答 ここ数年、確かに海外で中国公民の身の安全に関わる事件がしばしば起きている。しかし、その他の国と比べると、中国人が直面する安全リスクは相対的にはかなり低いと言える。数字から見て、05年の領事保護事件は約2万9000余件で、06年には3万件を超えた。数字の面ではやや増加しているが、重大な際立った死傷事件は起きていない。
複雑に多変する国際政治、経済や安全情勢が織り混ざっていることが、事件増加の主因だ。このため、中国公民も海外でテロの襲撃や拉致に遭ったりして、海外旅行の際には合法的権益を犯されている。このほかにも、一般的な交通事故など意外な傷害事件も日ましに増えており、しかも世界各地に広く及んでいる。次に、グローバル化の加速に伴って、ますます多くの中国人が労務や旅行、ビジネス、留学などで海外へ出ることも、重要な原因だ。統計によると、新中国建国から1979年までの出国者総数は延べ28万人に過ぎなかったが、06年には1年だけで延べ3452万人に達し、20年余りの間に100倍以上も増えた。出国者数の増加で公民の海外での安全リスクも大きくなり、しかも中国人が世界に向かうスピードは、国が安全保護を提供できるスピードに比べ著しく速い。
21世紀に入って以降、公民の海外での安全を保護し、海外での合法的権益が損なわれないようにするため、政府は多くの成果ある仕事をしてきた。外交部が先頭に立って各部(省庁)と、海外の中国公民と機関の安全を保護する事務連合会議制度を立ち上げ、公民と企業に関わる重大な領事保護事件の処置作業を、統一的かつ協調的に行うことにした。また「海外領事保護とサービス案内」を公布し、領事保護を求める基本知識をPRした。外交部のウェブサイトを通じて、各国の安全の状況、観光、ビジネス、労務などの情報を公開して、安全に関わる情報を追跡、分析、検討、判断できるようにした。このほか、それぞれの国と地域の安全状況についても動態評価を行うとともに、事前警告を適時に発表し、情勢が不安定な国や地域に行く場合は慎重に考えるよう訴えることにした。同時に、政府は海外での突発的な事件に対応するための緊急体制を確立し、公民の海外での状況を理解、把握して、直接連絡を取ることにしている。中国公民あるいは企業が重大な死傷事件あるいは財産の損害に遭った場合には、直ちに緊急体制を発動するとともに、内外の関係機関と協調し、事件の発生地に駆けつけて共同で救援と善後処置を行うほか、措置を講じるよう関係国を促し、海外での中国公民の合法的権益などを確実に擁護することにした。
海外での安全をめぐる状況は日増しに複雑になっており、公民の安全を保護するため、政府は現在、関係国の成功した方法を参考にしながら、領事保護体制をさらに強化しているところだ。事後の受動的な処置から、事前防止の主動的な保護へと方針を転換することで、海外の公民や法人の合法的権益はより保護されるようになる。 |