難しい問題に対する転機だったとおもいます。今回も日中の間にはいくつかの難しい問題があると我々はよく認識していますが、そういう時だからこそ中国の責任者が学生に話をするのはすごく意義があるとおもいます。早稲田大学出身の福田総理が去年北京大学で日中関係について積極的に若者と話をしたことに対応して、難しいときだからこそ、国家主席が早稲田の学生に話をすることには極めて意義があると思います。もうひとついえば、早稲田は戦前から日本の大学のなかでは最も早く中国の留学生を受け入れ、数も最も多い、という日本と中国の関係を最も重視する大学だと自負していますが、最近は受け入れだけでなく、早稲田の学生が北京大学や復旦大学などで学ぶという双方向の友好関係の地盤があります。その長い交流の歴史の上で胡主席が話をしてくれます。

今回、北京大学・早稲田大学の基本合意書を発表し、正式的にもそういうことが世間にわかるように発表しますが、今回両校間で「環境と持続的発展」、この方向に向けての共同の大学院をこれから作ることについて合意しました。教育に限らず、共同のテーマで研究も大いに進めていくつもりです。もともと大学院レベルの研究は協力してやっていたが、特に「環境と持続的発展」に関しては、両校で大学院を作って進めていこうということに合意した。このことはやはり日本が60年代の高度成長の影の問題としての公害問題があったことを踏まえて、これからの地球温暖化問題などの問題に対して両大学がアカデミックなレベルで研究を発展させる、これは胡主席が早稲田で話をされることと、福田首相が北京大学で話をされたことの趣旨にも沿うと思います。

早稲田大学の学生の福田愛さんも主席とのピンポンを楽しみにしていますが、長い歴史の中で色々な問題があることは我々直に認識しておりますが、そういう時だからこそ若者に話すことが大事だと思います。

◆大学院の話はもうかなり具体的になっていますか?

もうすでに合意書を交わしましたが、以前既に北京大学、清華大学など多くの大学と大学院レベルの研究を進めているのですが、今回は数年後を目指して共通の大学院を設立します。そのために今年からひとつの環境と持続的発展に関連した共同研究をはじめ、来年早々からダブル・ディグリーを準備し、ある程度発展した段階で両大学共同のカリキュラムを作り、初めての試みですが、国の違うひとつの大学院を作るのは画期的だと我々は考えています。

◆ある程度基盤をまず作り、それを固めてから、様子をみて大学院を作るというお考えですね。

双方のダブル・ディグリー、早稲田で言えば来年から環境エネルギーとアジア太平洋の2つの大学院で北京大学の学生を受け入れます。こちらからも北京大学の環境学院の方に学生を送ることでダブル・ディグリーを始めます。それをベースに数年後、制度を作りながら日本初、あるいは世界初の共同大学院を構想しようとおもっています。

◆共同のキャンパスをどこに置くのですか?

両方に置くと思いますが、まだ模索の段階です。

◆期待できる試みですね。今回の環境における協力、若者の交流などいずれもこの大学院によく反映されていると思います。このなかで胡主席が10年ぶりの国家主席として、また友好交流年という節目の年に訪日することに関して、どのような意義があると思いますか?

10年前に江主席が大隈講堂でお話されたとき、私は学部長としてその席におりましたが、歴史認識で大きな問題があって、それについて議論がありました。そのあとの10年、日本と中国の関係が、アカデミックの面ではじわじわ進んでいたのですが、政治や外交の世界ではかならずしも十分ではありませんでした。今回ようやく福田政権でいわゆる未来志向の環境をつくれるのではないか、その中でいま抱える問題も真剣に議論するという本来の基盤に戻るきっかけになるのではないかと思います。色々論議すべき問題もあるし、このあと継続していかねばならない問題もあると思います。だから大隈講堂でも積極的に話をしていただきたいです。双方がお互いに誠意を持って交流することが必要です。

◆今後の両国の関係を発展させるためには今回の首脳同士の会談が必要不可欠で、評価できると理解していいわけですね。

それにあわせて、今回はもともとアカデミックな世界での協力に一段と踏み込んで、とりわけ環境と持続的な成長について、手を取り合って教育を力強く進めるきっかけだと思います。

◆さらに交流するきっかけも提供してくれたわけですね。ところで福原愛さんは元気に頑張っていますか?

世界選手権に出るためには国際試合をこなさないと資格がないので、彼女は一年生ですがホテルでeーラーニング(インターネットを使った勉強)をしなければならないです。大学生としての勉強と選手としての活躍を両立させることは大変だと我々に言っていますが、それでも頑張っているので我々も応援しています。レポートもちゃんと出しています。大学のキャンパスに出てくるチャンスが少ないですが、インターネットなどの形でぜひ勉強する機会を使ってほしいです。

◆今回の北京オリンピックに福原選手が出場しますが、どういう風にがんばってほしいですか?

頑張ってほしいですね。福原選手の中国語は東北なまりが強いと聞いていますが、そういうことを含めて若者がスポーツを通して交流できるように期待しております。

早稲田大学 天児慧教授

それぞれが日中関係の重要性を強調して、いろいろ問題がある中で、前向きに、どのように前進していくかについて話し合い、その上で個々の具体的な問題に対して前向きに取り組もうということを示した。その意味では意味がある会談とその下での共同声明だったと思います。

◆早稲田の演説について

我々早稲田の人間であり、日中関係の健全な発展を願う者としては、早稲田での演説が きれいごとをならべるのではなく、日本の人々の心に触れるような、心情がにじみ出るような演説をしてほしい。昨年の4月に温家宝総理が国会でされた演説は非常に質の高いものだったと思います。いろいろな逆風があるなかで国家主席が何を言うか、期待しております。

中国に留学している日本の女子高校生(大岡玲奈さん)

慶応義塾女子高校2年の大岡玲奈です。去年8月父の転勤で北京に来ました。今、「インターナショナル北京」というインターナショナルスクールに通っています。

◆大岡さんは青年友好交流年の北京での開会式に日本側の青年代表として参加したと聞いております。いかがでしたか?

その会は人民大学で行われて、その場で胡錦涛主席にお茶を差し上げることが出来て本当に光栄な機会をいただいたと思います。もう一人の天津から来た方にお茶を点てていただいて、私が半東(はんとう)という役目としてお茶を差し上げさせていただきました。

◆そのときに印象に残ったことは?

主席がお部屋に入られたとき、威厳に満ちたオーラを放たれて、お茶わんを持っていた私の手は完全に震えていました。主席はテレビで見るより大きく感じました。裏千家にも以前行かれたことがあるそうで、すごく丁寧な作法で飲んでいただけました。日本の文化をよく理解していただいているのだなととてもうれしい気持ちになりました。

甲府市 神宮寺敬さん

今度の訪問について胡錦涛主席が暖かい春の旅にしたいと言ったように、今回の旅が本当にこの優しい言葉に示されているように進められていることをうれしく思います。戦略互恵、お互いが良いように、お互いが助け合う、今回の訪問がその出発点になればよいです。具体的には問題が残るかもしれないですが、大きな目で見て戦略的互恵関係の出発点にしましょうということはこれからの日中関係についての大きな進歩だと思います。

◆福田首相と胡主席による「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」は、72年の国交正常化以来、4番目の共同文書発表となりましたが、神宮寺さんはこの共同声明に関してどのようにおもいましたか?

全面的に賛成ですし、全面的に効果的な共同声明だと思います。具体的にはいろんな難しい問題が出てくると思いますが、基本的にはいずれも戦略的互恵、互いに話し合いで解決しましょうと、毎年お互いに訪問し合いましょうということをみんなが期待しています。

◆神宮寺さんは高校1年生のお孫さんにも、中国に訪問する青少年交流団に参加してほしいとおっしゃっていたのですがどのような思いが託されているのですか?

日中の友好の仕事は世世代代と私たちは決めておりますから、世世代代ということは子供も孫も、その子供もということであるので、今度孫の一人を送り出します。おじいちゃんおばあちゃんがやっていることを見ていますから、自分たちも中国へ行ってみたいと決めていると思います。

京都市 吉村澄代さん

朝からテレビに首付けで見ていました。タラップを降りた映像では、多くの留学生や昔知り合った日本の友人が出迎えるなか、非常ににこやかな表情で降りてきたので、温厚な性格だと多くの日本人が思ったのではないでしょうか。

◆これからの日程で一番期待しているシーンは?

それは、やっぱり早稲田大学での講演ですね。これから日本を担っていく若い人たちに向かってどんなメッセージを隣の大国の中国の指導者が伝えるのか、これからの日本の若い人にどんなインパクトを与えるのかに興味があります。

◆講演でどのようなメッセージを出してほしいですか?

若い人たちにもっと中国を知ってほしいと訴えてほしいのと同時に、中国も日本をもっと分かりたいと伝えてほしいです。青少年交流を形だけではなく心から行いたいと伝えてほしいです。

早稲田大学の学生のコメント

早稲田大学政治経済学部3年の一場絵里香(いちばえりか)です。10年ぶりに中国の主席が日本に来てくださるということなので、すごくうれしいです。お隣の国なのでもっと仲良く出来たらいいなと思っています。あとパンダを2頭も中国から貸してくれるのですごくうれしいです。

早稲田大学政治経済学部3年の今上泉美(きんんじょういずみ)です。さっきも新聞を読んでいたのですが、どの新聞にも一面に出ていて、日本側からもすごく関心のあるテーマなのだなと思いました。

◆一人の大学生としては10年ぶりに中国の国家元首が訪日することをどう見ていますか?

10年ぶりっていうのがすごく以外でした。隣の国なのに10年空いたのは正直すごく長かったのではないかとおもいました。やっぱり隣の国ですし、中国は経済的にもすごく発展していて、協力していかないと日本にとっても中国にとってもマイナスだと思うので、これから外交的にも、経済的にも、政治的にももっと友好な関係が出来て、お互いが協力して発展していけたらいいなと思いました。

早稲田大学にも来てくださることはすごくうれしいことだと思いますが、一般の日本の国民にもわかるくらい具体的な成果が見えると、さらに日中の友好関係に拍車がかかると思います。

◆中国の留学生さんともよく付き合っていると思いますけれども、今後の中日の若者の交流に関してはどう考えますか?

僕ら早稲田大学の学生なので、中国人留学生が一番多い大学という特徴があります。マスメディアを通して中国を見てしまうと、いやなムードに流されてしまいますが、本当に個人個人で付きあっていけば、本当に人と人ということで分かりあえるし、個人を通さないと中国が見えないので、個人でまず中国人の友達をつくることが一番最初だとおもいます。

「CRI」 2008年05月08日

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