中国の食品品質の 安全状況 |
(十)食品リコール制度を確立し完全なものにする この制度は自主的リコールと命令リコールの2種類があり、食品生産加工企業を食品リコールの責任主体と定め、食品生産者が生産した食品に安全上の危険があると判断したら、即時に生産と販売を止め、自主的リコールを実施することを要求するものである。食品の危険性を意図的に隠ぺいしたり、リコール義務を履行せずあるいは生産者のミスによって、食品の危険性が拡大したり再発した場合、生産者に対しリコール命令を発動する。近年らい、国家品質検査総局は、食品監督抜き取り検査と法律に基づく検査の中で、病原菌、化学的な汚染、非食品原料を使用するなど重大な隠れた危険を内包する食品に対して強力なリコールを実施し、重大な結果をもたらした場合は生産業者の食品生産許可証を取り消し、安全でない食品がもたらす危険性の比率を下げ、多くの消費者の健康と安全に確実な保護を行った。 (十一)食品安全信用システムの建設を強化する 中国政府は食品の品質安全信用システムの建設を重視し、企業に初歩的な食品安全信用保存書類システムを設立させ、食品生産加工企業のホワイトリスト・ブラックリスト掲示制度を導入し、さらに各種の商会、協会の役割を十分に発揮させ、食品業界の自律を促している。優秀な強い企業を支援する措置に力を入れ、政策的、行政的、経済的手段を採用し、信用を重んじるまじめな企業を奨励し、食品の安全において誠実な環境作りに力を入れ、食品安全信用文化を創造し、社会全体に食品安全信用意識を向上させていく。食品安全信用システムをちくじ完全なものにし、食品の安全に関する規範、指導、監督機能に対して食品安全信用システムを全面的に発揮させた。企業の食品安全信用保存書類の設立を強化し、食品安全信用分別監督管理を推し進め、食品生産経営主体の登録保存書類情報システムと食品生産経営主体の信用分類データベースの建設に重点を置き、そこに食品生産経営主体の市場参入情報、食品安全監督管理情報、消費者の苦情・通報を広く収集し、状況の把握と効果的な監督管理に役立てている。近年らい、最新のネット技術を利用して、食品の品質安全に対し最新の監督管理ネット技術を利用して、即時に速やかに効果的に、食品の真贋を判別させることができるようになり、消費者の利益を保ち、偽造粗悪品の製造行為に打撃を加え、企業の信用確立を促した。 多年らい、中国食品の生産品種はたえず増加し、生産量も引き続き増大し、品質も引き続き高まっており、国民の日増しに強まる消費需要を保障し、国民の生活レベルを高め、国民経済の発展を促進している。同時に中国政府は発展レベルの限界性により、中国の食品安全にまだいくらか問題があることをはっきり認め、今後は生産加工の中での手抜きや材料のごまかし、不純物混入やニセもの使用、ニセものを本物に偽る、非食品原料やかびが生え変質した原料で食品を加工する、基準に基づかない生産、添加剤の濫用などの違法行為を厳しく取り締まり、食品の品質安全保障レベルを引き続き高めていく。 三、輸出入食品の監督管理 (一)輸入食品の監督管理 長年にわたる模索と実践を通じて、中国は一連の輸入食品の品質安全監督管理制度と保障措置を確立し、輸入食品の安全性を確保した。 ――科学的なリスク管理制度。世界貿易機関(WTO)の衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)および国際的慣例に基づいて、中国政府は肉類、野菜など高リスク食品の輸入に対しリスク管理による検査検疫通関許可制度を実施し、以下の内容を盛り込んでいる。 輸出国が中国に申告した高リスク食品に対してリスク分析を行い、そのリスクが影響する食品に対して輸出国の主管部門との間で検査検疫議定書を調印し、国外の生産企業に対し衛生登録を実施し、動植物を原料とする食品に入国検疫の審査・許可などを実施する。もし輸出国で動植物の疫病や重大な食品安全衛生問題が起こった場合、即時に、影響の出る可能性がある食品の輸入の一時停止を含む、相応なリスク管理措置を採用する。 ――厳格な検査検疫制度。輸入食品が港湾に着いた後、中国出入国検査検疫機構が法律に基づき検査検疫を実施し、検査検疫で合格したあと輸入を許可する。入国地の税関は検査検疫機構が交付した入国貨物通関書類に基づき輸入食品の検査・通関手続きを行い、その後で中国市場に販売できる。検査検疫過程に品質安全と衛生問題を発見したら、すぐ問題がある食品に対して法により相応な処理措置を採用する。2006年、出入国検査検疫機構は輸入港で合計2458回の不合格食品を検出した。2007年上半期には合計896回検出し、いずれも法によって返却、廃棄、あるいは他の用途に転換処理し、中国に輸入する食品の品質安全を確保した。 ――整備された品質安全監督・コントロール制度。法により輸入食品に検査検疫を実施すると同時に、高リスク食品および到着港の検査で問題検出が比較的多い食品と項目を重点的に監督・コントロールする。重大な問題が検出されたり何度も同じ問題が検出された輸入食品に対しては、リスク警報を即時に発表し、抜き取り検査比率を高め、検査・測定の項目を増やし、輸入を一時停止するなどを含む厳格な管制措置を採用する。 ――不法な輸入を厳しく取り締まる制度。中国国家品質検査総局と税関総署は税関検査協力機構を設立し、共同で食品を不法に輸入する行為を取り締まる。2006年にEU委員会との間で「中国・EUが共同で食品の不法輸出入行為を取り締まる協力措置」を調印し、双方が情報交換、技術協力、専門家の相互訪問と共同で特定項目の取り締まりなどの展開により、詐欺、無申告持ち出し・持ち込み、不法中継輸送、密輸など食品の不法な輸出入行為に対し共同で取り締まることを明確にした。2006年から2007年上半期までに、不法輸入された肉類だけで1万2292トンを押収している。 (二)輸出食品の監督管理 中国政府は「予防を主とし、根源から監督管理し、全プロセスをコントロールする」という原則に基づいて、「1つのモデル、10項目の制度」を主な内容とする輸出食品安全管理システムを確立し、完全なものにした。 1つのモデルとは、すなわち輸出食品の「会社+基地+基準化」の生産管理モデルである。この生産管理モデルは中国の国情、輸出食品の実際にかなうもので、これは輸出食品の品質を保障するものであり、企業が規模化、集約化、国際化して発展する過程で選択しなければならない道である。多年のたゆまぬ努力を経て、中国の主な輸出食品、とりわけ肉類、水産品、野菜など高リスク食品は「会社+基地+基準化」を基本的に実現した。 10項目の制度とは、以下のものを含む。すなわち供給源の監督管理の3項目:栽培養殖基地に対して検査検疫報告の公簿登録管理制度、疫病監視・観測制度、残留農薬・獣医薬の監視・コントロール制度を実施する。工場監督管理の3項目:衛生登録制度を厳格に実施し、企業分類管理制度を全面的に実行し、高リスク食品の大手輸出生産企業の工場に対し検査検疫官を駐在させる制度を着実に推し進める。製品監督管理の3項目:輸出食品に対する法定検査検疫制度、品質の追跡検査と不合格品のリコール制度、リスク警報と緊急対応制度を実施する。信用建設の1項目:輸出食品企業に対し、ホワイトリスト・ブラックリスト掲示制度を実施する。 ――供給源となる栽培・養殖の監督管理を強化する。動植物の疫病リスクと農薬・獣医薬残留を効果的に抑制するため、根源から食品の品質安全と品質の追跡調査を保障し、出入国検査検疫機構は疫病と農薬・獣医薬残留リスクが存在する輸出食品の原料基地に対し、検査検疫報告の公簿登録管理制度を実行する。公簿登録が許可された栽培・養殖場の原料のみが輸出食品の加工に使用される。公簿登録が許可されたすべての原料基地を国家品質検査総局のウェブサイトで公表する。現在までに公簿登録が許可された養殖場は6031カ所あり、栽培基地は38万ヘクタールある。これらの基地に対し、疫病の監視・観測と予防・抑制を強化し、農業に使う生産財の管理を強化し、残留農薬・獣医薬の監督・コントロール制度を厳格に実行し、これにより基地の疫病問題と残留農薬・獣医薬問題を効果的に抑制できるようになった。ここ数年らい、世界的に鳥インフルエンザの発病率が高まっているが、中国で公簿登録管理を実施するいずれの養殖場でも疫病は発生していない。 ――食品生産企業への監督管理を強化する。中国はすべての輸出食品生産企業に対し、衛生登録登記管理制度を実施し、衛生登録登記を許可された企業だけが輸出食品の生産・加工に従事できるものとする。現在までに、衛生登録登記許可を得た企業は合わせて1万2714社であり、その中の3698社の企業のHACCPシステムは出入国検査検疫機構の検査に合格した。衛生登録登記を許可された生産加工企業に対して、各地の出入国検査検疫機構は統一的に日常監督管理を実施し、公簿登録を許可された栽培・養殖基地から原料が来ることを保障し、生産加工作業が要求と一致することを確保する。出入国検査検疫機構は、肉類など高リスク食品の大手輸出生産企業に対して、必要に応じて検査検疫官を派遣し、工場に駐在させ監督管理を実施する。輸出食品の包装は追跡調査の便を図る表示の要求に符合するラベルまたは標識を貼らなければならず、製品の追跡調査と問題製品のリコールを確保する。 ――食品輸出前の検査検疫を強化する。中国の法律は次のものを規定している。すなわちすべての輸出食品は検査検疫機構によって検査検疫され、合格になってはじめて輸出できる。出国地の税関は、検査検疫機構から交付された輸出貨物通関書類に照らして輸出食品の検査・通過手続きを取り扱う。検査検疫され合格した輸出食品に対して、もし輸入国の要求があれば、出入国検査検疫機構が衛生証明書を発行しなければならず、そのとき食品がすでに出入国検査検疫機構に検査検疫され合格であることを証明し、また生産企業名称、住所、衛生登録番号、生産日、輸出日、発送港名、到着港名など追跡調査できる情報を明記する。貨物が出国港に到着した後、通関港の検査検疫機構は輸出貨物を再び検査し、貨物が完全かどうか、貨物と証明書が一致しているかどうかを検査し、貨物が追跡できることを保障する。 ――輸出企業信用システムの構築を強化する。輸出企業品質承諾とホワイトリスト・ブラックリスト掲示制度を全面的に実行し、力を入れて品質の第一責任者としての意識を企業に強化させ、企業が自己管理、自己制約、自覚的で誠実に経営する良好なメカニズムを作るよう促進する。自己抑制システムが健全で効果的に機能し、誠実度が高く、製品の安全リスクが効果的に抑制され、輸入国で良好な信望を得た企業に対しては、「優良企業名簿」に入れ、優遇策と奨励を与える。輸入国と地区に重大な品質規則違反問題を通告されたり検査検疫を逃れたり、あるいは検査検疫機構を騙す行為があった輸出企業に対しては、法によって処罰すると同時に、「規則違反企業名簿」に入れ、インターネットで公表し、輸出企業の自律意識の強化を促す。現在まで、「規則違反企業名簿」に入れられた企業は合計55社ある。 多年らい、品質検査、貿易、税関、工商、税務などの部門が緊密に協力し、そのため、中国輸出食品品質安全レベルの向上を促し、品質がすぐれ、味がよく、価格が安い食品を提供することにより、内外の数多くの消費者の美食欲求を満足させてきた。しかし一部の企業が中国と輸入国の法律・法規と基準・規定を無視し、虚偽を弄したりすり替える手段で、検査検疫監督管理を逃れ、不正常なルートを通じて輸出する状況が現れ、偽造粗悪の食品が国外市場に流出した。中国政府は取り締まりの更なる強化により、不合格食品が輸出されることを断固として禁じる。
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