本誌記者・繆暁陽
中国を公式訪問中の福田康夫首相は30日午前、孔子の古里である山東省曲阜を訪れ、儒家文化の旅として、世界文化遺産の孔子廟を視察した。曲阜は首相最後の訪問地。
ゆったりとした古楽が奏でられる中、福田首相と夫人、随行員が金声玉振坊から孔子廟に入った。廟の建築群は南北に走る中軸線上にあり、中路は金声玉振坊を起点に、南から北へと順に欞星門、太和元、気坊、聖時門、過壁水橋を通り、大中門に入ると、さらに奎文閣、十三碑亭、大成門、杏壇、大成壇、寝殿を経て、最後に座殿堂、聖迹殿に至る。
ゆったりとした古楽が奏でられる中、金声玉振坊から孔子廟に入る福田首相と夫人(カメラ・王祥)
孔子廟の視察で最大の歓迎行事は、大成門前で繰り広げられた孔子を祭る大典で行われる楽舞だ。今回はとくに福田首相のため、毎年9月に開かれる「国際孔子文化節祭孔大典」専門の64人の舞踏家によって披露された。
祭孔楽舞は、上古時代の漢民族が天地を祭り、豊穣と戦功を祝う原始舞踏形式を継承したもので、礼と楽、舞が融合された唯一いまに残る漢民族の舞踏。05年に国の無形文化遺産に指定された。専門家によると、福田首相を迎えるため演じられた「八佾舞」は最高規格のものだという。
抑揚のある祭祀古楽を聴きながら、解説者が首相夫妻に孔子廟の由来を紹介。演奏終了後、夫妻は孔子像に拝礼し、済南市の指導者が記念品を贈呈した。首相は「温故創新」と揮ごうした後、孔子が説教をした地とされる杏壇で、内外メディアに曲阜の旅に対する思いを語った。
「きょう、2500年前に孔子が教えを説いた地に来ることができ、ここは文化の原点ですので、大変心が高鳴りました。孔子は2500年前の人物ですが、その思想は今に至るまで伝えられており、その影響は広範囲に及んでいます。経典『論語』は中国、日本でも、それに世界各国で非常に広がっています」
また今回の訪中の感想について、福田首相は「温故知新の訪問であり、非常に良かったと思っています。日中両国が互いに協力することは、双方の発展にとって大きな助けとなります。この点で、中国の指導者も賛同しました。現在、日中関係はさらに良い方向へと発展しているところであり、国民の間の交流や相互理解は、以前に比べてずっと深まっています。今後、日中両国間の協力と両国民の間の交流についてより具体的に考えたいと思っています」と語った。
視察を終え、福田首相は省都・済南から帰国の途に着いた。
「北京週報日本語版」 2007年12月30日 |