中国の食品品質の 安全状況 |
四、食品安全の法律・法規 と技術保障システム (一)食品安全法律・法規システムは日増しに完備さ れている 今のところ、中国はすでに一連の完全的な食品安全法律・法規システムを確立し、食品安全を保障し、品質レベルを高め、輸出入食品貿易秩序を規範付ける上でしっかりした基礎と良好な環境を提供している。 法律は『中華人民共和国製品品質法』、『中華人民共和国標準化法』、『中華人民共和国計量法』、『中華人民共和国消費者権益保護法』、『中華人民共和国農産物品質安全法』、『中華人民共和国刑法』、『中華人民共和国食品衛生法』、『中華人民共和国輸出入商品検査法』、『中華人民共和国出入国動植物検疫法』、『中華人民共和国国境衛生検疫法』と『中華人民共和国動物防疫法』などを含める。 行政法規は『食品などの製品安全監督管理強化に関する国務院特別規定』、『中華人民共和国工業製品生産許可証管理条例』、『中華人民共和国認証認可条例』、『中華人民共和国輸出入商品検査法実施条例』、『中華人民共和国出入国動植物検疫法実施条例』、『中華人民共和国獣医薬管理条例』、『中華人民共和国農薬管理条例』、『中華人民共和国輸出貨物原産地規則』、『中華人民共和国標準化法実施条例』、『無免許経営取締法』、『飼料と飼料添加剤管理条例』、『農業遺伝子組み換え生物安全管理条例』と『中華人民共和国絶滅危惧野生動植物輸出入管理条例』などを含める。 部門規則は『食品生産加工企業品質安全監督管理実施細則(試行)』、『中華人民共和国工業製品生産許可証管理条例実施方法』、『食品衛生許可証管理方法』、『食品添加剤衛生管理方法』、『出入国肉類製品検査検疫管理方法』、『出入国水産品検査検疫管理方法』、『流通分野食品安全管理方法』、『農産物産地安全管理方法』、『農産物包装と標識管理方法』と『輸出食品生産企業衛生登録登記管理規定』などを含める。 (二)食品品質安全基準システム建設は次第に強化さ れる 国家標準化管理委員会は中国食品基準化活動を統一的に管理し、国務院の関係行政主管部門が本部門、本業種の食品基準化活動を分担して管理する。食品安全国家基準は各関係部門に起草され、国家標準化管理委員会に統一的に提案され、統一的に審査され、統一的に番号をつけられ、統一的に認可され公布されている。今のところ、中国では包括的で、比較的合理的な仕組みを持ち、一定の付属性と完全性を備えた食品品質安全基準システムが初歩的に形成されている。食品安全基準には農産物の産地環境、灌漑水質、農業に使う生産財の合理的使用準則、動植物検疫規則、適正農業規範(GAP)、食品の中での農薬、獣医薬、汚染物、有害微生物などの使用量の制限基準、食品添加剤および使用基準、食品包装材料衛生基準、特殊ダイエット食品基準、食品ラベル標識基準、食品安全の生産過程管理と抑制基準、および食品検査・測定方法基準などの面を含め、食糧、油の原料、果物、野菜およびその製品、乳と乳製品、肉・家禽・卵およびその製品、水産品、飲料・酒、調味料、ベビー食品などの食用農産物と加工食品に関わり、食品生産、加工、流通から消費に至る各段階を包括している。今のところ、中国はすでに食品安全に関わる1800余りの国家基準、2900余りの食品業種基準を公布し、そのうち強制的な国家基準は634ある。 食品安全基準の中の交差・重複したり、レベル不明などの問題を解決するため、合わせて1800余りの国家基準、2500余りの業種基準、7000余りの地方基準および14万余りの企業基準を徹底的に整理し、530余りの国家基準と業種基準を廃止した。それと同時に、基準制定・改訂作業を加速し、2460余りの国家基準と業種基準を改訂し、200余りの国家基準を新規制定し、280余りの国家基準制定計画を通達している。基準の宣伝と普及を通じて食品生産企業が基準を厳格に実行するよう促している。 (三)食品認証認可システムが基本的に確立する 中国国家認証認可監督管理委員会は全国の認証認可活動を統一的に管理し、監督し、総合的に協調し、認証市場の整理整頓を強化し、認証行為を規範付け、現在では統一管理、規範運営、共同実施の食品、農産物認証認可システムを基本的に作り上げ、「田畑から食卓に至る」全プロセスの食品、農産物認証認可システムを基本的に確立した。認証類別は飼料製品認証、GAP認証、無公害農産物認証、有機製品認証、食品品質認証、HACCP管理システム認証、緑色市場認証などが含まれる。今のところ、中国の有機製品認証面積は203万ヘクタールに達し、世界トップ10に入った。国際的にリンクしたGAP認証はすでに18のテスト省の286社の輸出企業と農業基準化モデル基地で、認証テスト作業を展開している。2675社の食品生産企業がHACCP認証を獲得し、2万8600の初級農産物が無公害農産物認証を獲得している。飼料製品認証、酒類製品品質等級認証、緑色市場認証などの活動が大きな進展をとげている。国は認証製品と企業に対する監督管理を絶え間なく強化し、認証の権威性と有効性を高めている。 (四)食品安全検査・測定システムの枠組みが基本的 に形成された 国内での食品監督管理面においては、一部の技術レベルのある食品検査・測定機構が設立され、「国クラスの検査・測定機構を先頭に、省クラスと部門別の食品検査・測定機構を主体とし、市クラス、県クラスの食品検査・測定機構を補助とする」食品安全検査・測定システムが初歩的に形成された。検査・測定能力は引き続き向上し、産地環境、生産に使用する原材料、生産加工、貯蔵、流通、消費の全プロセスに対して行う必要のある品質安全検査・測定を達成し、国家基準、業種基準、関係国際基準の食品安全パラメーター測定についての要求を基本的に満たした。中国は食品実験室に対して国際慣例に従った認可管理を実行し、国際的な相互認可、情報の共有、科学技術の難関突破などの課題への取り組みを強化し、検査・測定結果の科学的な公正性を保障した。中国は一部の食品検査・測定機構の水準を認定し、合計3913の食品類検査・測定実験室が実験室認定(計量認証)を通過した。そのうち食品類の国家製品品質検査センターは48カ所、重点食品類実験室は35カ所あり、これらの実験室の検査・測定能力とレベルは国際的にもかなり先進レベルに達している。輸出入食品の監督管理の面では、35の「国クラス重点実験室」をトップに、輸出入食品安全技術サポートシステムが形成され、全国で合計163の輸出入食品検査検疫実験室が作られ、各種類の大型精密機器1万余台(セット)が備えられている。全国の各輸出入食品検査検疫実験室で、輸出入食品実験室検査・測定に直接従事する専門技術者は1189人おり、年齢構造や専業者の配置が合理的に行われている。各実験室では各種食品中の残留農薬・獣医薬、添加剤、重金属含有量など786の安全衛生項目および各種の食源性病原菌を検査・測定することができる。2006年までに、すでに国クラス(部クラス)の農産物品質検査センター323カ所、省・地区・県クラス農産物検査・測定機構1780カ所が建設された。部、省、県が連携し、相互に補完しあう農産物品質安全検査・測定システムが初歩的に形成され、農産物品質安全監督管理を強化する面で技術的なサポートを提供している。 五、食品安全の国際交流と協力 中国政府は他の国、地区、関係国際組織と食品安全分野での友好協力関係の発展を重視し、国際的な先進的管理経験と検査・測定技術を参考にし、自国の食品品質レベルの全体的な向上を促進することを重視している。 (一)食品安全技術交流と協力を強化する 中国は条件を積極的に作り、技術専門家がさまざまな食品安全技術トレーニング、セミナー、交流、レベル比較などの活動に参加することを奨励、支持し、また外国の技術専門家の来訪、研修とトレーニングを歓迎している。世界保健機関(WHO)の関係活動に積極的に参与するほか、2001年いらい、前後してアメリカ、EU、イタリア、カナダ、ドイツ、イギリス、スイス、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、タイなどの国と食品安全、SPS協定における技術トレーニングと交流項目を展開した。2006年8月、14の南太平洋諸国の専門家に食品安全トレーニングを行った。国外の食品関係法規と要求を適時に理解し、輸出食品の安全性を保障するために、中国はアメリカ、EU、ロシア、韓国などの国と地区の食品安全衛生法規と要求を翻訳編集し、また前後してアメリカ、EU、日本の専門家を中国に招き、HACCPマニュアルおよび応用、貝類衛生抑制計画(NSSP)、残留物の監視・コントロール、ポジティブリスト制度などの特定テーマのトレーニングを行った。輸出入食品検査検疫実験室はまた何度も、イギリス食品分析技能評価(FAPAS)などの国際比較実験に参加し、アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)、オーストラリア試験所認定機関(NATA)などの有名な認定機構が組織する国際間の能力検証活動に定期的に参加している。国クラスと十数の省クラスの疫病予防抑制センターがWHOの食品安全検査・測定能力テストに参加して合格している。2006年11月までに、合わせて22の検査・測定機構が韓国の「国外公認検査・測定機関」の認可を獲得し、この22の検査・測定機構に検査・測定された韓国に輸出する食品は、韓国の検査を免除されている。日本は中国国家品質検査総局に直属する35の検査検疫局の検査結果を認めている。その中の多くの実験室は開放的な実験室であり、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、シンガポール、香港などの国と地区の専門家グループの訪問視察をたびたび迎えている。 (二)国際食品安全活動に積極的に参加する 中国政府は各種の国際食品安全組織活動を一貫して提唱しまた積極的に参与し、各種の国際食品規格委員会(CAC)、国際植物防疫条約(IPPC)会議および他の関係国際会議に代表団を派遣して参加し、またアジア太平洋経済協力会議(APEC)で地域的な食品安全協力の展開を正式に呼びかけ、オーストラリア、ニュージーランドと東南アジアなどの国から積極的な回答をもらい、APEC食品安全協力フォーラムを設立し、中国とオーストラリアが共催している。中国は食品安全国際基準化活動に積極的に参与し、国際標準化機構(ISO)技術管理局と合格評定委員会のメンバーでもある。2007年5月、中国は世界動物保健機構(OIE)に正式加盟した。2007年10月20日から21日まで、中国政府は広西チワン族自治区の南寧で東南アジア諸国と「中国―アセアン品質検査閣僚会議」を開催する予定であり、会議のテーマは「食品安全管理と協力を強化し、消費者の権益を保護する」である。その目的は中国とアセアンの食品安全協力メカニズムの確立を研究し、中国とアセアンおよび各加盟国の食品安全主管部門間の交流と協力を促進し、相互輸出入食品の品質、安全、衛生を確保するものである。 (三)国際食品安全協力の発展を重んじる 現在までに、中国国家品質検査総局は日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ノルウェー、ロシア、香港などの国・地区との間で定期、不定期にセミナーや専門家の相互訪問を行っている。中国国家品質検査総局はアメリカ、EU、ロシア、日本、韓国、シンガポール、タイ、モンゴル、ベトナム、フィリピン、デンマーク、フランス、オランダ、アイルランド、ハンガリー、ポーランド、イタリア、ノルウェー、スイス、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、メキシコ、ウルグアイ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、香港、澳門(マカオ)など30の国・地区と食品安全分野に関する33の協力協議または覚書を調印し、48の輸出入食品検査検疫衛生議定書を調印し、それにより中国と輸出入食品貿易相手国・地区の間に、長期的かつ効果ある協力メカニズムを確立した。その上で、中国国家品質検査総局は多くの国・地区と食品安全協力メカニズムの下で定例年次会議制度を設立した。そのうち、第2回の閣僚クラスの「中国・EU食品および消費品安全協力会議」が2007年9月12日に北京で開催される予定であり、第3回の準閣僚クラスの「中国・アメリカ食品安全会議」は2007年9月11日から12日まで、アメリカで開催される予定である。 (四)食品貿易の発展を推し進める 中国と関係国が確立した食品安全協力メカニズムは二国間と多国間の食品安全協力の促進、輸出入食品の安全性の保証、各方面が注目している食品安全問題の解決の面で積極的な役割を発揮している。例えば、中日協力メカニズムは中国から日本に輸出した食品の安全性を保証する面で重要な役割を発揮している。日本の「ポジティブリスト制度」が発表された後、中国政府は日本との疎通と折衝を強化する一方、日本側に中国側の合理化案を受け入れさせ、一部分の項目を調整させた。一方では日本と協力し、3回の説明会と8回の特定項目のトレーニング班を開き、輸出食品の生産企業と協力し農薬・獣医薬の使用管理をさらに規範化し、品質の追跡調査システムを完全なものにし、日本に輸出した食品の品質安全を効果的に保証した。中米食品安全協力メカニズムも同様に良好な役割を発揮しているが、例えば2005年の年末以来、中国輸出入検査検疫機構はたえずアメリカから輸入した肉類製品の中に、使用禁止薬の残留、環境汚染物質の基準超過、病原微生物などの安全衛生問題を検出し、中国側は即時にアメリカに関係情報を通報し、アメリカ側に中国の食品安全法規と要求を理解させたおかげで、中国消費者の健康安全を効果的に保護したのみならず、アメリカの肉類製品の中国輸出貿易の健全な発展も保障した。2004年から2005年まで、中国とアメリカはこのメカニズムの下で中国が輸出した調理済み家禽肉安全衛生システムに対して等価評価を達成した。同様に、中国とEUの食品安全協力メカニズムは、双方が注目する問題の解決を強力に促進した。情報の即時通報とリスク評価の上で、中国側はEUの個別加盟国のダイオキシンに影響された食用豚肉製品の対中国輸出問題を解決した。一方、中国側は引き続き食品安全管理に取り組みつつ、疫病の予防抑制を強化する上で、EU側の衛生システムの考察とリスク評価活動に積極的に協力し、中国の調理済み家禽肉製品の品質安全に対するEU側の信頼を勝ち取った。EU側はすでに、2007年内に中国の調理済み家禽肉製品の輸入を再開するスケジュールを立てた。 「民以食為天(民は食を以って天となす)」、食品は人類にとって最も直接、最も大事な消費品である。中国は責任感のある国であり、中国政府は国民に福祉を図る政府であり、多年にわたって食品品質を高め、食品安全を確保するために大きな努力を払い、中国人民と各国消費者の利益を保護してきた。ところが同時に認めなければならないのは、中国はまだ発展途上国であり、基準レベルや食品生産の工業化レベルを含める食品安全の全般的なレベルは、先進国と比べれば一定の格差があり、食品の品質を高める責任は重くなお道遠しである。食品の品質安全を実現することは人類共通の目標であり、国際社会の共通の責務でもあり、中国は輸出入貿易大国として、世界各国とともに、交流と協力を強化し、食品安全の確保と全世界食品貿易の健全な発展を促進する上で、引き続きたゆまず努力していくことを願っている。 |