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元駐日特派員林国本さんの眼  
災いを転じて福に

                   林国本

今年の旧正月前に中国南部各省を襲った大寒波は、なにしろ50年ぶりという大災害なので、ふだんは小、中学校の教科書やテレビでしか大吹雪がどんなものか目にしたことのない中国南部の人たちにとってはまさにたいへんな初体験であった。

筆者も以前中国東北部黒竜江省のハルビンのホテルで、生まれてはじめてスキーを体験しにきたという、香港の若者たちの姿をよく見かけた。筆者はまだ現役のジャーナリストであった頃、冬に北京から広州や海南島に行く時には、ダウンジャケット姿でフライト便に乗り込み、到着の半時間ぐらい前に飛行機の化粧室で大急ぎで夏物の衣類に着替えていたことを今でもよく覚えている。

それだけ温度差が違うのだ。

今回はさいわい、中央政府、地方政府の決断力、リスク対応力によって被害を最小限に抑えることができ、また、即時に復旧態勢に入ったため、テレビの画面に写る地元の人たちの自信にみちた顔を目にするようになった。

高圧電線をつなぐ鉄塔の突然の倒壊で殉職した人たち。長蛇の列をなすトラック、大型バスの間を縫って食べ物、飲料水を送り届ける中で、さらには応急の交通整理の中で殉職した人たちのご冥福を祈るとともに、この大災害を乗り越えて再建に打ち込む人たちにエールを送りたい。

今回の復旧、再建の中で、発想の転換がいたるところで目につく。たとえば、通信回線の復旧作業では、一挙に光ファイバー回線に切り換えたことなどがそれである。

特派員として日本に長期滞在していたときに、たぶん日本経済新聞だと思うが、伊勢湾台風の大被害の際にそれまで狭軌であった近鉄のレールを災いを福に転じて一挙に広軌に切り換えた、という記事が掲載されていた。災害とか曲折は完全に避けられるものではない。今回の南部の復旧工事を見ても、当局の先見性を見て取ることができる。改革、開放30年らい、いろいろ曲折もあったし、外的環境の変化による困難もあったが、舵取りは良かったと思う。さあ、次の30年はどうか。中国の急速な発展を好ましく思っていないごく少数のものたちのいやがらせもあるに違いないが、大多数の人たちのコンセンサスは和諧社会に向かって前進しつづけることを願っていることはたしかだ。今回の中国南部の大災害を教訓として、危機管理にさらに力を入れながら、ひとつ、ひとつ仕事を完ぺきにこなして、中程度の発展レベルの先進国というすべての国民の願いを実現したいものだ。だが、たとえそれが実現してもおそらく環境、雇用、若い世代のビジョンや生きがいなど、豊かな社会なりの課題を抱え込むことにならない、とは言えない。そのための学習を今からでも始めてもよいのではないだろうか。

「北京週報日本語版」2008年4月2日

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