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論点  
中日「互恵」時代への期待

待たれるビッグ・プロジェクト

 江原 日本の対中投資が一巡したことや、自動車関連の大型投資が出そろったことなどが背景にあるとされていますが、最近、省エネや環境保全の分野で日本企業からの投資を受けたいというミッションが相次いでいます。環境保全や省エネは中国の最大関心事ですから、今後こうした分野やサービス産業などで日本の対中投資が伸びると期待できるでしょう。

ただ、人件費の上昇、加工貿易の制限、優遇措置の調整、人民元高など、投資環境が変化していることも、日本の対中投資に影響していると思います。

また、中国は輸出先としての魅力も増しているようです。富裕層が拡大しており、これをターゲットにした新しい輸出需要の拡大が期待されていますし、中国政府が輸入の促進を積極に展開しようとしていることも、日中貿易の拡大にとってチャンスでしょう。日中経済関係は成熟してきており、伸び率より中身が重要です。

張季風 中日経済関係は、貿易がハイレベルで「徘徊」(横ばい)、投資は急減している状況にあります。中日貿易は中国側の赤字(注2)となっており、バランスさせる努力が必要です。これからは、農産物などの輸出入を増やすなど、双方にメリットのあるような仕組みを作らなくてはなりません。

日本の対中投資では、両国政府間で決断しなくてはならないような大きなプロジェクトがほしいですね。例えば、北京―上海間高速鉄道(新幹線)、原子力発電所の建設、身近な例では、北京の地下鉄や都市鉄道などです。

北京は大都市ですが、東京、ニューヨーク、パリなどと比べると、地下鉄も都市鉄道も比較にならないほど総延長が短い。こうした都市交通網の発達は、交通渋滞、環境汚染など、中国が抱える問題を軽減する上で大きな力となります。日本が集中的に協力すれば、中国人民から感謝されるでしょうし、対中ビジネスにも市場拡大などでプラス面が非常に多いはずです。

もう一つ、中日関係では対中ODAのことに触れなければなりません。日本のODAは「改革・開放」政策に貢献し、ビッグ・プロジェクトも多く、日本企業の対中ビジネスにも役立ったと思います。対中ODAでまだまだやるべきことは多いのですが、残念ながら2008年で終了します。

今後は、三北防風林(注3)の建設や中国のモータリゼーション対応型のプロジェクトなどで、ODAに代わる中日共同プロジェクトを展開し、世界にアピールしたらいいと思います。

この点では、日本の自動車メーカーが中国の合弁会社でハイブリッドカーなど、環境にやさしい車づくりを実践しているのは、非常に高く評価できます。

胡錦涛主席の訪日で、大きな中日共同プロジェクトが出てくることを期待したいですね。

江原 ビッグ・プロジェクトもよいですが、中国から日本への投資が増えてほしいですね。双方向の交流で今後、何が一番重要かといいますと、中国の対日投資だと思います。日本の対中投資に比べたら比較にならないほど少ないわけですが、中国は「走出去」(注4)を国家戦略として強力に推進しており、また、日本にも、とくに地方には、中国から投資を受けるメリットが少なくありません。そう感じている人も増えています。

中国からの投資が増えれば、両国間で水平貿易関係が構築され、貿易赤字もそれほど問題にされなくなるでしょう。日中双方向の経済交流の拡大という視点から、中国の対日投資が今後どう展開するか、注目しています。

そのためには、両国間の情報交流や相互理解をもっと深めるための枠組みづくりが必要です。これも日中間の大きなプロジェクトといえます。

「人民中国インターネット版」2008年4月14日

 

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