林国本
改革・開放政策実施いらい、すでに30年になる。急速な発展であったので、その間曲折がなかった訳ではないが、とにかく中国には大きな変化が起こった。
国外旅行が開放されていらい、数多くの中国人観光客が外国へ出掛けており、北京や地方の空港でよく国外旅行に出掛ける団体さんの姿を見かける。筆者の知人の子供も、添乗員として、一年の半分ぐらいはヨーロッパ各国をまわっている。ショッピングの点では、中国人観光客はかつての日本人観光客にも劣らない購買力を示している。筆者が特派員として日本に長期滞在していた頃は、国内にいた時より“質素”な生活をしていた。北京にいた時の方がよっぽど楽な生活をしていたように感じていた。北京にいた時は、夏はスイカを丸ごと一個か、二個買ってきて、冷やして一家で平らげていたが、物価高世界一の東京では、スーパーでスイカを三分の一、多くて半分買っていた。そういうことで、三回目に特派員派遣という話があった時は、上司に失礼だったが遠慮したのを今でも覚えている。特派員で東京に超長期滞在したためか、過労やその他で帰国の数年後に三途の川を渡ってしまった知人もいる。さいきんでは、留学生の間でも、中国に帰って起業し、東京で言えば、「億ション」クラスの住宅に住んでいる人もいる。次の30年で中国がさらにグレードアップすれば、さらに新しい変化が起きるかもしれない。
もちろん、外国のメディアの論評を見ていると、弱気筋とも言える分析がかなり目につく。オリンピック以後の中国経済の腰折れという論評もそのひとつ。
筆者はエコノミストではないので、まったく素人の見解であるが、ジャーナリスティックな眼で考察すると、オリンピックぐらいのニーズは中国のような広大の国土の国にはまだゴロゴロころがっている。環渤海湾メガロポリスベルトの開発ひとつをとっても、まさに50年を必要とするウルトラ級のプロジェクトであり、西部、中部の開発も数十年は必要とする一大事業である。強気筋は、30年は高成長が続くと見ている。ニュートラル(中立的な)見方でも、20年は大丈夫、という見方が大勢を占めている。
今回の全人代で、代表たちがいろんな提案をおこなっている。これは非常にいいことだ。その中には次の30年の参考となるネタがたくさんある。このあたりで冷静に次のグランド・デザインを描いて、それを一歩、一歩実現していけば、中国は中レベルの先進国の域に達するであろう。その途中に曲折もあろうが、ある意味では曲折は物事をさらに深く考えるキッカケともなる。筆者が特派員として東京にも滞在していた頃は日本のバブルの絶頂期であった。少子高齢化、年金問題、非正規雇用問題…。さいきんの日本の新聞を見ていると、だいぶ雰囲気が違うようだが、中国も高成長の中で、豊かになる中で新たに浮上している問題に先手を打ち、予測能力でもって曲折を避け、曲折の芽となるものをプラスに換えて前進することを願っている。中国の各省、直轄市、自治区にはすばらしいシンクタンクがある。強気、ニュートラル、弱気の分析のすべてを参考にして、最良のシナリオができることを願っている。
「北京週報日本語版」2008年3月26日 |