胡錦涛総書記が中国共産党第17回全国代表大会の開幕式で行った政治報告には新しい用語が頻繁に出現。これらの言葉は執政党の活力と生命力を示している。
「中国の特色ある社会主義の理論体系」
第17回党大会報告の調査・研究に参加した専門家によると、「中国の特色ある社会主義の理論体系」は同報告における最も重要な用語であり、中国の発展を導く理論に新しい変化があったことを示しているという。
中央党学校の秦剛教授は「この新しい理論はマルクス主義の中国化における理論の一つである“中国の特色ある社会主義の構築”という理論を豊富にし、発展させたものだ」と指摘。
秦教授によると、中国の近代社会における民族の独立と国力の強化・繁栄という2大課題に基づき、中国化されたマルクス主義は、新民主主義理論と社会主義革命理論、中国の特色ある社会主義の構築の理論から形成されている。胡錦涛総書記が提出した「中国の特色ある社会主義の理論体系」は後者に対する継承と発展だ。この理論には多くの新しい用語が含まれているが、中でも「科学的発展」と「調和社会」という言葉が最も重要なものだ。同教授は、この二つの用語は、中国共産党の執政理念が経済発展の速度の追求から調和のとれた社会の発展へと転換したことを示したものだと考えている。
「人道的配慮」
報告には初めて「人道的配慮」と「心理的ケア」という言葉が出現。報告原稿には「思想政治面での仕事を強化し、それをさらに改善し、人道的配慮と心理的ケアを重んじる」と記されている。
秦教授は「この二つの言葉で中国共産党の思想政治活動における新たな変化が明確になった。人に対する執政党の配慮、人に対する社会の配慮を体現し、厳粛な思想政治面の仕事のうえで、人の心の感受性に関心を寄せ始めたもので、執政党と民衆との距離を縮めた」との考えを示した。
報告には科学的発展観について、「その第一義とするところは発展、核心は人間本位である」、「人民の主体的地位を尊重し、人民の創造精神を発揮させ、人民の諸々の権益を保障し、ともに豊かになる道を歩むとともに、人々の全面的な発展を促し、人民のための発展、人民に依拠した発展、人民が成果をともに享受できる発展を成し遂げなければならない」と記されている。これらの主張は早くから提起され、民間にひろく伝わってはいるが、党大会の政治報告に明記されるのは初めて。
「票決制」
第13回党大会は、重大な問題については投票によって決めることを提起。それ以降、中国共産党は重大な政策決定や人事問題について、1人1票という投票制によって決めてきた。
今回の報告では、「地方党委員会が重要事項について討議した上で決定を行い、重要な幹部を任用する際の票決制を実行する」と提起された。
党建設の専門家の甄小英氏は「これは中国共産党が党内民主の形式を制度によって強固にすることを意味し、党内民主の発展にとって重要な成果だ」と強調。
甄教授は、「党員の主体的地位」という言葉は今回の報告における新しい表現で、「党員は党の主人であり、党員は党内権力の源であり、党員は党内行動の主体である」という三つの意味が含まれていると見る。
「ソフトパワー」
これまでの党大会の政治報告と比べ、今回の報告は文化についての言及に多くをさいている。「文化のソフトパワー」、「文化の創造的活力」、「文化の生産力」、「文化産業群」などの新しい言葉が頻繁に出現する。
中央党学校の戴焔軍教授は、「文化のソフトパワーという概念を党大会報告に明記したのは、執政党が社会の発展を推し進める中で文化の役割をますます重んじるようになったことを示している」と指摘。同教授は、文化は社会の精神的な支えであり、文化の力を強調することで、民衆の社会生活を豊かにし、科学技術や経済とは別の新しい発展のパワーをつくり出すことができると考えている。
「北京週報日本語版」2007年10月17日 |