28日午後、北京大学で行われた講演会で福田首相は、「日中両国の将来は、協力か対立か」といったものではなく、「いかに効果的に責任ある形で協力するか」が問われていると語り、その意味で「戦略的互恵関係の構築」という考えは、時代が求めているものだと述べた。そのうえで、戦略的互恵関係構築における三つの柱「互恵協力」、「国際貢献」、「相互理解・相互信頼」について講演した。講演の要約は以下の通り。
「互恵協力」について
改革開放30周年を迎える08年を前に、日本として、改革開放支援から“和諧社会”実現のための協力に軸足を移していきたい。
具体的には環境・省エネ分野で日本の失敗の経験を参考にしてほしい。
この日の首脳会談で「日中環境情報プラザ」や「省エネ・環境協力相談センター」の中国国内設置を提案した。また、3年間で1万人規模の環境・省エネ研修を行う考えである。
さらに互恵協力の発展には知的財産権保護の強化が必要。経済の健全な発展、市民の安全・安心確保の観点から日中間の効果的協力が必要だ
「国際貢献」について
ボーダレスの時代にあたり、両国政府は手を携えてチャンスを拡大し、リスクを抑制する必要がある。そのために日中関係だけに埋没することなく、世界の潮流に沿ってアジア、ひいては世界の安定と発展のために協力していく必要がある。
具体的な例を挙げると、気候変動の問題だ。これは国際社会が直面する最も重要な課題である。日中両国が責任ある主要国として協力しつつ、解決に向けて最大限の努力を払っていくことが重要。中国が気候変動の国際的枠組みに積極的に参加することが問題解決のために不可欠であることを強調したい。
北東アジアの平和と安全については、六者会合の議長国として問題解決に向けて重要な役割を果たしている中国と、より緊密に連携・協力していく。
国際社会の平和と安全にかかわる問題として、国連改革の面でも対話を緊密にし、日中が協力して改革を進めたい。
厳しい現実に直面するアフリカについては、日中がアフリカの持続的成長を助け、貧困から救うという共通の目標に向けともに行動し協力することができれば、と考えている。
「相互理解・相互信頼」について
相互理解を進めるには活発な交流が必要。その意味で3つの交流、すなわち①青少年交流、②知的交流、③安全保障分野での交流を強化していくことが、対話・理解・信頼という好循環を生み出す最善策である。
将来にわたり安定した日中関係を築いていくためには、今後50年、100年先といった長期的観点に立って互いに理解を深め、互いの違いを尊重し、ともに学び合っていく「人」の育成が日中双方にとって大切だ。
さらに日中の若手研究者同士が、日中関係だけでなく国際情勢について議論することにも意義がある。
安全保障分野の交流については、08年は日本の防衛大臣、海上自衛隊の艦艇が訪中する。双方の防衛関係者が相手国の有識者、民間人とも接する機会を設けることが重要だ。
「北京週報日本語版」 2007年12月28日 |