答 90年代以降、中国の司法や税関、金融などの政府機関は麻薬犯罪や密輸、暴力団的な性格を持つ組織犯罪、腐敗などの分野でのマネーロンダリング、テロリズムの組織化された融資の取り締まりで一定の効果を収めてきた。だが現在、マネーロンダリング犯罪はより隠蔽的になり、手段も絶えず変化している。主として、合法的な金融システムを利用する、非合法な金融機関やインターネット、輸出入貿易を利用する、現金の密輸と投資を利用するなどだ。これらの経済分野での重大なマネーロンダリング行為はある程度、国の金融と社会の管理秩序を乱している。
マネーロンダリング犯罪を効果的に防止し、取り締まるために、また国の経済と金融の安全、正常な経済秩序を擁護するために、03年に中国人民銀行をトップに、23の政府機関で構成される「マネーロンダリング防止のための各部(省庁)連合協議会」を設立した。短期間に成果ある立法努力をしたことで、法律や行政法規、各部の規則を含む相対的に完備したマネーロンダリング防止のための法制度がほぼ確立された。とくに06年10月には、中国は「マネーロンダリング防止法」を審議して採択しており、マネーロンダリング防止の作業メカニズム、金融機関のマネーロンダリング防止義務などを明確に規定した。この法律の公布と施行は、犯罪行為に利する資金源とルートを即時に発見して遮断する、犯罪による所得を調査して没収する、マネーロンダリング犯罪とその関連犯罪を抑制する、犯罪被害者の財産権を保護する、法律の尊厳と社会正義を保護する、マネーロンダリング防止に関する国際協力への参加を円滑にする、中国の良好な国際イメージを維持するうえでプラスとなるものだ。
このほか、中国は立法を通じて金融機関に対し、それぞれ顧客の身分識別制度や身分証明書類・取引記録の保存制度、大口取引と疑わしい取引に関する申告制度などを確立して、マネーロンダリング防止の義務を着実に履行するよう明確に求めた。関連義務の未履行によってマネーロンダリングが発生した金融機関に対しては、最高で500万元の罰金を科すか、または営業停止にするか、営業許可証を取り消す可能性がある。こうした一連の措置を通じて、マネーロンダリング犯罪の防止と摘発を効果的に行ってきた。
国内のマネーロンダリング犯罪は、国際的な密輸・麻薬密売などの犯罪と緊密な関係があり、その金額は巨大で、洗浄された資金の大部分が多国間にまたがって流動している。様々な状況を見ると、1国の力だけではマネーロンダリング犯罪防止という現実的な需要は全く満たせない。国際協力を模索して幅広く参加するために、ここ数年来、中国は関係する国際組織や国・地域との間で、マネーロンダリング防止法や法の執行、司法、資金調査、情報共有、育成・訓練などで全面的な交流と協力を展開している。04年10月にロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスタン、ベラルーシと共同で創始構成国として「ユーラシアのマネーロンダリング防止とテロリストへの融資摘発グループ」(EAG)を結成した。05年1月には、世界で最も大きな影響力をもつマネーロンダリング防止国際組織である「金融活動作業部会」(略称FATF)のオブザーバーとなり、当初の目標通り、07年には正式な加盟国になる見込みだ。そうなれば、マネーロンダリング防止の分野で責任を負う大国としてのイメージが確立されることになる。 |