2004年――(1)6年連続で過去最高額を更新:2004年の中日貿易総額は1,680億4,794万ドル(前年比26.9%増)と99年以降6年連続で過去最高額を更新した。輸出入双方が高い伸びとなり、中日貿易は拡大基調を維持している。
(2)輸出は素材、部品を中心に好調を維持するも、建設機械、自動車など一部品目でマイナス: 輸出は738億3,295万ドル(前年比29.0%増)と、99年以降6年連続の増加となった。半導体等電子部品(12.2%増)、音響映像機器の部分品(同15.4%増)、液晶デバイスを主とする科学光学機器(同44.6%増)、自動車の部分品(同33.1%増)、自動車・家電向けの鉄鋼(同31.7%増)、化学製品(同38.5%増)など、現地調達が困難な素材や部品が輸出を牽引した。また金属加工機械(同68.2%増)、ポンプ遠心分離機(同41.1%増)などの産業機械も高い伸びを維持した。一方、建設用機械(同14.8%減)、通信機(同45.7%減)、自動車(同14.2%減)はマイナスに転じた。
(3)生産拠点のシフトに伴う機械機器の輸入が大幅に増加、繊維製品、食料品も堅調に推移: 輸入は942億1,498万ドル(前年比25.3%増)と、99年以降6年連続の増加となった。日系企業の中国への生産拠点シフトに伴い、パソコンやプリンターなどの事務用機器(同31.2%増)、DVDプレーヤーなどの音響映像機器(同32.8%増)、携帯電話などの通信機(同58.2%増)が高い伸びとなり、汎用品を中心に半導体等電子部品(同82.1%増)、液晶デバイスなどの化学光学機器(同26.3%増)の輸入も伸びた。輸入の2割のシェアを占める繊維製品(同13.1%増)、食料品(同21.5%増)も堅調に推移した。
(4)実質的な貿易収支はほぼ均衡: 日本の対中貿易赤字は203億8,203万ドルと、2003年に比べ24億839万ドルの赤字拡大となった。しかし、香港経由分を勘案すると、中国のWTO加盟(2001年末)を境に、対中貿易赤字は急速に縮小、2004年はほぼ均衡となった。
(5)2005年の貿易総額は引き続き過去最高を更新、1900億ドルを突破する見込み: 2005年の対中貿易は、輸出においては、パソコンや家電の世界需要の後退と耐久消費財の在庫調整の動きが長引く可能性があり、やや不透明感が残るものの、中国の内需向けの完成品、素材や部品など中間財の堅調な輸出増加が見込まれ、輸入においては、日系企業の生産拠点の中国シフトが続いていることから、完成品の一層の輸入増加が見込まれる。以上のことから、2005年の中日貿易は引き続き輸出入ともに拡大し、通年の貿易総額は7年連続で過去最高を更新すると思われる。
2003年――(1)5年連続で過去最高額を更新し、1,300億ドルを突破:2003年の中日貿易総額は1,324億2,849万ドル(前年比30.4%増)と99年以降5年連続で過去最高額を更新した。
(2)電子部品、産業機械、自動車関連製品が輸出を牽引し約4割増、市場としての存在感高まる: 輸出は572億3,899万ドル(同43.6%増)と、99年以降5年連続の増加となった。半導体等電子部品(45.6%増)、音響映像機器の部分品(同113.9%増)、通信機(同54.7%増)、映像機器(同114.9%増)などと、建設機械や工作機械などの産業機械が増加した。また、中国国内の自動車生産の拡大を背景に、自動車の部分品(同104.9%増)、自動車(同30.1%増)、主として自動車生産向けの鉄鋼・化学製品が輸出を牽引し、大幅続伸となった。 日本の輸出先の第1位である米国向けは前年比2.6%減(シェア24.6%)となったのに対し、第2位である対中輸出は43.6%増(シェア12.2%)と、輸出市場としての存在感が高まった。
(3)生産拠点のシフトに伴う機械機器の輸入が増加、繊維も堅調に推移: 一方、輸入についても751億8,590万ドル(前年比21.9%増)と、99年以降5年連続の増加となった。日系企業の生産拠点の中国シフトに伴い、パソコンやプリンターなどの事務用機器(同56.3%増)、DVDプレーヤーなどの音響映像機器(同25.9%増)が増加した。また、2002年は減少した繊維製品も、カジュアル製品の販売が好調で、衣類・同付属品が12.7%増と堅調に推移した。一方、鳥インフルエンザなどの問題から、食料品(同4.5%増)は伸び悩んだ。
(4)実質的な貿易収支は急速に均衡へ: 日本の対中貿易赤字は179億5,052万ドルと、2002年に比べ38億7,551万ドルの縮小となった。香港経由を含めた実質的な中日貿易を勘案すると、中国のWTO加盟後、貿易収支は急速に均衡に向かいつつある。
(5)2004年貿易総額は過去最高を更新し、1,500億ドルを突破する見込み: 2004年の対中貿易は、輸出の増加原因として、①日系企業の生産拠点のシフトが続くこと、②中国の内需が旺盛で、引き続き電子部品、工作機械・建設機械、自動車部品など一般機械の輸出増加が見込まれること、輸入の増加要因としては、①日系企業の生産拠点の中国シフトに伴い、一層の製品輸入の増加が見込まれること、②日本国内の景気に回復傾向がうかがえることが挙げられる。2004年の輸出入総額は、6年連続で過去最高を更新する可能性が高いとみられる。
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