さまざまな環境協力を展開
協力メカニズムを構築したうえで、両国政府はまた各分野で環境保全のプロジェクトを実施した。
(1) 円借款プロジェクト
中国が日本政府の対中ODA(政府開発援助)資金を最初に使ったのは1980年4月。2000年以前は、円借款は中国の5カ年計画に基づいて、5~6年を借款期間として、中国の重点プロジェクトに提供されてきた。中国は第4次円借款(1996~2000年)の初年――1996年から大規模に円借款を利用して環境保全プロジェクトを実施し始めた。国家環境保護総局はこのために中日協力プロジェクト事務室を設置した。第4次円借款による環境保全プロジェクトの契約ベース金額は3600億円に達し、19の省・自治区・直轄市の30件のプロジェクトに用いられた。そのうち、中日協力プロジェクト事務室が直接管理した包括プロジェクト12件、小プロジェクト128件の70%は完工し運用に入り、地元の環境状況の改善に大きな役割を果たしている。
(2) 中日環境技術協力プロジェクト
中日環境技術協力は主に中日友好環境保護センターを中心に実施された。中日センターの役割をいっそう発揮させるため、両国は同センターをよりどころに3つの段階に分けて技術協力を展開することにした。第1段階で人材を育成し、第2段階で技術協力の能力を高め、第3段階で協力の役割を果たすことが重点とされている。目下、第3段階が実施中だ。
(3) 特別技術トレーニング・プロジェクト
特別技術協力の実施で、中日センターの活動能力とレベルが大きく向上した。これを踏まえて、大気汚染防止、酸性雨および二酸化硫黄による汚染の抑制管理と技術、環境情報技術などを主な内容とする国内環境保全分野に向けた「国内現地トレーニング(第2国トレーニング)プロジェクト」、アジアの環境保全能力の向上を目指す「第3国トレーニング・プロジェクト」、企業による公害防止管理員制度を盛り込んだ「国別特別トレーニング・プロジェクト」も実施された。
(4) 21世紀に向けた中日環境協力構想プロジェクト
「21世紀に向けた中日環境協力構想計画」は、1997年に橋本龍太郎元日本首相が訪中した時、両国政府が合意したものだ。その主な内容には、日本政府が27億円の政府無償援助資金を提供し、中国の100都市で環境情報ネットワークを建設し、3つの環境モデル都市(大連、重慶、貴陽)で、日本の低利子円借款を利用してインフラ改造やエネルギー構造の調整、重点汚染源対策の実施を強化することなどが含まれている。中日双方の共同努力の下で、上述のプロジェクトは円滑に実施され、環境情報ネットワークは運用段階に入った。日本側が派遣した専門家は環境モデル都市プロジェクトに積極的な役割を果たした。
写真=ダイオキシン実験室
「北京週報日本語版」2008年3月3日 |