一方、日本の警察当局も、毒物の混入が日本国内で行われた可能性は非常に小さいと見ている。主な根拠は次の3点。
(1)破損もなく開けられてもいない密封されたギョーザのビニール袋の内側からもメタミドホスが見つかった。日本側が行った実験によると、メタミドホスがビニール袋の外側から内側に染み込むことはない。毒物の混入は製造過程で起こったと考えられる。
(2)問題のギョーザとビニール袋から検出されたメタミドホスには不純物が含まれている。農薬用にメタミドホスを使用していない日本で調達できるのは、不純物の含まれない実験用のものだけ。問題のギョーザから検出されたメタミドホスが日本のものであるとは考えにくい。
(3)中毒事件は700キロ離れた千葉県と兵庫県で起きたが、国内の輸送ルートでこの2地域のギョーザが混在することはない。
第1点について、公安部の物証鑑定センターの王桂強・副主任は、同センターが行った実験では、密封状態のビニール袋の外側からメタミドホスが内側に浸透する結果が出たとして反論した。同センターは、まず農薬として使われているメタミドホスを、メチルアルコールと水を用いて、60%、30%、10%、1%の4つの濃度に希釈。密封された天洋食品のギョーザ袋の外側にそれぞれ付着させ、保管・運輸・販売時の環境と同じマイナス18度の場所に10時間放置した。ギョーザ袋を開けて検査した結果、どの濃度のメタミドホスも袋の内側に浸透していた。中国側の実験条件の選択と設計は、日本側のものよりも実際の状況に近く、信頼のおけるものだと強調した。
また第2点について王副主任は、検出されたメタミドホスに不純物が含まれていたことは、そのメタミドホスが中国産であると断定する根拠にはならないと反論した。中国で流通する農薬として使われるメタミドホスには不純物が含まれているが、国連食糧農業機関で許可された範囲内の不純物である。ギョーザから検出されたメタミドホスにも不純物が含まれていたことでわかるのは、それが純度の高い実験用のものではなく、工業的に製造されたメタミドホス製品であるということだけ。検出されたメタミドホスがどこからきたかということはまだわかっていない。
質検総局の魏副局長は、検出されたメタミドホスの不純物を分析することによって、メタミドホスが日本で生産されたものか、中国で生産されたものか、その他の国で生産されたものかを判断するのは科学の課題だとした上で、組織的で計画的な犯罪行為が行われる場合、真相を隠すための裏があることが多く、今回のギョーザ事件で混入された毒物が他の国から日本に違法に持ち込まれたという可能性も排除できないとの見方を示した。
「人民網日本語版」2008年2月29日
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