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井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
 
日中3000年来の交流へ橋渡し──わが身、燃やし続けて

 

落語の多くの原作は中国の笑い話にある。六代目円生演じる「雪の瀬川」のさげの部分「傾城(けいせい)にも誠あり」の「傾城」は、そのままqing1cheng2の中国語で「町中の人すべてを傾倒させるほどの美女」と辞典にある。もちろん中国の学生は「傾城傾国」が中国語の成語で「絶世の美人」の意味であることは知っている。落語に中国語が入っていることに驚き、日本語の表現に新たな関心を示す。授業で暗記した落語「寿限無」を、学期末の演芸会で演じる学生も出てくる。

ハーモニカや二胡を演奏して、一緒に歌ったり、落語をやったりしていると、学生は授業に親しみを持ってくれるようだ。中には、「先生の授業が好きです。いえ、先生が好きです」などと言って、こちらをドギマギさせる女子学生もいる。

          4年生の謝恩会にて。圧倒されて男子学生は入れず

 

嬉しい卒業生からの便り

日本に行った留学生からは、「大学院に受かりました。これからもっと日本のことについて勉強します。」との嬉しい知らせが毎年くる。「この間、白樺湖に行き美しさに感動しました。諏訪神社にも初めて参拝しました。先生にも楽しんでいただけるよう、写真を送ります。」と楽しそうな便りもある。

北京の大学院に進学した研究生からは、「ホームシックになりましたが、南京大学のことを思い出して頑張っています。」と健気なメールがきた。「もうすぐ春が来ますよ」と返信メールを送り励ます。数人の卒業生からは結婚式にも招待された。卒業後もさまざまな形で連絡をしてくれるのは教師冥利に尽きる嬉しさだ。

日本は2000年来の交流を経て中国から多くの文化を移入してきた。日中関係は今、氷が砕けて、融けて、春を迎え、比較的穏やかな交流の流れになっている。時の政治や経済の都合によって、この流れが滞留しないようにするには、日中双方の若者が相互の文化を幅広く理解することだ。私は当地で、中国の学生が日本をよりよく理解できる一助に、これからも教壇でハーモニカや二胡を演奏し、歌を歌い、落語の話を続けて行こうと思う。日本と中国、3000年来の交流へと橋渡しができるよう、この身を蝋燭の芯として燃やし続けたいと願っている。

(筆者は元毎日新聞記者。日中記者交換制度で1977年に初めて中国を訪れて以来、取材、旅行などでたびたび中国各地を訪問。2001年、毎日新聞社を定年退職後、南京大学に外国人専家として赴任。落語やハーモニカ、二胡演奏などを駆使したユニークな日本に関する授業を行っている。南京滞在7年目。)

「北京週報日本語版」 2008年2月26日

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