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中国を透視する―中国・一問一答  
問 中国は一貫して内需の拡大に努めているが、遅々として達成できないでいる。原因は、民生が基本的に保障されていないことにあるのか。社会保障システムを構築、改善させるためにどんな措置を講じ、どんな構想があるのか。システムはいつごろ構築される計画か。

 中国の改革と建設の最終目標は、人々の日増しに高まる物質的、文化的要望を満たすことにある。それには、衣食住や交通手段といった民生の問題を解決することが必要となる。現在最も重要なのは、養老や医療・衛生、教育、住宅などで基本的な社会保障システムを構築することだ。

ここ数年、政府が都市・農村部をカバーする社会保障システムの構築に取り組んできたことから、国有企業の一時帰休者の基本的な生活は確保され、企業の定年退職者も期限通り基本養老年金を全額もらえるようになった。また、さまざまな保険制度改革を積極的かつ確実に推進した結果、社会保険の加入率は拡大しつつあり、保障能力は一段と増強された。統計によると、05年末現在、加入者は養老年金が1億7487万人、医療・衛生が1億3783万人、失業が1億648万人、労働災害が8478万人、出産は5408万人にのぼる。広大な農村でも、全国1534の県(市、区)が最低生活保障制度を設けており、776万5000人の農民、384万5000世帯が最低限の生活を保障されるようになった。社会保障システムの骨組みはほぼ確立された、と言っていいだろう。

今後数年間に、次の面から社会保障システムをさらに整備、完備させていく方針だ。

第1に、プールされた資金と個人口座を一体化した現行の基本養老保険制度を完備させ、徴収した分だけ支払う今の制度を、一部を累積する制度に転換するとともに、基金の資金運用を強化することで、高齢化のピークに備える。同時に、条件の整った企業に対しては、企業年金を設けるよう奨励し、機関や事業体の養老保険制度の改革を推進する。

第2に、現行の都市医療保険の基本制度、資金調達や運営、管理方法を完備して、全住民をカバーする医療保障制度を徐々に確立する。

第3に、都市・農村部の社会保障制度を統一化するため、農民就労者も労働災害保険に加入させるとともに、重病医療保険への加入を積極的に進める。また農民就労者の養老保険政策についても検討する。土地を収用された農民の就業訓練や保障を円滑に進めるほか、条件の整った農村では、養老保険制度を徐々に試験的に実施する。

第4に、都市・農村部の社会保障制度を着実に実施したうえで、10年までに社会援護システムと農村の最低生活保障制度をほぼ確立する。経済的に困難な農民の基本的な生活を長期にわたって保障する制度を確立して、救済の範囲を絶えず広げ、また救済の質も高める。

中国の目標は、20年までに、都市・農村部のすべての住民をカバーする社会保障システムをほぼ構築することだ。これは、今後10数年の間に、養老年金や医療、失業、労働災害の保険加入者数が現在に比べて数倍拡大することで、世界最大の社会保障システムとなり、住民のすべてが社会主義という大家族の温かさを実感できることを意味している。

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