答 地球温暖化は争えない事実だ。地球規模の気象変動は同様に、中国にも影響を与えている。なかでも高温による干ばつなどの災害と密接な関係がある。おおまかな統計によると、自然災害による直接的な経済損失は、派生的な災害も含めて2000億~3000億元と、GDPの約2~5%を占めている。06年だけでも、2704人が死亡し、経済損失は約2120億元に達した。台風や強烈な熱帯暴風による災害と損失が最も深刻で、直接的な経済損失は699億元にのぼった。
このほか、地球温暖化がもたらすエルニーニョ現象の発生で、中国の南部は水害、一方で北部は干ばつに見舞われ、冬の気温が高くなる確率も増大している。平均気温が上昇し、蒸発が強まることで、全体的に北部では水不足と自然災害がさらに深刻化し、農業生産にもより重大な影響を及ぼしており、とくに穀物生産が最も直接的な影響を受けている。気候が暖かくなると、作物の成長は速まり、生長期も一般に短くなるため、物質の蓄積と種の数が減少することは、10数億の人口を抱える中国の食糧安全にかかわる問題だ。
気象変動による災害の主因は人類の活動にある。より正確に言えば、工業化時代を迎えてから人類が排出してきた温室効果ガスなどの汚染物によるものだ。「京都議定書」では、発展途上国は排出削減を義務づけられていないが、それでも中国は率先して、「京都議定書」を批准して締約し、さらに06~10年の国民経済発展計画で、GDP単位当たりのエネルギー消費を05年比で約20%削減することを明確に求めた。また国家気象戦略も制定した。全面的かつ総合的な発展戦略であり、なかでもGDP単位当たりのエネルギー消費を削減し、クリーンエネルギーを最大限使用するといった原則は、国のエネルギー消費指標の達成にプラスとなるはずだ。これらは、政府が気候の温暖化問題に真摯に対応し、責任を担っていることを示すものだ。
さらに、気象変動の監視や測定、予測、影響、対策の研究を強化するため、気象や気象の変動、生態と農業に関する気象、大気の成分、人工気象の影響、宇宙気象、雷電などを中心とする業務システムを構築し、気象と自然災害の予測・予報を強化した。気象に関するサービスを提供する能力はこれによって著しく向上し、また気象変動の研究と対応に有力な科学的データを提供できるようになった。
07年には気象災害監視予報プロジェクトが全面的に始動した。環渤海やその周辺海域の気象災害監視予報システム(第1期)を構築したほか、国家気象台を建設して業務を試験的に行うとともに、地域気象台ネットワークの構築を加速させている。同時に、158のレーダーネットワークを構築するため、新世代の極軌道気象衛星(ポラ・オアビト・メテオロロジカル サトライト)を打ち上げ、新世代気象レーダーへの投入が大幅に進む。衛星の運行と気象レーダーネットを構築することで、気象や海洋、農業、林業、水利、航空、航海、環境保護などに公益性と専門性の高いサービスが提供できるようになり、世界の自然災害の防止と減少にも大きな貢献ができるだろう。 |