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論点  
中日両国が手を結ばなければ、アジアの飛躍は困難

――百年間、なぜアジアの分裂が終わらないか

約百年前に日本人の岡倉天心氏は「アジアは一つ」と唱えた。その当時、このような認識は仮説的な言い方にすぎなかったが、岡倉氏が提出したこの概念は「アジア」という意識の目覚めを表現したものだった。事実、当時のアジアは植民地統治や分割のもとにあったにもかかわらず、「アジアは一つ」という理想によって、アジア諸国の先覚者は団結するようになった。

アジアの飛躍に向けて協力する「アジアは一つ」の精神は、今なお大切である。しかし「アジア意識」は、その成長過程の途中で夭折した。アジア意識を扼殺した勢力はアジア内部からのものであった。日本のアジアへの侵略は、アジアを分断した。現実として、アジアの分断はまだ終わっていない。東北アジア地域の緊張した情勢は依然として続いており、中日両国の経済関係はひとまず良好と言えるが、両国の巨大な潜在力から言って、現状は満足できるものではない。

去年、中日間の貿易額は2000億ドルの大台を上回ったが、現在、中日間の経済貿易の発展の勢いは中韓両国、中国とアセアン諸国間との勢いには及ばない。2006年の中韓、中国とアセアン諸国間の貿易額はいずれも1600億ドルを突破し、中韓間の貿易額は2008年には2000億ドルを突破する見込み。そのため、中日間の2000億ドルは、かなりもの足りないものとなるだろう。1993年に訪日した中国の朱鎔基国務院副総理(当時)は、日本の経済界に対し「中日間の貿易額は現在300億ドルだが、これではまだ足りない。3000億ドルにまで引き上げるべきだ」と語り、その演説は来賓から熱烈な拍手を浴びた。

それでは、何が両国経済の発展の余地を制限しているのか。私は、中日両国の間に存在する相互不信が依然としてその要因だと思っている。最近、授業の後で日本の学生から「先生、中国は将来日本を占領するでしょうか?」と聞かれたことがある。大学三年生の彼がなぜこのような考えを持つことになったのか。私は、この学生の考えは中日関係に対する日本社会の認識の枠組みを示していると思っている。

――問題解決のための協力機関を設立しなければ、中日協力案は“絵にかいた餅”

民族や国家は国際関係における基本的な要素だが、今、国家の枠を越えて地域的な協力が勢いよく盛り上がっている。私は、21世紀の今日においては、中国であれ日本であれ、いずれもアジアという高度な立場に立って両国関係を見直し、再調整する必要があると思っている。両国の問題を考える場合、国に立脚すると同時に、アジア意識を普及させるよう呼びかける歴史的要望に耳を傾けなければならない。

中国と日本が真の和解を達成しようとすれば、多くの問題を解決し、たくさんの歴史を再検証する必要がある。しかし、この二つの民族には共通の歴史的運命が存在している。中国文明の日本文明形成への影響、明治維新後の日本の新中国に対する影響を過小評価してはならない。中日国交正常化後35年が経ち、両国もアジア各国、国際情勢も大きく変化した。今後、この変化後の世界の中でどのように二国間関係を再定義するかについては、今なお模索していると言える。現在、中日関係はある程度回復してはいるが、不安定な要素もあり、新しい歴史情勢のもとにおける二国間関係の枠組みはまだ探り当てられていない。

21世紀の今日、急速に発展するアジアは、資源、エネルギー、生態環境、持続可能な発展などの問題をめぐってともに解決しなければならない数多くの厳しい問題に直面している。今日、アジアの民間の有識者ないし政府はいずれもさまざまな地域間協力案を提起している。しかし、同地域の主要国政府が表に立ってこれらの問題を解決するための総合的な協力機関を設立しなければ、これらの提案は画餅に帰するに違いない。

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