コウノトリ目トキ科の鳥の一種。絶滅が危惧されている動物としてはよく知られているトキですが、生きた化石としてはあまり知られていません。ですがトキは中国において、今から180~160万年前にあたる第四紀の氷河期の影響を受けずに、現代まで生きてきた正真正銘の生きた化石なのです。
トキの特徴とは一体どのようなものでしょうか?最もよくしられているトキの形態的な特徴といえば、やはりトキの体色ですね。パッと見は真っ白なトキですが、翼の下の方は薄いピンク色――いわゆる朱鷺色をしています。この朱鷺色は、世界的にも美しい色と称された色でもあります。また、トキの顔の部分には羽毛が生えていませんが、りんごのような鮮やかな緋色をしています。
飛行能力のあるトキですが、トキは渡りを行う鳥ではありません。渡りを行わずに、決まった土地にずっと生息している留鳥です。時折、冬場に高地から低地に移動することはありますが、それほど遠い場所にいくことはありません。また、繁殖期にはつがいで縄張りを持って生活しますが、非繁殖期には集団で生活するという生態的特徴があります。
長く伸びたトキのくちばしは、餌が食べにくそうに見えますが、トキにとってはそんなことはありません。トキは、この長いくちばしを器用に使って水田に住んでいるドジョウなどといった餌を探しては捕食しています。因みに、中国や日本での人工飼育下では人口飼料もトキに与えられていますが、最終的なところを放鳥としているので、野性に帰す訓練のためにも、生餌をあげることが多いようです。
ハクチョウなどの鳥と同様に、トキも一夫一妻制でつがいを作り、繁殖を行います。一度決まったつがいは片方が命を落とすまでは変わることはありません。また、夫婦間の絆を強くするために小枝渡しや相互での羽繕いなどの行動が見られる、とても夫婦間での関係を大切にする鳥です。
また、繁殖期になると、トキはその体色を変えます。非繁殖期には綺麗な白と朱鷺色をして美しいトキですが、繁殖期になると、灰色が入りまるで別の鳥になったようになってしまい、あまり綺麗ではなくなります。 |