1年前、つまり2007年の到来を間近に控えていた頃、人々は中日関係の改善が続くことに期待すると同時に、心中深くに多少の懸念も抱いていた。この1年は両国の国交正常化35周年と同時に、日本の「七七事変(盧溝橋事件)」発動70周年という特別な年にもあたり、中日関係はチャンスと試練に満ちていたのだ。双方が抱える共通の課題は、どのようにして国交正常化の記念と歴史の教訓の総括を有機的に結びつけ、「歴史を鑑として未来に向かう」精神を将来の両国関係の中で真に体現させるかということだった
2007年の終わりを迎え、中日関係の発展を気遣う人々は比較的満足のいく答案を手にしている。なぜなら中日関係はすでに全面的に暖かさを取り戻し、両国の政府と国民は困難を克服して互恵協力の新たな出発点に立っているからだ。
今年4月、温家宝総理は招待を受けて訪日、「氷を融かす旅」を実現し、中日ハイレベル相互訪問の正常な再開を示した。その後も胡錦濤国家主席と温家宝総理は国際会議の場で安倍前首相や後任の福田首相との会談を重ね、2国間・多国間問題をめぐる対話は一層深まり、新たな戦略協力の枠組と内容の初歩的な構築を促した。
政治関係の改善に伴い、「歴史問題」のため長年先延ばしされてきた軍事・防衛事務交流も速やかに実行に移された。夏と秋の間に曹剛川国防部長が日本を公式訪問し、中国海軍の艦艇による初の訪日を実現させた。両国間の安全保障対話と軍事交流は実質的な進展を得た。これらの交流は今年の中日関係の改善に新たな動力と活力を注ぎ、年末の第1回中日ハイレベル経済対話はなおさらに両国関係の発展における一里塚となった。このほか、今年は「中日文化スポーツ交流年」であり、スポーツ・文化のこうした「心の交流」を通じて、両国国民間の友好感情が深められた。
それでは、2007年の中日関係は見渡す限り美しい情景だったのだろうか。筆者は国家関係の改善を十分に肯定すると同時に、なお残る問題にも目を向けなければならないと考える。1つには、日本の政治指導者による靖国神社の参拝という、中日関係を悪化させ得る要因が決して根本的な解決を得ていない。もう1つには、社会体制・イデオロギー・文化価値の差異、および経済発展段階の相違が、国際問題の処理における両国の認識の相違を決定づけている。短期間に転変する国際・地域情勢を前に、双方は時代に合わせて進み、ウィンウィンを求める心構えを持ち、両国の利益の交叉点の模索・拡大に努めなければならない。東中国海問題を例に取ると、東中国海の石油・天然ガス資源の「共同開発」はすでに両国の共通認識となっており、エネルギー協力の積極的な展開は、協議による問題の解決に望ましい政治的雰囲気を醸成するだろう。同様に、中日が他の重大な経済協力プロジェクトを共同で始動できるか否かも、新しいタイプの協力関係を試す重要な試金石となる。
福田康夫首相とその政府は、歴史問題における過去の日本の指導者の誤ったやり方を変えた。この転換は、中国側が長年提唱に努めてきた友好協力を現実のものとした。2007年の終わりを前に、福田首相は年内の訪中を最終決断した。日本からはさらに、福田首相が中国首脳の会談で「黄砂と揚子江の水質問題の解決」を話し合うとの情報も聞かれる。中日が長江の水質問題を共同で解決することは、確かに両国関係発展の良策といえよう。かつて人々は「揚子江心の水、蒙山頂上の茶(水は揚子江の水、茶は蒙山茶が良い)」の喩えで、優れた品や傑出した事物を表現した。歴史上、茶と茶の文化は中国から日本に伝わり、今日の独特な日本式茶道文化の形成を導いた。今後、日本の環境保護技術を利用して長江の水質を改善することができれば、これもまた現代の中日関係と互恵協力の美談となるだろう。(文:高洪・中国社会科学院日本所研究員)
「人民網日本語版」2007年12月27日
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