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葫蘆島百万日本居留民の大送還60周年記念  
歴史を鑑とし、未来に目を向け
中日両国の代々の友好に努めよう

 

唐国務委員「葫芦島在留日本人100万人大送還」60周年記念・中日関係展望フォーラムの開幕式に演説全文

2006/06/27

100万の在留日本人大送還60周年にあたり、中国政府を代表して、遼寧省政府、葫蘆島市政府、中国人民対外友好協会と日本日中友好協会の共催による葫蘆島100万日本僑民大送還60周年回顧・中日関係展望フォーラム開催に熱烈な祝意を表し、村山富市元首相と遠路はるばる訪れた日本の友人に熱烈な歓迎の意を表する。

1945年、世界の反ファシズム戦争が終わりを告げ、中国人民は抗日戦争の偉大な勝利を収めた。戦争が終わったばかりのとき、中国人民は日本軍国主義の侵略が中華民族に与えた大きな傷痕と犠牲に堪え忍び、また国家復興の巨大な重圧に耐えながら、幾多の困難を克服して、100万の在留日本人がここから帰国するのを援助した。この歴史的な大送還行動によって、葫蘆島は戦後の日本人居留民の「命の駅」となった。本日、中日各界の人々が一堂に集い、共に歴史を回顧し、未来を展望することは、歴史を直視し、侵略に反対し、平和を大切にし、中日両国人民の代々の友好を進めるわれわれの決意と信念を示したものであり、深遠な歴史的意義と重要な現実的意義をもっている。

中国人民は偉大な人民で、中華民族は偉大な民族である。葫蘆島100万日本僑民大送還という歴史の一幕は、中国人民の広い心と崇高な人道主義の精神を十分に体現し、度量の大きい優れた品性を示している。日本軍国主義の野蛮な侵略は、中国をかつてない民族的災難に陥れた。あの暗黒の歳月に、日本軍国主義は戦火を中国の大部分に広がらせ、これによって3500余万の中国軍民が死傷し、直接の経済的損失は1000億㌦余りに達し、中国人民は大きな民族的犠牲を払った。中国共産党と中国人民は心を一つにし、衆心城を成して、日本軍国主義の侵略に断固抵抗すると同時に、つねにこの侵略戦争の責任はごく少数の日本軍国主義分子が負うべきで、罪のない広範な日本人民も同じく戦争の被害者であると考えていた。毛沢東主席に始まって、中国の歴代の指導者はつねにこの区別をする政策を堅持し、20世紀余り続いた両国人民間の伝統的友情を守り、発展させることに力を尽くした。われわれはそのように言うだけでなく、そのようにしてきた。戦火の飛び交う時代に、われわれは憎しみを一般の日本人民に向けなかった。聶栄臻元帥は戦場で、日本人の少女美穂子を引き取り、育て上げ、広く知られる感動的な美談を残している。ある中国の母親は、わが家を壊され、愛児を虐殺された大きな悲しみに耐えながら、自分の乳と汗で日本人の赤ちゃんを育て、戦後にその子を日本に送り返した。戦争が終わった後、中国人民は憎しみを続けるのでなく、100万の在留日本人が故郷に帰るのを全力で援助しており、そのためになめた辛酸と犠牲は、言葉では言い表せない。新中国成立後、中国政府と人民は予定より早く戦犯を釈放し、数千人の日本人孤児を扶養し、成人させた。これらすべてのことは、当時の歴史的背景下では、あたりまえのことのように見えるが、実際には偉大なことであり、いずれも中国人民の平和への切なる期待、日本人民に対する心からの誼(よしみ)、中日両国人民が代々友好を続けることへの強いあこがれが込められていた。「前の事を忘れず、後の戒めとする」という。すでに起きた不幸な歴史は変えようがないが、われわれは未来に責任を負わなければならず、歴史の中から苦い教訓をくみ取り、歴史の悲劇を繰り返さず、子孫末代のために素晴らしい幸福な明日を築かなければならない。中国政府と人民はつねにこのように確信している。

▽中国政府は一貫して中日関係を重視し、つねに中日友好の方針を堅持してきた。中日間の敵対状態を終わらせ、再び両国の伝統的友好関係を続けるために、われわれの先輩たちは長期のたゆまぬ努力を払った。中国政府と人民は極めて困難な状況下に、さまざまの方法を利用し、さまざまの方途を通して、両国間の友好往来を繰り広げるよう努力した。日本各界の有識者と友好人士も、中日善隣友好関係回復のために心血を注いだ。双方のこのうえなく厳しい努力を経て、両国はついに1972年に共同声明を発表し、国交正常化を実現し、中日関係史上の新たな一ページを開いた。

われわれは、国交正常化後の30余年間、双方の歴代指導者と両国人民の共同の努力により、中日友好協力で急速な進展がみられ、各分野の交流と協力がかつてない広がりと深まりをみせたことを喜んでいる。1978年に調印された「中日平和友好条約」と98年に発表された「中日共同宣言」は両国関係発展のための政治上、法律上の基礎を固めた。両国は一連の政府間協定に調印し、多様な形式の二国間、多国間協力の仕組みをつくり、両国の幅広い分野の実務協力を強力に推進した。双方の貿易額は復交時点の11億㌦から昨年の1800億㌦余りに増加、日本企業の対中直接投資累計は530億㌦余りに達している。両国の友好都市は228組に達し、毎年の人の往来は450万人を超えている。中日関係の発展は両国人民に大きな利益をもたらし、アジア太平洋地域ひいては世界の平和、安定、発展にも重要な貢献をした。中日関係は世界で最も重要な二国間関係の一つになっている。

この間の歴史の証人、参画者として、私は新時代の中日友好を築くのは確かに生易しいことでなかった、それは両国の先輩指導者と各界の有識者の汗の結晶であり、両国の数世代の共同の願いが込められており、大いに大切にしなければならないと強く感じている。ここで、特に本日在席しておられる村山富市先生を紹介したい。先生は第二次世界大戦終結50周年にあたり、日本の首相としてはじめて、日本軍国主義の侵略の歴史について有名な「村山談話」を発表された。そして日本政府を代表して、日本が過去に起こし、進めた侵略戦争と植民地支配を深く反省、謝罪し、再びアジアの近隣諸国との相互理解と信頼関係を築くことを主張された。この重要な談話の精神が真剣に実行に移されるならば、中日両国が「歴史を鑑に、未来に目を向ける」ことに役立つばかりでなく、日本とアジアの隣国との永続的な友好協力関係の発展にも役立つだろう。

胡錦涛主席はかつて、「われわれが歴史を回顧するのは、英知と啓発を得ることによって、今日の生活と未来の方向をよりよくとらえるためである」と指摘している。近年、中日関係は重大な政治的障碍にぶつかり、両国関係の発展を制約し、地域の平和、安定と発展にもマイナスの影響を与えている。こうした局面を中国政府と中国人民は望んでいない。私は広範な日本人民と有識者もそれを望んではいないと信ずる。われわれは日本の指導者が歴史と人民、未来に強く責任を負う態度で、正しい決断を行い、両国関係の政治的障碍を取り除き、中日関係を正常な発展の軌道に戻すよう希望している。これは両国人民の根本的利益にかなっており、また国際社会の普遍的期待でもある。

中日関係の健全で安定した発展を促進するには、中日友好の正しい方向を揺るぎなく守る必要がある。中日両国は地理的に近く、文化が似通っており、2000年余りの友好交流は両国人民の間に長い歴史をもつ、厚い友情を育んだ。中国政府は中日両国人民の根本的利益から、また世界の平和維持、共同の発展促進という大局的見地から、あくまでも「平和共存、代々の友好、互恵協力、共同の発展」の方針を導きに、中日関係を大いに重視するとともに、中日関係の改善・発展のためにたゆまぬ努力を払っている。日本側にも戦略的見地から、長期的視点に立って中日関係を考え、実際行動によって中国側と共に、同じ方向に向けた努力をするよう希望する。

中日関係の健全で安定した発展を促進するには、中日関係の政治的基礎を揺るぎなく守る必要がある。歴史に正しく対処し、台湾問題を適切に処理することは、中日国交正常化交渉の二つの最も重要な核心問題だった。この二つの問題が適切に処理されたからこそ、中日両国が未来に向かって友好協力関係を発展させる最も基本的な政治的基礎ができたのである。この基礎はいかなる時にも揺らいではならない。すでに実践で証明されたように、この政治的基礎を厳守し、守れば、中日関係は前進し、持続的に安定して発展する。この政治的基礎に背き、反すれば、中日関係は損なわれ、停滞しさらには後退することになる。われわれは中日双方が、中日間の三つの重要な政治文書で行った諸々の約束を百パーセント忠実に守り、「歴史を鑑とし、未来に目を向ける」精神にのっとって、中日関係の一層素晴らしい未来を開くよう希望している。

中日関係の健全で安定した発展を促進するには、両国の各分野の互恵協力を積極的に進める必要がある。平和、発展、協力は今日の世界各国人民の普遍的要求になっている。経済のグローバル化と地域協力のすう勢が深まりつつある。これらのことは中日両国が友好協力関係を発展させる新たな歴史的チャンスと広々とした空間を提供している。世界の平和と繁栄を守り、アジアの振興と発展をはかることは、アジアと世界に重要な影響をもつ二つの国である中国と日本が当然果たすべき責任であり、両国の戦略的利益でもある。中国は平和的発展の道を揺るぎなく歩み、平和が永続し共に繁栄する調和社会の構築に力を尽くし、「善意をもって隣国に接し、隣国をパートナーとする」方針および「善隣(隣国と仲良くする)、安隣(隣国を安んじる)、富隣(隣国を豊かにする)」の政策をとっている。中国の発展はいかなる国に脅威を与えることもない。われわれは中日両国が平和と発展のためのパートナー、アジアの振興のためのパートナー、人類の進歩のためのパートナーになることを希望している。

孫中山先生は「世界の潮流、浩々蕩々たり。之に順う者は昌え、之に逆らう者は亡びる」と述べている。中日両国の善隣友好協力関係を発展させることは時代の潮流であり、中日両国人民の共通の願いである。中日両国が共に発展し、繁栄すれば、両国人民に幸せをもたらせるだけでなく、アジアと世界にその恩恵が及ぶだろう。われわれは中日関係の前途に強い自信をもっている。中日両国人民は必ず代々友好を続けなければならず、必ず代々友好を続けることができる。手を携えて、この目標に向かってたえず前進しようではないか。

最後に、フォーラムの成功を祈り、皆さんのご健康を祈る。

 

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