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政策・法規  
中華人民共和国水法

 

(2002年8月29日、第9期全国人民代表大会常務委員会第29回会議にて採択)

目次

第一章 総則

第二章 水資源計画

第三章 水資源の開発、利用

第四章 水資源、水域および水利施設の保護

第五章 水資源の配分および節約使用

第六章 水事紛糾の処理および法執行、監督、検査

第七章 法律責任

第八章 附則

第一章 総則

第一条 水資源を合理的に開発、利用、節約および保護し、水害を防止し、水資源の持続的利用の実現を図り、国民経済と社会発展の需要に適応するために、この法律を制定する。

第二条 中華人民共和国領域内において水資源の開発、利用、節約、保護、管理および水害防止を行う場合は、この法律を適用する。

この法律において、水資源とは、地表水と地下水を含むものとする。

第三条 水資源は国家に帰属する。水資源の所有権は国務院が国家を代表して行使する。農村集団経済組織の貯水池および農村集団経済組織が建設・管理するダムの水の使用権は、各農村集団組織に帰属する。

第四条 水資源の開発、利用、節約、保護および水害防止においては、全面的に計画を立てるとともに、統一的な計画と各方面への配慮、主要な部分と副次的な部分の整備、総合利用、効果と利益への追求を図ることで、水資源の多様な機能を発揮させ、生活用水、生産用水、生態環境用水の相互協調を行わなければならない。

第五条 県級以上の人民政府は水利インフラ整備を強化し、それを所管地域の国民経済・社会発展計画に盛り込まなければならない。

第六条 国家は機関[1]および個人が法に則って水資源を開発・利用することを奨励し、またその合法的権益を保護する。水資源の開発・利用を行う機関および個人は、法に基づいた水資源の保護が義務付けられる。

第七条 国家は水資源に対して法に則って採水許可制度および有償使用制度を実施する。ただし、農村集団経済組織およびその構成員が使用する当該組織の貯水池、ダムの水は、この限りでない。国務院水行政主管部門が全国の採水許可制度および水資源の有償使用制度の実施に関する組織体制を整備する。

第八条 国家は節水を励行し、節水措置の普及に力を入れ、節水につながる新技術、新工法を押し広め、節水型工業・農業・サービス業を振興させ、節水型社会を確立する。

各地の人民政府は、節水管理の強化、節水技術の開発・普及体制の確立、節水産業の育成・振興を図るための措置を採らなければならない。

機関と個人は節水の義務を負う。

第九条 国家は水資源の保護にあたって、植生の保護、植林・植草の実施、水源の涵養、土壌流出・水質汚染の防止、生態環境の改善など有効な措置を採らなければ成らない。

第十条 国家は水資源の開発、利用、節約、保護、管理および水害防止に関する先進的な科学技術の研究・普及、応用を奨励する。

第十一条 人民政府は、水資源の開発、利用、節約、保護、管理および水害防止などの分野で著しい成績を収めた機関および個人を褒賞する。

第十二条 国家は水資源に対して、流域管理と行政区域管理を結合した管理体制を実施する。

国務院水行政主管部門は全国の水資源の統一された管理および監督を担当する。

国務院水行政主管部門は国家が定める重要な河川、湖沼に設置した流域管理機構(以下、流域管理機構と称する)において、その管轄する範囲内において法律、行政法規に規定されるおよび国務院水行政主管部門から授けられた水資源管理と監督の責任を行使する。

県級以上の地方人民政府水行政主管部門は規定された権限により、当該行政区域内の水資源の統一された管理および監督を担当する。

第十三条 国務院の関連部門は、その職責に基づいた業務分担を行い、水資源の開発、利用、節約、保護に関する活動に責任を負う。

県級以上の地方人民政府関連部門は、その職責に基づいた業務分担を行い、当該行政区域内の水資源の開発、利用、節約および保護に関する活動に責任を負う。

第二章 水資源計画

第十四条 国家は全国の水資源戦略計画を制定する。

水資源の開発、利用、節約、保護および水害防止は、流域、区域によって計画を統一的に制定しなければならない。計画は流域計画と区域計画に分かれる。流域計画は流域総合計画と流域専門計画で構成され、区域計画は区域総合計画と区域専門計画で構成される。

前項の総合計画とは、経済社会発展のための需要および水資源開発利用の現状に基づいて編成された、水資源の開発、利用、節約、保護および水害防止の全体的な計画を指す。前項の専門計画とは、洪水防止、冠水対策、灌漑、水上輸送、給水、水力発電、竹材と材木の流し、漁業、水資源保護、水土保全、「防砂治砂」[2]、節水などの計画を指す。

第十五条 区域計画は当該流域の流域計画に準拠し、専門計画は総合計画に準拠する。

流域総合計画および区域総合計画、さらに土地利用と密接な関係を持つ専門計画は、国民経済・社会発展計画、土地利用総合計画、都市総合計画および環境保全計画と協調すべきものであり、また各地域、各業界の需要を併せて考慮しなければならない。

第十六条 計画の制定においては、水資源をめぐる総合的で、かつ科学的調査および評価を行わなければならない。水資源をめぐる総合的で、かつ科学的調査および評価は、県級以上の人民政府水行政主管部門が同級の関連部門とともに行う。

県級以上の人民政府は、水文および水資源情報システムの整備に力を入れなければならない。県級以上の人民政府の水行政主管部門および流域管理機構は、水資源に対する動的観測を強化しなければならない。

基本的水文データは国家の関連規定に基づいて公開しなければならない。

第十七条 国家が定める重要な河川、湖沼の流域総合計画は、国務院水行政主管部門が国務院関連部門および関連省、自治区、直轄市の人民政府とともに編成し、国務院の認可を受ける。省、自治区、直轄市の境を跨ぐその他の河川、湖沼の流域総合計画および区域総合計画は、関連流域管理機構と河川、湖沼が所在する省、自治区、直轄市人民政府水行政主管部門および関連部門によって編成され、それぞれ関係省、自治区、直轄市人民政府による審査、提案を受けた後、国務院水行政主管部門で査定を行う。国務院水行政主管部門では国務院関連部門の意見を求めた後、国務院又はそれに授権された部門に提出し、その認可を受ける。

前項で規定するその他の河川、湖沼の流域総合計画および区域総合計画は、県級以上の地方人民政府水行政主管部門が同級の関連部門および関連する地方人民政府と共同で編成し、同級の人民政府又はそれに授権された部門に提出し、その認可を受け、さらに行政上一つ上のランクに当たる水行政主管部門にその内容を報告し、登録しなければならない。

専門計画は県級以上の人民政府の関連部門が編成し、同級のその他の関連部門の意見を求めた後、同級の人民政府に提出し、その認可を受ける。中でも、洪水防止計画、水土保全計画の編成、認可は、洪水防止法、水土保全法の関連規定に基づいて行われる。

第十八条 計画は認可されると、必ず厳格に執行される。

認可を受けた計画に変更の必要となった場合、計画編成のプロセスに従ってもとの認可機関の認可を受けなければならない。

第十九条 水利施設の建設は、流域総合計画に符合すべきものである。国家が定める重要な河川、湖沼および省、自治区、直轄市の境を跨ぐ河川、湖沼において水利工事を行う場合、その工事の実行可能性調査(F/S)に関する報告書により認可申請をする前に、関係する流域管理機構は水利施設の建設が流域総合計画に沿ったものであるかどうかについての審査を行い、意見書を提出する。その他の河川、湖沼における水利施設の建設については、その工事の実行可能性調査(F/S)により認可申請を行う前に、県級以上の地方人民政府水行政主管部門が管理権限に基づき、水利施設の建設が流域総合計画に沿ったものであるかどうかについての審査を行い、意見書を提出する。水利施設の建設が洪水防止に関わる場合は、洪水防止法の関連規定に基づいて行われる。その他の地域および業界に関連する場合は、建設機関が事前に関連地域および部門の意見を求めなければならない。

第三章 水資源の開発、利用

第二十条 水資源の開発、利用は、水利事業の振興と、水害対策との結合を堅持し、また、上流と下流、左岸と右岸、関連地域間の利益を併せて配慮し、水資源の総合効果を十分に発揮させ、更に洪水防止の全体計画に従うべきである。

第二十一条 水資源の開発、利用は、まず都市部・農村部住民の生活用水の需要を満足させ、農業、工業、生態環境用水および水上輸送などの需要を併せて配慮しなければならない。

干ばつ、半干ばつ地域において水資源の開発、利用を行う場合は、生態環境用水の需要を十分に配慮しなければならない。

第二十二条 流域の境を跨ぐ導水は、全面的な計画と科学的な論証を行い、各方面への配慮を行った上で取水流域および注入流域の用水需要に配慮を加え、生態環境への破壊を防止しなければならない。

第二十三条 地方各級の人民政府は当該地域の水資源の実際状況に鑑み、地表水と      地下水の統一された管理・調整および開発、水源開発と節水の両立、節水を優先する、および汚水を処理した上で再利用を行うという原則に従って、水資源の合理的開発、総合利用を行わなければならない。

国民経済・社会発展計画、および都市総合計画の編成、重点建設プロジェクトの配置は、当該地域の水資源条件および洪水防止の要求に適応すべきものであり、また、科学的論証を受けなければならない。水資源の不足している地域においては、都市の規模、および水の使用量が大きい工業、農業、サービス業プロジェクトの建設に制限を加えなければならない。

第二十四条 国家は、水資源の不足する地域において雨水や薄い塩水の収集、開発、利用および海水の利用、淡水化を奨励する。

第二十五条 地方の各級の人民政府は灌漑、冠水排除、水土保全活動の指導に力を入れ、農業生産の発展を促進しなければならない。塩害や冠水被害が発生する恐れのある地域においては、地下水の水位を制御し、引き下げるよう措置を採らなければならない。

農村集団経済組織又はその他の構成員が法に則って、当該集団経済組織が所有する集団の土地又は請負用地にその投資する水利施設を建設する場合、その投資、建設を行った者が管理し、利益を受けるという原則に基づき、水利施設およびその貯水に対して管理と合理的使用を行う。

農村集団経済組織によるダムの建設は、県級以上の人民政府の水行政主管部門による認可を受けなければならない。

第二十六条 国家は、水力資源の開発、利用を奨励する。水力の豊富な河川では多目的での、かつ段取りに分けた開発を計画的に行わなければならない。

水力発電所の建設は生態環境を保護し、洪水防止、給水、灌漑、水上輸送、竹材と材木の流しおよび漁業などの分野の需要を併せて配慮しなければならない。

第二十七条 国家は、水運資源の開発、利用を奨励する。水生生物の回遊路、水上交通路      又は竹材や材木の流しに利用される河川上で固定水門堤防を建設する場合、建設事業者は魚、船舶、竹材・材木用の通過施設を同時に建設する、或いは国務院に授権された部門の認可を受けた上で、その他の補完措置を採る必要があり、更に施工と貯水期間において水生生物の保護、水上輸送および竹材・材木の流しを適切に手配しなけばならない。その      必要な費用は建設事業者が負担する。

水上交通が行われていない河川又は人工水路に水門堤防施設を建設した後、水上交通が行われるようになる場合、水門堤防施設の建設事業者は船舶の通過施設を建設し、又は船舶の通過設備の建設予定場所を予め確保しておくべきである。

第二十八条 如何なる機関および個人も導水、せき止め(貯水)、排水において、公共の利益および他人の合法的権益を侵害してはならない。

第二十九条 国家は水利施設の建設に伴う住民移転に対して「開発性移民」[3]という方針を採り、移転の前段階において補償、補助金支給を行い、後段階で扶助するという原則に基づき、移転住民の生産、生活に適切な手配を行い、更に彼らの合法的権益を保護する。

移転住民の安置は、施設の建設と同調して行わなければならない。建設事業者は      安置先の環境の許容能力を配慮し、持続可能な的発展という原則に基づいて、その土地の状況に合わせて移転住民の安置計画を編成し、法に従い認可を受けた後、関係する地方の人民政府によって実施されることとする。住民の移転に必要な経費は施設の建設に係る投資計画に取り込まれる。

第四章 水資源、水域および水利施設の保護

第三十条 県級以上の人民政府の水行政主管部門、流域管理機構、その他の関連部門は、水資源の開発・利用計画の制定および水資源の管理・調整を行う際に、河川の合理的流量および湖沼、ダム、地下水の合理的水位の維持に配慮を加え、水体の自浄能力を維持しなければならない。

第三十一条 水資源の開発、利用、節約、保護および水害防止などの水利事業に従事する場合は、認可を受けた計画を遵守しなければならない。計画に違反したことにより、河川および湖沼水域の使用機能の低下、地下水の過度な採取、地盤の沈下、水体の汚染を引き起こした場合、それを整備する責任を負わなければならない。

鉱物資源の採掘又は地下工事の施工において、排水により地下水位の低下、水源の枯渇又は地盤の陥没などを引き起こした場合、採掘事業者又は建設事業者は補完措置を採らなければならない。他人の生活や生産に損害を与えた場合は法に従って補償を行う。

第三十二条 国務院水行政主管部門は国務院環境保全行政主管部門、関連部門および関係する省、自治区、直轄市の人民政府と共同で、流域総合計画、水資源保護計画および経済・社会の発展需要に従って、国家が定める重要な河川、湖沼の水機能区分についての案を作成し、国務院の認可を受けた上で制定する。省、自治区、直轄市の境を跨ぐその他の河川、湖沼の水機能区分については、関係する流域管理機構と河川、湖沼が所在する省、自治区、直轄市の人民政府水行政主管部門、環境保全行政主管部門、その他の関連部門によって行われ、関係する省、自治区、直轄市の人民政府でそれぞれ審査を行い、意見書を提出した後、国務院水行政主管部門は国務院環境保全行政主管部門と共同で査定を行い、国務院又はそれに授権された部門に提出し、その認可を受ける。

前項の規定に含まれない河川、湖沼の水機能区分については、県級以上の地方人民政府水行政主管部門が同級の人民政府の環境保全行政主管部門および関連部門と共同で行い、同級の人民政府又はそれに授権された部門に提出し、その認可を受け、さらに行政上一つ上のランクに当たる水行政主管部門と環境保全行政主管部門に提出し、登録しなければならない。

県級以上の人民政府の水行政主管部門又は流域管理機構は、水機能区が持つべき水質基準および水体の自浄能力に基づいて、当該水域の汚染受容能力を査定した上で、環境保全行政主管部門に当該水域の汚染物質に関する総量規制についての意見を提出しなければならない。

県級以上の地方人民政府の水行政主管部門および流域管理機構は、水機能区の水質状況に対する観測を行い、重点汚染物質の排出総量が規制を行うための指標を超えたこと、又は水機能区の水質が水域の使用機能による水質への要求基準に達していないことが明らかになった場合、関係する人民政府に対策を講じるよう適時に報告するとともに、環境保全行政主管部門に通報しなければならない。

第三十三条 国家は飲料水の水源保護区制度を確立する。省、自治区、直轄市の人民政府は飲料水の水源保護区を設け、水源の枯渇および水体汚染を防ぐための措置を採り、都市部・農村部住民の飲料水の安全を保証しなければならない。

第三十四条 飲料水の水源保護区における汚水排出口の設置を禁じる。

河川、湖沼における汚水排出口の新設、改築、拡張は、管轄権を持つ水行政主管部門又は流域管理機構の同意を得なければならず、環境保全行政主管部門が当該建設プロジェクトの環境影響報告書に対して審査・認可の責任を負う。

第三十五条 施設を建設することで、農業灌漑用水源、灌漑排水施設を占用する、又は既存の灌漑用水、給水水源に不利な影響を与える場合、建設事業者は相応の補完措      置を採るべきである。損害を引き起こした場合、法に従って補償を行わなければならない。

第三十六条 地下水の過度な採取が行われた地域において、県級以上の地方人民政府は地下水の採取を厳格に制御するよう措置を採らなければならない。地下水の過度な採取が深刻な地域においては、省、自治区、直轄市の人民政府の認可を受けた上で、地下水の採取が禁止される、又は採取が規制される地区を設けることができる。沿海地域において地下水を採取する場合は、地盤の沈下や海水の浸入を防ぐために、科学的な論証を経て、措置を採らなければならない。

第三十七条 河川、湖沼、ダム、運河、水路内に流水を遮るような物品を放置、堆積し、放流を妨げるような樹木や穀類作物を植えることを禁じる。

河川の管理範囲内において放流を妨げる建築物、構築物を建設すること、および河の流れの安定に影響を与え、堤防の安全に危害を及ぼし、更にその他の放流を妨げる活動に従事することを禁じる。

第三十八条 河川の管理範囲内において橋梁、埠頭およびその他の河を遮る、横断する、河に面する建築物、構築物を建設し、河を横断するパイプ、ケーブルを敷設する場合は、国家が規定する洪水防止基準とその他の関連技術基準に符合しなければならない。工事の建設案は洪水防止法に記載されている関連規定に基づいて関係する水行政主管部門に提出され、その審査と同意を受けなければならない。

前項にいう工事施設の建設に伴い、既存の水利施設の拡大、改築、取り壊し、又は破棄を行う必要がある場合、建設事業者は拡大、改築の費用を負担し、その拡大、改築による損失を補償すべきである。ただし、既存の水利施設が違法施設である場合は、この限りでない。

第三十九条 国家は河川における砂利の採取に関する許可制度を設ける。河川の砂利採取許可制度の実施方法は、国務院が規定する。

河川の管理範囲内において砂利の採取を行い、河の流れの安定に影響を与える、又は堤防の安全に危害を及ぼす場合、関係する県級以上の人民政府水行政主管部門は採取禁止区および採取禁止期間を設定し、更にこれを公知しなければならない。

第四十条 湖の浅瀬を利用した土地の開墾を禁止する。すでに開墾されたものは、国家の規定する洪水防止基準に基づいてその開墾地を湖に戻さなければならない。

河川の浅瀬を利用した開墾を禁止する。開墾が必要な場合については、科学的論証を経て、省、自治区、直轄市人民政府の水行政主管部門又は国務院水行政主管部門の同意を得た上で、同級の人民政府の認可を受けなければならない。

第四十一条 機関および個人は水利施設を保護する義務を持ち、堤防、護岸、および洪水防止、水文観測、水文地質観測などに利用される水利施設を占拠し、破壊してはならない。

第四十二条 県級以上の地方人民政府は、当該行政区域内の水利施設、中でも堰堤や堤防の安全を保証し、期限付きで危険回避の措置を採るべきである。水行政主管部門は水利施設の安全のための監督管理を強化しなければならない。

第四十三条 国家は水利施設に対して保護を行う。国家が所有する水利施設は、国務院の規定に基づいて施設の管理および保護の範囲を設定されなければならない。

国務院水行政主管部門又は流域管理機構が管理する水利施設については、主管部門又は流域管理機構が関係する省、自治区、直轄市の人民政府と共同で施設の管理および保護の範囲を設定する。

前項の規定に含まれないその他の水利施設については、省、自治区、直轄市人民政府の規定に基づいて、施設の保護範囲と保護をめぐる職責を設定しなければならない。

水利施設の保護範囲内において、水利施設の運転に影響を与え、水利施設の安全に危害を及ぼす爆破、井戸の掘削、土石の採取などの活動を行うことを禁じる。

第五章 水資源の配分および節約使用

第四十四条 国務院発展計画主管部門および国務院水行政主管部門は、全国の水資源のマクロ的調整を担当する。全国の、および省、自治区、直轄市の境を跨ぐ水に関する中・長期需給計画は、国務院水行政主管部門が関連部門と共同で制定し、国務院発展計画主管部門の審査・認可を受けて実行に移す。地方の水に関する中・長期需給計画については、県級以上の地方人民政府の水行政主管部門が同級の関連部門と共同で、行政上一つ上のランクに当たる中・長期需給計画および当該地域の実情に基づいて制定し、同級の人民政府発展計画主管部門の審査・認可を経て実行に移す。

水に関する中・長期需給計画は水の需給の現状、国民経済・社会発展計画、流域計画、区域計画を拠り所にし、水資源の需給をめぐる協調性、総合的均衡性、生態系の保護、節約の励行、水源の合理的開発という原則に従って制定される。

第四十五条 地表水の調整・貯蓄および水量の配分については、流域計画および水に関する中・長期需給計画に基づいて、流域を単位として水量の配分についての案を制定しなければならない。

省、自治区、直轄市の境を跨ぐ水量配分案および干ばつが深刻化したといった緊急時の水量管理・調整準備案は、流域管理機構が関係する省、自治区、直轄市の人民政府と協議した上で制定し、国務院又はそれに授権された部門の認可を受けて実行に移す。その他の行政区の境を跨ぐ水量配分案および干ばつが深刻化したといった緊急時の水量管理・調整準備案は、これら行政区を所管する、一つ上のランクに当たる同一の人民政府の水行政主管部門が関係する地方人民政府と協議した上で制定し、同級の人民政府の認可を受けた後、実行に移す。

水量配分案および干ばつが深刻化したといった緊急時の水量管理・調整準備案が認可されると、関係する地方人民政府は実行に移さなければならない。

異なる行政区域が隣り合わせた河川において水資源の開発、利用プロジェクトを建設する場合、当該流域の認可された水量配分案に符合しなければならず、関係する県級以上の地方人民政府が、これら県を所管する、行政上一つ上のランクに当たる同一の人民政府の水行政主管部門又は関連流域管理機構に報告し、その認可を受けなければならない。

第四十六条 県級以上の地方人民政府の水行政主管部門又は流域管理機構は認可      された水量配分案と年度予測受水量に基づいて、年度水量配分案と調整計画を制定し、水量の統一調整を実施する。関係する地方人民政府はそれを遵守しなければならない。

国家が定める重要な河川、湖沼の年度水量配分案は、国家の国民経済・社会発展の年度計画に盛り込まなければならない。

第四十七条 国家は用水に対して総量規制と用水原単位による管理とを結合した制度を実施する。

省、自治区、直轄市の人民政府の関連業界主管部門は、当該行政区域内の業界用水原単位を設定し、同級の水行政主管部門および品質監督検査行政主管部門での審査・同意を得た後、省、自治区、直轄市の人民政府がそれを公布し、同時に国務院水行政主管部門と国務院品質監督検査行政主管部門に報告し、登録しなければならない。

県級以上の地方人民政府の発展計画主管部門は同級の水行政主管部門と共同で、用水原単位、経済技術条件および水量配分案が定めた当該行政区域への供給可能な使用水量に基づいて、年度用水計画を制定し、当該行政区域内の年度用水に対して総量規制を行う。

第四十八条 河川、湖沼又は地下から水資源を直接取水する機関および個人は、国家の取水許可制度および水資源の有償使用制度の規定に従い、水行政主管部門又は流域      管理機構に取水許可書の申請を行い、水資源費用を納入し、取水権を獲得しなければならない。ただし、家庭生活用水および分散して飼育された家畜や囲い飼いされた家畜の飲用水など取水量が少量である場合は、この限りでない。

取水許可制度の実施および水資源費用の徴収・管理の具体的方法は、国務院によって規定される。

第四十九条 用水は計量され、同時に認可された用水計画に基づいて使用されなければな      らない。

用水には計量による費用の徴収と原単位超過の場合での累進費用制度が実行される。

第五十条 各級の人民政府は、節水灌漑方式および節水技術を推進し、農業貯水、導水工     事に必要な滲水・漏水防止措置を採り、農業用水の効率を高めなければならない。

第五十一条 工業用水は先進的技術、プロセス、設備を用い、用水循環の回数を増やして水の重複利用を引き上げなければならない。

国家は立ち遅れた、水消費量の高い工程、設備および製品を徐々に淘汰する。その具体的リストは、国務院経済総合主管部門が国務院水行政主管部門および関連部門と共同で制定し、更にそれを公布する。生産者、販売者又は生産経営における使用者は定められた時間内にリストに明記された工程、設備および製品の生産、販売又は使用を停止しなければならない。

第五十二条 都市人民政府は地域の実情に基づいて、節水型生活用水器具を普及し、都市の給水網を構成するパイプの漏水率を引き下げ、生活用水の効率を引き上げるための有効な措置を採らなければならない。また、都市の汚水集中処理を強化し、再生水の使用を奨励し、汚水の再生利用率を引き上げなければならない。

第五十三条 建設プロジェクトの新築、拡張、改築は節水措置案を制定し、一連の節水設      備を整備しなければならない。節水設備は主体工事と同時に設計され、同時に施工され、また同時に使用に付されなければならない。

給水企業および給水設備を自己資金で設置した機関は、給水設備の維持管理に力を入れ、漏水を減少させなければならない。

第五十四条 各級人民政府は、都市部・農村部住民の飲料水条件を改善するための措置を積極的に採らなければならない。

第五十五条 水利施設が供給する水を使用する場合、国家の規定に従って給水機関に費用      を支払わなければならない。給水価格は、原価補償、合理的収益、良質に見合う価格、公平負担という原則によって確定される。具体的方法については、省級以上の人民政府の価格主管部門が同級の水行政主管部門又はその他の給水行政主管部門と共同でそれぞれの権限に基づいて制定する。

第六章 水事紛糾の処理および法執行、監督、検査

第五十六条 異なる行政区域間で起こった水事紛糾は、話し合いで処理しなければならない。話し合いが成り立たない場合は、行政上一つ上のランクに当たる人民政府によって裁決され、各関係者はその裁決結果を遵守しなければならない。水事紛糾が解決される前、各関係者が合意に達しておらず、又は行政上一つ上のランクに当たる同一の人民政府の認可を受けていない場合は、行政区域の境界線両側の一定範囲内において、如何なる片方は排水、水のせき止め、取水および貯水工事を行ってはならず、一方で水の現状を変えてはならない。

第五十七条 機関の間、個人の間、機関と個人の間で発生する水事紛糾は話し合いによって解決しなければならない。当事者が話し合いに望まない又は話し合いが不成功となった場合は、県級以上の地方人民政府又はそれに授権された部門の調停を申請することができ、人民法院に直接民事訴訟を起こしてもよい。県級以上の地方人民政府又はそれに授権された部門の調停が成立しない場合、当事者は人民法院に民事訴訟を起こすことができる。

水利紛争が解決される前に、当事者は一方で現状を変更してはならない。

第五十八条 県級以上の人民政府又はそれに授権された部門は水事紛糾を処理する場合、臨時措置を採る権利を有する。各関係者又は当事者はそれに服従しなければならない。

第五十九条 県級以上の人民政府の水行政主管部門および流域管理機構は、この法律に違反する行為に対して監督、検査を強化し、ならびに法に従って取り締まるべきである。

水政監督検査担当者は職務に忠実で、公平に司法活動を行わなければならない。

第六十条 県級以上の人民政府の水行政主管部門、流域管理機構およびその水政監督検査担当者がこの法律に規定されている監督検査の職務を履行する場合、以下の措置を採る権利を持つ。

(一)調査対象機関に関連文書、証書、資料の提供を求める。

(二)調査対象機関にこの法律の執行に関する問題についての説明を求める。

(三)調査対象機関の生産現場での立ち入り調査を行う。

(四)調査対象機関にこの法律に違反した行為を停止し、法定義務を履行するよう命ずる。

第六十一条 関連機関又は個人は水政監督検査担当者の監督検査作業に協力し、水政監督検査担当者によつ法に基づいた職務の執行を拒否したり、阻害したりしてはならない。

第六十二条 水政監督検査担当者は監督検査の職務を履行する際、調査対象機関又は個人に法執行に関する証書を提示しなければならない。

第六十三条 県級以上の人民政府又は上級水行政主管部門は同級又は下級の水行政主管部門が監督、検査の執務中に発生した違法な、又は失職に値する行為を発見した場合、期限付きでそれを改めるよう命じなければならない。

第七章 法律責任

第六十四条 水行政主管部門又はその他の関連部門および水利施設管理機関およびその職員は、職務上の便利を利用して他人の財産、その他の便宜を受け、又は職務を怠り、法に定められた条件に符合しない機関又は個人に許可証や署名入り審査同意意見書などを交付する、水量配分案に基づいた水量の配分を行わない、国家の関連規定に基づいた水資源費用を徴収しない、監督職務を履行しない、又は違法行為を発見しても処分を行わず、深刻な問題を引き起こし、更に犯罪が成立される場合は、責任を負うべき主管職員とその他の直接責任者に対して刑法の関連規定に基づいて刑事責任を追及する。刑事処罰に至らない場合は、法に従って行政処分を科す。

第六十五条 河川の管理範囲内に放流を阻害する建築物、構築物を建設した場合、又は水流の安定に影響を与え、堤防の安全に危害を及ぼし、その他の河川の放流を妨害する活動を行う場合、県級以上の人民政府の水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、その違法行為を中止させ、期限付きでその違法建築物、構築物を取り壊し、原状の回復を求める。期限が過ぎても取り壊し、原状の回復を行わない場合は、取り壊しを強いる。取り壊しに必要な費用は、違法行為があった機関又は個人が負担し、更に1万元以上10万元以下の罰金を科される。

水行政主管部門又は流域管理機構の同意を得ずに、水利工事を無断に行い、又は橋梁、埠頭およびその他の河を遮る、横断する、河に面する建築物、構築物を建設し、河を跨ぐパイプ、ケーブルを敷設し、更に洪水防止法に規定されない場合は、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構が権限に基づいて、違法行為を中止させ、期限付きで関係手続きを補完するよう求める。期限が過ぎても手続きを行わない、又は手続きが許認可されない場合は、期限付きで違法建築物、構築物の取り壊しを命ずる。期限が過ぎても取り壊しを行わない場合、取り壊しを強いる。取り壊しに必要な費用は違法行為を行った機関又は個人が負担し、同時に1万元以上10万元以下の罰金を科される。

水行政主管部門又は流域管理機構の同意を得たものの、要求通りに前項で挙げた関連施設を建設しない者については、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、期限付きで是正を求め、その状況の深刻さによって1万元以上10万元以下の罰金を科す。

第六十六条 下に挙げた行為のいずれかに該当し、かつ洪水防止法に規定されていない場合は、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、その違法行為を中止させ、期限付きで障害物除去又はその他の補完措置を採るよう求め、同時に1万元以上5万元以下の罰金を科す。

(一)河川、湖沼、ダム、運河、水路内において、洪水流下を阻害する物体を放置したり、樹木や長稈作物を栽培したりする。

(二)湖の浅瀬における開墾又は認可を取得せずに河川の開墾を行う。

第六十七条 飲料水水源保護区内に排水口を設置した場合は、県級以上の地方人民政      府が期限付きの取り壊し、原状の回復を命ずる。期限が過ぎても取り壊しを行わず、原状を回復しない場合は、取り壊しを強いり、原状回復を行い、同時に5万元以上10万元以下の罰金を科す。

水行政主管部門又は流域管理機構の審査、同意を得ずに、独断で河川、湖沼に汚水排出口を建設、改築又は拡張する場合は、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、違法行為の停止、期限付きの原状回復を求め、更に5万元以上10万元以下の罰金を科す。

第六十八条 生産、販売又は生産経営において、国家が規定する淘汰されるべき、立ち遅れた、水の消費量の高い工程、設備および製品を使用している場合は、県級以上の人民政府経済総合主管部門がその生産、販売又は使用の停止を命じ、2万元以上10万元以下の罰金を科す。

第六十九条 以下に挙げた行為のいずれかに該当する場合は、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、違法行為を中止し、期限付きで補完措置を採るよう命じ、2万元以上10万元以下の罰金を科す。犯した事実の重大なる者については、その取水許可証を取り消す。

(一)無認可で無断取水した場合。

(二)認可された取水許可証に規定された条件に従わずに取水した場合。

第七十条 水資源費用を不納、滞納した者は、県級以上の人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、期限付きの納付を命ずる。期限が過ぎても納付しない者は、滞納日より起算して滞納金額の千分の二にあたる滞納金を加算し、同時に納付すべき又は後納すべき水資源費用の2倍以上5倍以下の罰金を科す。

第七十一条 建設プロジェクトの節水施設が建設されていない、又は建設されても国家が定める要求に達しておらず、無断に使用に付した場合、県級以上の人民政府関連部門又は流域管理機構はその権限に基づいて、使用の停止、期限付きでの是正を命じ、更に5万元以上10万元以下の罰金を科す。

第七十二条 以下に挙げた行為のいずれかに該当し、犯罪が成立した者については、刑法の関連規定に従って刑事責任を追及する。刑事処罰に至らず、かつ洪水防止法に規定されない場合は、県級以上の地方人民政府水行政主管部門又は流域管理機構がその権限に基づいて、違法行為を停止し、補完措置を採るよう命じ、1万元以上5万元以下の罰金を科す。治安管理処罰条例に違反した場合は、公安機関が法に従って治安管理処罰を下す。他人に損失を与えた場合は、法に従って賠償責任を負う。

(一)水利施設および堤防、護岸などの関連施設を占拠、破壊する。洪水防止、水文観測、水文地質観測用施設を破壊する。

(二)水利施設の保護範囲において、水利施設の操作に影響を与え、水利施設の安全に危害を及ぼす爆破、井戸の掘削、土石の採掘などの活動を行う。

第七十三条 洪水防止用物資、洪水防止や冠水排除、農地水利、水文観測・測量用施設およびその他の水利設備および資材を独占、窃盗、強奪した場合、国家の救済、救助、洪水防止、移民安置・補償用資金、およびその他の水利建設関連資金を私腹に収め、流用した場合、更に犯罪の成立した者に対し、刑法の関連規定によって刑事責任を追及する。

第七十四条 水事紛糾の発生およびその処理過程において、騒動の扇動、集団殴打、公私財産の強奪、損壊、他人の人身自由の不法な制限などを行った場合、犯罪の成立した者に対し、刑法の関連規定によって刑事責任を追及する。刑事処罰に至らない者については公安機関が治安管理処罰を下す。

第七十五条 行政区域間で起こった水事紛糾において、以下に挙げた行為のいずれかに該当する場合、責任を負うべき主管職員とその他の直接責任者に対して、法に従って行政処分を行う。

(一)水量配分案と水量調整準備案の執行を拒む。

(二)水量の統一された調整に断固従わない。

(三)行政上一つ上のランクに当たる人民政府による裁決の執行を拒む。

(四)水事紛糾が解決される前に、各関係者が合意に達しない、又は一つ上のランクに当たる人民政府の認可を受けず、一方的にこの法律の規定に違反して水の現状を変更する。

第七十六条 導水、貯水、排水によって公共の利益又は他人の合法的権益に危害を与えた者は、法に従って民事責任を負う。

第七十七条 第三十九条に記載される河川での砂利の採取に関する許可制度に関する規制に違反した者に対する行政処罰については、国務院が規定する。

第八章 附則

第七十八条 中華人民共和国が締結又は参加する、国際的又は国境線に位置する河川、湖沼に関係する国際条約、協定は中華人民共和国の法律が規定するものと違う場合、国際条約、協定の規定を適用する。ただし、中華人民共和国が保留声明を行った条項はこの限りでない。

第七十九条 この法律にいう水利とは、河川、湖沼および地下水源における水資源の開発、利用、制御、調整および保護に関する各種施設を指す。

第八十条 海水の開発、利用、保護および管理は、関連法律の規定に基づいて執行される。

第八十一条 洪水防止活動は、洪水防止法の規定に基づいて執行される。

水汚染防止は水汚染防止法の規定に基づいて執行される。

第八十二条 この法律は2002年10月1日から施行する。

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