六、文化建設と文化体制改革

いくらかゆとりのある社会を全面的に建設するには、社会主義の文化を大いに発展させ、社会主義の精神文明を建設しなければならない。今日の世界では、文化は経済、政治と互いに融け合って、総合的国力の競争における位置と役割が益々際立っている。文化の力は、民族の生命力、創造力、凝集力の中に深く溶け込んでいる。全党の同志は文化建設の戦略的意義を深く認識し、社会主義文化の発展、繁栄を推し進めなければならない。

（一）先進的文化の前進の方向をしっかりと把握する。現代の中国において先進的文化を発展させることは、とりもなおさず現代化、世界、未来に目を向ける民族的、科学的、大衆的な社会主義文化を発展させることであり、これをもってたえず人々の心を豊かにし、精神的な力を増強することである。イデオロギー分野におけるマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論の指導的地位を堅持し、「三つの代表」という重要な思想で社会主義文化の建設を統率しなければならない。人民に奉仕し、社会主義に奉仕する方向と「百花斉放、百家争鳴」の方針を堅持し、主旋律を高揚させ、多様化を提唱する。科学的理論で人々を武装させ、正しい輿論で人々を導き、高尚な精神で人々を育て上げ、優れた作品で人々を鼓舞することを堅持する。先進的文化を大いに発展させ、健康で有益な文化を支持し、立ち遅れた文化の改造に努め、腐り果てた文化を断固ボイコットする。文学・芸術活動家は大衆の中に深く入り、実生活の中に深く入って、人民に時代に恥じない作品をより多く奉献しなければならない。報道・出版、ラジオ・映画・テレビは正しい方向付けを堅持しなければならず、インターネット・ウェブサイトは先進的文化を伝播する重要な陣地とならなければならない。改革・開放と現代化建設の実践に立脚し、世界の文化発展の最前線に着眼し、民族文化の優れた伝統を発揚し、世界各民族の長所を汲み取り、内容や形式の面で積極的に革新をおこない、中国の特色のある社会主義文化の吸引と感化力を絶えず強める。

（二）民族精神を発揚することとはぐくむことを堅持する。民族精神は、一つの民族がそれに頼って生存、発展する精神的支柱である。どの民族も、奮起の精神と高尚な品格がなければ、世界民族の列に仲間入りするのは不可能である。五千余年の発展の中で、中華民族は愛国主義を中核とする、団結、統一し、平和を愛し、勤勉かつ勇敢で、自ら向上を求めてやまない偉大な民族精神を形成してきた。わが党は人民を指導して長期にわたる実践の中で、たえず時代と社会の発展の要請と結びつけて、この民族精神を豊かにしている。世界的範囲におけるさまざまな思想と文化が互いに激しく絡みあう状態を前にして、民族精神を発揚することとはぐくむことを文化建設の極めて重要な任務として国民教育、精神文明建設の全過程に組み入れ、終始全人民に高揚、向上する精神状態を保たせなければならない。

（三）思想・道徳建設を着実に強化する。法によって国を治めることと徳によって国を治めることは、互いに補完し合うものである。社会主義市場経済に適応し、社会主義法律規範と協調し合い、中華民族の伝統的美徳を受け継ぐ社会主義の思想・道徳体系を構築しなければならない。党の基本的理論、基本路線、基本的綱領および「三つの代表」という重要な思想に関する宣伝教育を深くつっこんで繰り広げ、中国の特色のある社会主義の共通の理想、正しい世界観、人生観、価値観を確立するよう人々を導く。公民の道徳建設実施綱要を真剣に貫徹し、愛国主義精神を発揚し、人民への奉仕を中核とし、集団主義を原則とし、誠実、信義を重点として、社会公徳、職業道徳、家庭美徳の教育を強化し、特に青少年の思想と道徳建設を強化して、人々が基本的行為の準則を守ることを踏まえて、より高い思想と道徳の目標を追求するように導かなければならない。思想・政治工作を強化、改善し、大衆的な精神文明づくりの活動を幅広く展開する。

（四）教育と科学事業を大いに発展させる。教育は科学技術を発展させ、人材を育成する基礎であり、現代化建設の中で先導的、全局的な役割を果たすため、優先的に発展させる戦略的地位に置かなければならない。党の教育方針を全面的に貫徹し、教育が社会主義現代化建設と人民に奉仕することを堅持し、生産労働および社会実践と結びついて、徳育、知育、体育、美育が全面的に発展した社会主義事業の建設者と後継者を育成する。教育を革新し、教育改革を深化させることを堅持し、教育構造を最適化させ、教育資源を合理的に配置し、教育の質と管理レベルを高め、資質の教育を全面的に推進し、数億にのぼる資質の高い勤労者、数千万にのぼる専門人材および数多くの卓越した革新を行う人材を育成する。教師陣づくりを強化し、教師の職業道徳と業務レベルを高める。引き続き九年制義務教育を普及させる。職業教育と養成・訓練を強化し、継続教育を発展させ、生涯教育システムを構築する。教育への投入および農村における教育に対する支持に力を入れ、社会の力による学校運営を奨励する。貧困学生を援助する国の政策と制度を充実させる。科学と技術の長期にわたる発展計画を制定する。科学のインフラ建設を強化する。科学知識を普及させ、科学的精神を発揚する。社会科学と自然科学を同様に重んじることを堅持し、経済と社会の発展の中で哲学と社会科学に重要な役割を十分に発揮させる。全社会において、科学を尊重し、革新を奨励し、迷信やニセモノの科学に反対する好ましい雰囲気をつくり出す。

（五）文化事業と文化産業を積極的に発展させる。各種の文化事業および文化産業を発展させるにあたって、先進的文化を発展させる要請を貫徹し、終始、社会的効果を首位に置かなければならない。国は文化的公益事業を支持、保障し、さらにそれ自体の発展の活力を増強することを奨励する。文化的公益事業の発展を支持する政策・措置を堅持し、完全なものにし、党と国の重要なマスメディアと社会科学研究機構を助成し、民族的特色と国のレベルを体現する重要な文化プロジェクトと芸術団体を助成し、重要な文化財と優れた民間芸術に対する保護活動を助成し、かつての革命根拠地、少数民族地区、辺境地区、貧困地区および中・西部地区の文化の発展を助成する。文化面のインフラ整備を強化し、さまざまな大衆的文化を発展させる。医療衛生とスポーツ事業の改革と発展を積極的に推し進め、全国民の体を丈夫にする活動を展開し、全国民の健康水準を高める。二〇〇八年オリンピック大会をりっぱに開催するように努める。文化産業を発展させることは、市場経済という条件の下で社会主義文化を繁栄させ、人民大衆の精神・文化面の需要を満たす重要な方途である。文化産業政策を充実させ、文化産業の発展を支持し、わが国の文化産業の全般的な力と競争力を増強する。

（六）引き続き文化体制改革を深化させる。社会主義精神文明建設の特徴と法則に基き、社会主義市場経済発展の要請に適応して、文化体制改革を推し進める。文化体制改革の総体的方案の策定を急ぐ。改革深化を構造調整、発展促進と結び付けて、政府と文化企業・事業体との関係をすっきりさせ、文化分野の法制整備を強化し、マクロ管理を強化し、文化企業・事業体内部の改革を深化させ、文化活動家の意欲を引き出し、文化の革新を推進し、優れた作品が多く創出され、人材が多く輩出することに役立つ文化管理体制と運営メカニズムを逐次構築する。一方では繁栄に力を入れ、他方では管理に力を入れる方針に照らして、文化市場体系を健全にし、文化市場の管理メカニズムを充実させ、社会主義文化の繁栄のために良好な社会環境をつくり出す。

中華文明は広く深く、悠久な歴史を持っており、人類文明の進歩のために多大の貢献をしてきた。現代の中国人民は、偉大な奮闘の中で社会主義文化建設の新たな高揚期を迎え、さらに輝かしい先進的文化をつくり出すであろう。