恒星の観測などに用いられる大型の電波望遠鏡が、月探査衛星「嫦娥一号」の飛行位置・スピード測定などで活躍することになる。宇宙探査事業に天文観測のノウハウが用いられるのは、中国では初めてのことだ。
「地球から遠く離れた宇宙空間を飛行する探査衛星の位置などを測定するためには、それに適した専用の観測施設が必要」。北京航天飛行控制中心(宇宙飛行管制センター)の王霞氏が22日、新華社の取材を受ける中で語ったところによれば、中国では今のところ、地球から遠く離れた宇宙空間を飛ぶ探査衛星の位置などを測定するための専門施設はないという。そのため月探査プロジェクトではその初期検証段階において、探査衛星の位置やスピードなどの測定に天体観測ノウハウを活用する計画が提案されたという。
王霞氏によれば、国家天文台は北京の密雲に50メートル口径の大型天体電波望遠鏡を新たに建設した。また雲南天文台は昆明に、40メートル口径の電波望遠鏡を建設した。これにウルムチ天文観測所と上海天文台の25メートル口径の電波望遠鏡を合わせ、上海天文台情報処理センターが加わることで、衛星「嫦娥一号」プロジェクトをサポートする観測ネットワークを構築したという。実際の運用においては、各地の電波望遠鏡が収集したデータが上海天文台に集められ、そこで探査衛星の位置、速度などが割り出される。割り出されたデータは北京航空飛行管制センターに送られることになるという。
「新華社」より |