中国共産党は第16回党大会以降、党内の“重症のがん”とも言われる中央・地方政府の腐敗した官僚を摘発し、厳罰に処してきた。とくに省・自治区・直轄市や部(省庁)については、腐敗が深刻な一部高官を徹底的に追放するなどして国内外から注目された。
様々な兆しが示すように、過去5年間で腐敗の発生・蔓延の勢いは一定の範囲内に抑えられた。法律や紀律に違反する事件は減少傾向にあり、これも広く認められ称賛されている。
党員になって50年余りになる天津体育学院元幹部の曹兆竜氏は「党中央が陳良宇・前中国共産党上海市委員会書記に対して党籍剥奪と公職解任の処分を行い、司法機関に身柄を移して法に基づき処理すると決定したことは、腐敗を断固として取り締まるとの共産党の決意を十分に示すものだ」と話す。
英エコノミストは、陳良宇書記事件に対する処置は「中国政府の腐敗の取り締まりが真しかつ厳格なものであることを示した」と論評。日本の毎日新聞は「胡錦涛主席は庶民の反応が最も強い幹部の腐敗問題を、党の存亡にかかわる大問題」として厳しい姿勢で対処していると報じた。
権威当局の統計によると、中央・地方の紀律検査監察機関が2003年に党・行政紀律に違反したとして処分した幹部は17万人余りにのぼり、うち省・部クラスは16人だった。05年に処分を受けた党員は約11万人で、党員全体の0.16%を占めた。汚職や賄賂で党籍を剥奪された党員は1万人余り。昨年に党紀律違反で処分された党員は約9万人で、全体の0.14%だった。
さまざまな腐敗した官僚を処分することは、これまでに共産党が党を厳しく治めるという方針を貫徹してきたことの重要かつ具体的な表れであり、腐敗を取り締まり、党と政府の気風を是正するための有効な手段となってきた。
幹以勝・中央紀律検査委員会副書記によると、昨年に全国の紀律検査監察機関が処分した事件のうち、46.2%は投書や通報によるものだった。荊福生・元共産党福建省委員会常務委員・宣伝部長、王武竜・元江蘇省人民代表大会常務委員会副主任、何閩旭・元安徽省副省長による事件は、投書や通報を受けて行った調査で発覚した。
張恵新・党中央紀律検査委員会副書記は「長年にわたり、数多くの庶民からの投書や通報が、事件を見つける主要な手段となっている。腐敗を暴いたり、事件への手がかりを提供したり、調査して問題を明らかにしたりする上で重要な役割を果たしてきた」と強調する。
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