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井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
 
心を通わせ、新世紀の言葉を紡ぐ

 

加えて皆で知恵を出し合い一つのものをつくる共同翻訳の伝統。毛選には同じ理想を共有した中国の一流の日本語の使い手と日本人の専門家が国を超えて参集し、心を一つにし、何段階もの工程を経て完成させたと聞いています。文体や用語も見事に統一されています。それだけ心血を注いだものであるにもかかわらず、全巻どこを探しても翻訳者の名前は見あたりません。個人的栄誉と引き替えにした、あの時代の無私の貢献の精神及びその実践の結実を見るようであり、世代の違う外国人の私でさえ、毛選訳書を手に取るたびに心打たれます。功名に駆られた粗悪なものが横行し、心落ちつかぬ現代であってみれば、余計にその存在はひときわ異彩を放ちます。

もう一つの中国の顔とは、新世紀に向かう新しい姿です。1999年、編訳局に来て最初に皆と取り組んだ仕事は、当時文献部で進められていた中日政治経済新語辞典の編纂でした。責任者である処長の采配の下、おびただしい数の新語が皆で手分けして集められ、幾度も検討が加えられました。21世紀を目前にした言葉の洪水は、新時代の到来を告げ、それは先人の功績に頼るだけではカバーしきれず、世界の多様な情勢、日中の新動向を視野に入れながら、それに見合った新たな方法を協同で模索しなければならないことを気付かせてくれました。

前途に目を向けながらも、私は日中の長い歴史に思いを馳せずにはいられません。昔日の両国の文人は、お互いに漢詩を読み合って意思を疎通させたといわれます。過去、日本語と中国語は今のように疎遠な言葉ではなかったのです。私たちは今世紀、離れてしまった心をたぐり寄せ、親密な関係を築くことができるでしょうか。

それがどんなに気の遠く、骨の折れる作業であっても、十数年間中国に固執し続け現在の道に導かれた日本人として、道中に出会った人々の顔を一人一人思い浮かべながら、中国と日本の言葉、ひいては両国の心を紡ぐ創造的営みにずっと関わっていたいと思う今日です。

(筆者は北京師範大学で教育学博士課程修了。その後、中国の中央編訳局で文化教育専門家として勤務するかたわら、教育問題、ジェンダー問題などで執筆活動を続けている。北京滞在歴12年。)

 

「北京週報日本語版」 2007年12月18日

 

 

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