国務院令253号
(1998年11月18日に国務院第10回常務会議にて認可、中華人民共和国国務院令第253号)
第一章 総則
第一条 建設プロジェクトによって排出する新たな汚染が、生態系環境を破壊することを防止するため、当条例を策定する。
第二条 中華人民共和国の領域および中華人民共和国が管轄する他の海域において環境に影響を及ぼす建設プロジェクトを実施する場合、当条例を適用する。
第三条 汚染を排出する建設プロジェクトは、汚染物排出に関する国家基準と地方基準を遵守すべきである。重点汚染物排出総量規制を実施する区域では、重点汚染物排出総量規制の要求に適合させることが必要である。
第四条 工業プロジェクトでは、エネルギー消費が少なく、汚染物排出が少ないクリーナープロダクションを採用すると共に、自然資源を合理的に利用して、環境汚染と生態破壊を防止すべきである。
第五条 改造プロジェクトと拡張プロジェクトでは、措置を講じて当該建設プロジェクトと関わりの有る既有の環境汚染と生態破壊を整備すべきである。
第二章 環境影響の評価
第六条 国は、建設プロジェクトの環境影響評価制度を実施する。建設プロジェクトの環境影響評価活動は、相応の資格証書を獲得した部門が担当することとする。
第七条 国は、建設プロジェクトが環境に及ぼす影響に基づいて、下記の規定に従って建設プロジェクトの環境保全について分類管理を実施する。
(一)建設プロジェクトが環境に対して重大な影響をもたらす可能性がある場合、環境影響報告書を編成し、建設プロジェクトが排出する汚染物および環境に対する影響について全面かつ詳細な評価を実施することとする。
(二)建設プロジェクトが環境に対して軽度の影響をもたらす場合、環境影響報告表を編成し、建設プロジェクトが排出する汚染および環境に対する影響について分析あるいは専門評価を実施すべきである。
(三)建設プロジェクトが環境に対して大きな影響をもたらさず、環境影響評価を実施する必要がない場合、環境影響登録表を記入すべきである。
建設プロジェクトの環境保全分類管理リストは、国務院の環境保全行政主管部門が作成かつ公布する。
第八条 建設プロジェクトの環境影響報告書は、下記の内容を含むべきである。
(一)建設プロジェクトの概況。
(二)建設プロジェクトの周辺環境現状。
(三)建設プロジェクトが環境にもたらす影響の可能性についての分析と予測。
(四)環境保全措置、およびその経済的検証と技術的検証。
(五)環境影響の経済損益分析。
(六)建設プロジェクトに対して実施すべき環境モニタリングに関する提案。
(七)環境影響評価の結論。
水土保全に関わる建設プロジェクトは、水行政主管部門の審査同意を得た水土保全方案を必要とする。
建設プロジェクトの環境影響報告表と環境影響登録表の内容および様式は、国務院の環境保全行政主管部門が規定する。
第九条 建設部門は、建設プロジェクトの事業化調査段階に環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を提出して審査認可に委ねることとする。ただし、鉄道・交通など分野の建設プロジェクトは、審査認可権限のある環境保全行政主管部門の同意を経た上で、初歩設計完成以前に環境影響報告書あるいは環境影響報告表の審査認可を委ねることとする。
国の関係規定に従って、事業化調査を実施する必要のないプロジェクトの場合、建設部門はプロジェクト着工以前に建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を委ねることとする。その中、営業免許の処理を必要とする場合、建設部門は営業免許を処理する以前に建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を委ねることとする。
第十条 建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表は、建設部門が審査認可権限のある環境保全行政主管部門に報告を提出し、審査認可を委ねることとする。建設部門を管轄する業種主管部門が設立されている場合、環境影響報告書と環境影響報告表は業種主管部門の審査を経た上で、審査認可権限のある環境保全行政主管部門の審査認可に委ねることとする。
海岸建設プロジェクトの環境影響報告書と環境影響報告表は、海洋行政主管部門の査定を経た上で、環境保全行政主管部門に報告を提出し、審査認可を委ねることとする。
環境保全行政主管部門は、建設部門の環境影響報告書を受け取った日より60日以内に、環境影響報告表を受け取った日より30日以内に、環境影響登録表を受け取った日より15日以内に、それぞれ審査認可あるいは審査不認可の決定を下して、建設部門に通知すべきである。
環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の予備審査・審査確認・認可確定は、如何なる費用をも徴収してはならない。
第十一条 国務院の環境保全行政主管部門は、下記建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を担当することとする。
(一)核施設・機密工事など特殊の建設プロジェクト。
(二)省・自治区・直轄市の行政区域に跨る建設プロジェクト。
(三)国務院が審査認可した建設プロジェクト、あるいは国務院が関係部門に審査認可を授権した建設プロジェクト。
前項規定以外の建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可権限は、省・自治区・直轄市の人民政府が規定することとする。
建設プロジェクトが行政区域に跨る環境影響をもたらして、関連の環境保全行政主管部門の間で環境影響評価結論に対する争議が発生した場合、その環境影響報告書と環境影響報告表は共同の上級環境保全行政主管部門が審査認可することとする。
第十二条 建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が認可された後、建設プロジェクトの性質・規模・場所、あるいは採用する生産工程に大きな変化が発生した場合、建設部門は環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を改めて申請すべきである。
建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が認可された日より5年以上経った建設プロジェクトを着工建設する場合、その環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を、従来の審査認可機関にて改めて審査査定することとする。
建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が認可を経た後、建設プロジェクトの性質・規模・場所、および採用する生産工程に大きな変化が発生した場合、その環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表は従来の審査認可機関にて改めて審査査定することとする。従来の審査認可機関は、建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を受け取った日より10日以内に、審査査定意見を書面形式で建設部門に通知すべきである。限定期間内に通知しない場合は、審査査定に同意したものと見なされる。
第十三条 国は、建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事する部門に対して資格審査制度を実施する。
建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事する部門は、国務院の環境保全行政主管部門発行の資格証書を獲得し、資格証書規定の等級と範囲に従って、建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事し、また評価結果に対して責任を負うべきである。
国務院の環境保全行政主管部門は、資格証書を受領して建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事している部門のリストを、定期的に公布すべきである。その具体的方法は、国務院の環境保全行政主管部門が策定することとする。
建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事する部門は、国の定めた費用徴収基準を厳格に執行すべきである。
第十四条 建設部門は公開入札方式を採用し、環境影響評価活動に従事する部門を選択して、建設プロジェクトに対する環境影響評価活動を実施することができる。
如何なる行政機関も、建設部門のために環境影響評価機関を指定し、環境影響評価活動を実施させてはならない。
第十五条 建設部門は環境影響報告書を編成する際、関連の法律規定に従って、建設プロジェクト所在地区の関係部門と住民の意見を聴取すべきである。
第三章 環境保全施設の建設
第十六条 建設プロジェクトが必要とする付属建設の環境保全施設は、主体工程と同時に設計し、同時に施工し、同時に投入使用させるべきである。
第十七条 建設プロジェクトの初期設計は、環境保全設計規範の要求に従って、環境保全篇章を編成すべきである。また、認可された建設プロジェクトの環境影響報告書と環境影響報告表を依拠として、環境保全篇章の中に環境汚染と生態破壊の防止措置、および環境保全施設の投資概算を盛り込むべきである。
第十八条 建設プロジェクトの主体工程が竣工した後、テスト生産を必要とする場合、付属建設の環境保全施設を主体工程と同時にテスト運行に投入するべきである。
第十九条 建設プロジェクトのテスト生産期間、建設部門は環境保全施設の運行情況および建設プロジェクトが環境に及ぼす影響について、モニタリングを実施すべきである。
第二十条 建設プロジェクトが竣工した後、建設部門は当該建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を審査認可した環境保全行政主管部門に、当該建設プロジェクトが必要とする付則建設の環境保全施設の竣工検収を申請すべきである。
環境保全施設の竣工検収は、主体工程の竣工検収と同時に実施すべきである。テスト生産を必要とする建設プロジェクトの場合、建設部門は建設プロジェクトがテスト生産を開始した日より3ヵ月以内に、当該建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門に、当該建設プロジェクトに必要とする付属建設の環境保全施設の竣工検収を申請すべきである。
第二十一条 段階的に建設し、段階的に生産あるいは使用を開始する建設プロジェクトは、相応の環境保全施設も段階的に検収すべきである。
第二十二条 環境保全行政主管部門は、環境保全施設の竣工検収申請を受け取った日より30日以内に、検収を終了すべきである。
第二十三条 建設プロジェクトに必要とする付属建設の環境保全施設が検収に合格した後、当該建設プロジェクトは初めて正式に生産あるいは使用を開始することができる。
第四章 法律責任
第二十四条 当条例の規定に違反し、下記行為の一つが発生した場合、建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門が期間限定の補足手続処理を命じる。限定期間内に補足手続を処理せず、勝手に着工建設した場合、建設の停止を命じると共に、100000元以下の罰金に処すことになる。
(一)建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を経ていない場合。
(二)建設プロジェクトの性質・規模・場所、あるいは採用する生産工程に大きな変化が発生した後、建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が新たな審査認可を経ていない場合。
(三)環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が認可された日より5年以上経った建設プロジェクトを着工建設する際、その環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表が従来の審査認可機関にて新たな審査査定を経ていない場合。
第二十五条 建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表の審査認可を経ずに、あるいは従来の審査認可機関にて新たな審査査定を経ずに、勝手に着工建設した場合、建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門が、建設の停止および期間限定の原状回復を命じると共に、100000元以下の罰金に処すことになる。
第二十六条 当条例の規定に違反し、建設プロジェクトのテスト生産期間、付属建設の環境保全施設を主体工程と同時にテスト運行に投入しなかった場合、当該建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門が期限限定の改正を命じる。限定期間内に改正しなかった場合、テスト生産の停止を命じると共に、50000元以下の罰金に処すことになる。
第二十七条 当条例の規定に違反し、建設プロジェクトがテスト生産を開始した日より3ヵ月以内に、建設部門が環境保全施設の竣工検収を申請しなかった場合、当該建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門が、期間限定の環境保全施設竣工検収手続の処理を命じると共に、50000元以下の罰金に処すことになる。
第二十八条 当条例の規定に違反し、建設プロジェクトに必要とする付属建設の環境保全施設が未竣工、未検収・検収不合格の情況で、主体工程を正式に生産投入したり投入使用したりした場合、当該建設プロジェクトの環境影響報告書・環境影響報告表・環境影響登録表を認可した環境保全行政主管部門が、生産あるいは使用の停止を命じると共に、100000元以下の罰金に処すことになる。
第二十九条 建設プロジェクトの環境影響評価活動に従事する部門が、環境影響評価活動で虚偽を弄した場合、国務院の環境保全行政主管部門がその資格証書を抹消し、獲得収入の1倍~3倍の罰金に処すこととする。
第三十条 環境保全行政主管部門の職員が私利を獲得し、職権を濫用し、職務を冒涜し、犯罪を犯した場合、法に従って刑事責任を追及する。犯罪を犯すに至らなかった場合は、法に従って行政処分を与えることとする。
第五章 付則
第三十一条 流域開発・開発区建設・都市新区建設・旧市街区改造などの区域的開発は、建設計画を編成する際、環境影響評価を実施すべきである。具体的方法は国務院の環境保全行政主管部門が国務院の関係部門と共に規定することとする。
第三十二条 海洋石油探査開発建設プロジェクトの環境保全管理は、国務院の海洋石油探査開発環境保全管理の規定に従って執行することとする。
第三十三条 軍事施設建設プロジェクトの環境保全管理は、中央軍事委員会の関係規定に従って執行することとする。
第三十四条 当条例は発布の日より施行する。 |