――専門家、福田首相の訪中を語る
「安倍前首相の訪中は『氷を砕いた』、温家宝総理の訪日は『氷を溶かした』と言うなら、福田首相の今回の訪中は中日関係をさらに温めるものである」。中国現代国際関係研究院日本研究所の楊伯江所長はこう語る。楊所長によれば、今回の訪中は非常に重要であり、福田首相は両国関係を健全に、安定して発展させる道を切り開くことに尽力するだろう。
「福田首相は、中国の指導者と両国関係の友好的な発展の流れが変わらないことをさらに期待している」と楊所長。阿部首相が突然、辞任し、年内に予定していた訪中が実現できなくなったことで、新首相が前任者の道を継続できるか否かが懸念されていた。福田首相は訪中にかなり積極的な姿勢を示しており、「日本側の中日関係を改善したいとの期待は一定の連続性のあるものだ」との考えを表明している。
07年は中日国交正常化35周年、来年は中日平和友好条約締結30周年を迎える。楊所長は「福田首相の訪中の意義は、日本の指導者が中国側と戦略的互恵の発展の方向を改めて確認することにあるだけでなく、さらには中日双方が引き続きともに努力してこそ、良好な発展の流れを維持できることにあり、より誠意と知恵をもって一部の重要な現実的問題を解決することが必要だ」と強調。
清華大学国際問題研究所の劉江永教授は「福田首相の『外交ロードマップ』では、中国の重要な位置は言うまでもない。中日両国は近年、頻繁に交流する流れを維持しており、今回の訪問はアジア外交政策での1つの試金石となるだろう」と話す。
さらに楊所長は「福田首相が提起した外交理念は自立と共生を唱導しており、協力を通して発展を図りたいと期待している」と強調。
今年4月、温家宝総理が日本を訪問し、およそ6年ぶりに中国総理による初めての「氷を溶かす旅」が実現した。9月、福田首相は就任後、靖国神社を参拝しないと言明。その後、自民党の谷垣貞一政調会長、高村正彦外相らが団を率いて中日経済ハイレベル対話に参加するなど、両国は緊密なハイレベルな交流を維持している。軍事面でも大きな進展があった。9月、日本側が初めて「勇士-2007」歩兵師団による進攻戦闘実兵実弾演習の視察を要請されたのに次いで、ロシアや韓国などで公演したことのある中国人民解放軍交響楽団が10月12日、初めて日本で演奏を披露。また中国海軍「深圳」号が日本に寄港したことで、両国の軍事交流史に新たな1章が記された。劉教授は「福田首相の訪問期間中、中日の指導者が東中国海での共同開発などの問題でさらに原則と共通認識を確立し、来年の両国のハイレベルな対話とさらに良好な協力に向けた基礎が築かれる可能性がある」と語る。
しかし、専門家は、中日友好交流の流れを保持し、それをさらに深め、原則的な合意を細分化し、それを着実に実施するうえで、より多くの試練に直面しているため、双方がさらに忍耐強く、誠意をもつことが必要だと指摘している。中国社会科学院日本研究所の高洪研究員は「中日両国が高所から問題を見つめ、着実に事を進めれば、両国関係は必ずさらに一段上に進むだろう」と指摘する。
「北京週報日本語版」 2007年12月25日 |