2005年――(1)7年連続で過去最高額を更新、拡大のペースはスローダウン:2005年の中日貿易総額は1,893億8,736万ドル(前年比12.7%増)と金額ベースでは1999年以降7年連続で過去最高額を更新した。中日貿易は依然拡大基調にあることに変わりはないものの、伸び率では輸出入ともに前年を下回り(輸出:2004年前年比29.0%増→2005年同8.9%増、輸入:同25.3%増→同15.7%増)、その拡大のペースはスローダウンしている。 (2)半導体市況の低迷、自動車の現地生産拡大により輸出は伸びが減速: 輸出は803億6,297万ドル(前年比8.9%増)と、99年以降7年連続の増加となったが、伸び率は減速した。品目別で大きなシェアを占める電気機器と一般機械の伸びが低調で、主だった具体的な要因は以下のとおり。 ①上半期の半導体市況の低迷 電子部品(同8.7%減)は数量が伸びたものの金額では減少した。 ②自動車関連の直接投資による現地での生産増加 日系自動車メーカーの中国での現地生産が本格化したため自動車(同21.4%減)は前年実績を大きく割り込み輸出の伸びを減速させた。一方、自動車用エンジンなどの原動機(同32.0%増)や自動車の部分品(同9.0%増)は輸出が増加した。 ③中国におけるインフラ・設備投資等の落ち着き 油圧ショベルなどの建設用・鉱山用機械(同27.5%減)や加熱用・冷却用機器(同16.7%減)が減少。工作機械などの金属加工機械(同15.5%増)も伸びは減速。 日系企業をを含む外資系企業では、パソコンやデジタル家電製品等の製造拠点の対中シフトが進む中、材料・部品等の現地調達化が加速し、日本からの輸出は高付加価値製品や現地調達できない基幹部品等に絞られる傾向が強まっている。また、原油や鉄鉱石等の素材価格高騰もあり、プラスチック(同19.1%増)、鉄鋼(同15.7%増)は金額ベースで輸出の伸びに寄与したものの、数量ベースではそれぞれ同6.3%減、同16.4%減となり、価格上昇がなければ輸出の伸びはさらに減速したと考えられる。 (3)IT関連完成品が輸入を牽引、輸入は初めて1,000億ドルを突破: 輸入は1,090億2,439万ドル(前年比15.7%増)と、99年以降7年連続の増加となり、ドルベースで初めて1,000億ドルを突破した。パソコンやプリンターなどの事務用機器(同19.0%増)、およびデジタル携帯音楽プレーヤーなどの音響映像機器(同28.7%増)といった完成品輸入が増加した。この背景には、2004年下半期から2005年央まで続いたIT関連製品の在庫調整が一巡したこと、日本国内の景気回復を受け個人消費が堅調に推移していることが挙げられる。繊維製品(同5.3%増)は日本の厳冬による冬物衣料需要を受け、11月から輸入が急増した。鉄鋼(同27.6%増)、半導体等電子部品(同22.1%増)、科学光学機器(同8.1%増)なども、外資系企業の中国製造拠点ではここ数年の間に増強した設備が本格稼動し汎用品を中心に安定生産できるようになってきており、順調に増加した。 (4)貿易収支は赤字幅が拡大し過去最高に: 2005年は輸入の伸びに比べ、輸出が伸び悩んだことから日本の対中貿易赤字は286億6,143万ドルとなり、2年連続して赤字幅が拡大し過去最高となった。また中国は引き続き最大の貿易赤字相手国となっている。 (5)日本の輸入全体に占める中国のシェアは拡大: 日本の輸入全体から見ると、野菜や繊維製品、玩具類等やその他家庭用品といった生活関連品、パソコンなどの事務用機器および音響映像機器といった家電関連品などで、中国のシェアが5割を突破。多くの品目で日本の輸入全体に占める中国のシェアが拡大している。 2004年――(1)6年連続で過去最高額を更新:2004年の中日貿易総額は1,680億4,794万ドル(前年比26.9%増)と99年以降6年連続で過去最高額を更新した。輸出入双方が高い伸びとなり、中日貿易は拡大基調を維持している。 (2)輸出は素材、部品を中心に好調を維持するも、建設機械、自動車など一部品目でマイナス: 輸出は738億3,295万ドル(前年比29.0%増)と、99年以降6年連続の増加となった。半導体等電子部品(12.2%増)、音響映像機器の部分品(同15.4%増)、液晶デバイスを主とする科学光学機器(同44.6%増)、自動車の部分品(同33.1%増)、自動車・家電向けの鉄鋼(同31.7%増)、化学製品(同38.5%増)など、現地調達が困難な素材や部品が輸出を牽引した。また金属加工機械(同68.2%増)、ポンプ遠心分離機(同41.1%増)などの産業機械も高い伸びを維持した。一方、建設用機械(同14.8%減)、通信機(同45.7%減)、自動車(同14.2%減)はマイナスに転じた。 (3)生産拠点のシフトに伴う機械機器の輸入が大幅に増加、繊維製品、食料品も堅調に推移: 輸入は942億1,498万ドル(前年比25.3%増)と、99年以降6年連続の増加となった。日系企業の中国への生産拠点シフトに伴い、パソコンやプリンターなどの事務用機器(同31.2%増)、DVDプレーヤーなどの音響映像機器(同32.8%増)、携帯電話などの通信機(同58.2%増)が高い伸びとなり、汎用品を中心に半導体等電子部品(同82.1%増)、液晶デバイスなどの化学光学機器(同26.3%増)の輸入も伸びた。輸入の2割のシェアを占める繊維製品(同13.1%増)、食料品(同21.5%増)も堅調に推移した。 (4)実質的な貿易収支はほぼ均衡: 日本の対中貿易赤字は203億8,203万ドルと、2003年に比べ24億839万ドルの赤字拡大となった。しかし、香港経由分を勘案すると、中国のWTO加盟(2001年末)を境に、対中貿易赤字は急速に縮小、2004年はほぼ均衡となった。 (5)2005年の貿易総額は引き続き過去最高を更新、1900億ドルを突破する見込み: 2005年の対中貿易は、輸出においては、パソコンや家電の世界需要の後退と耐久消費財の在庫調整の動きが長引く可能性があり、やや不透明感が残るものの、中国の内需向けの完成品、素材や部品など中間財の堅調な輸出増加が見込まれ、輸入においては、日系企業の生産拠点の中国シフトが続いていることから、完成品の一層の輸入増加が見込まれる。以上のことから、2005年の中日貿易は引き続き輸出入ともに拡大し、通年の貿易総額は7年連続で過去最高を更新すると思われる。 |