本誌記者 黄 衛
第17回党大会代表・青島海爾集団(ハイアール・グループ)董事長の張瑞敏氏は16日、北京のメディアセンターで内外記者の取材に応じ、調和のとれた社会の構築における企業の役割についてあらゆる角度からの見解を示した。
張代表は「調和社会の構築の目的は、人々がよりよい生活ができるようにすることだ。科学的発展と調和のとれた社会という二つの概念は、それぞれ因果関係にある。企業にとっては、自社に損失が出た場合、どのように調和社会を構築できるのかということだ」との考えを示した。
また、張代表は「調和社会の構築という目標は、経営良好な企業の目標と一致している。調和のとれた企業の最大のポイントは二つ。一つは製品価値を高め、売上能力を高めること、もう一つは従業員に自らの価値を発揮させること。これは電器業界にとってかなり重要だ」と強調。
現在、電器業界は多くの製品で利益が上がらず、赤字企業もある。このような状況下で、多くの企業は従業員の減給を行い、不満を招くことになった。市場経済の発展にともない、一部の企業と従業員との関係は、単なる雇用者と被雇用者の関係になり、従業員が自らの価値を発揮できる環境づくりを経営者があまり考えなくなった。
張代表は、企業家にとって大切なのは、自社製品の売上能力を高める一方、従業員に自らの存在価値を感じさせることだという。「両者は補完し合うもので、従業員は自身の存在価値を感じることができれば、イノベーションにいっそう努めるようになり、製品の利益獲得能力も高まってくる。一方、企業は利益をあげれば、従業員のためにより多くの機会をつくることができる。このことを出発点とするなら、カギはイノベーションだ。製品のイノベーションを行う一方、従業員のためにイノベーションの舞台をつくり出すことも必要だ」と同氏は言う。
ハイアールにとって人材の問題は、今後の発展における最も重要な課題だ。同グループの発展とともに、人材に関する考え方も変わってきているという。「以前は、従業員の現状から出発して目標を立てたが、現在は、目標と業績から出発して従業員の使用状況を決めるというように変わってきた。一部の管理職については、世界規模で人材を募集し、アメリカやヨーロッパから招聘する人材も少なくない」と同氏は明かした。
さらに張代表は、「調和社会を背景とした調和のとれた企業を構築するにあたり、最も基本的なことは人の価値の発揮だ」と語る。同グループでは、従業員の誰もがハイアール大学でトレーニングを受けるチャンスがある。ささやかな発明をする者がいれば、その発明にその者の名前を冠する。こうすれば、人材と創造に対する尊重を従業員に体験させ、その創造力をさらに発揮させることができる、と同氏は強調した。
ハイアール・グループ:
ハイアール・グループ(海爾集団)傘下の法人企業は240社余り。世界30カ国以上で設計センター、製造基地、貿易会社を設立。従業員数は全世界で5万人余り。科学技術、工業、貿易、金融の4大中堅産業の発展に重きをおき、大規模な多国籍企業として発展。06年には、全世界における売上高1075億元(約1兆7200億円)を達成した。
「北京週報日本語版」2007年10月19日 |