三、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する奮闘目標
全党および全国各民族人民がともに努力することによって、われわれは現代化建設を「三つの段階に分けて推し進める」戦略の第一段階、第二段階の目標を勝利のうちに達成し、人民の生活は全般的にいくらかゆとりのあるレベルに達した。これは社会主義制度の偉大な勝利であり、中華民族発展史上の新たな一里塚である。
しかし、わが国がいまなお、そしてこれからも長期にわたって社会主義の初級段階にあり、現在到達したいくらかゆとりのある状態がまだレベルが低く、全面的でなく、発展が非常にアンバランスのものであり、人民の日ましに増大する物質文化への需要と立ち遅れた社会的生産の間の矛盾が依然としてわが国社会の主要な矛盾であることを見てとらなければならない。わが国の生産力と科学技術、教育はまだ比較的に立ち遅れており、工業化と現代化を実現するには、まだ非常に長い道のりを歩まなければならない。都市農村の二重経済構造はまだ改められておらず、地域間の格差が拡大する趨勢はまだ転換されておらず、貧困人口はまだ少なくない。人口の総量は増えつづけ、高齢層人口のウエートは上昇し、就職と社会保障の圧力は増大している。生態環境、天然資源と経済・社会発展との矛盾は日ましに突出している。われわれは依然として、先進諸国が経済、科学技術などの面で優位を占めていることによる圧力に直面している。経済体制とその他の面の管理体制はまだ整備されていない。民主・法制建設と思想・道徳建設などの面にまだ、いくつかの無視できない問題が存在している。現在到達した、いくらかゆとりのあるレベルを打ち固め、高めるには、なおも長期にわたって困難を乗り越えて奮闘する必要がある。
全局を見渡すと、二十一世紀の最初の二十年は、わが国にとってはしっかりとつかまなければならないとともに、大いになすところのある重要な戦略的チャンスの時期である。中国共産党第十五回全国代表大会で打ち出された二〇一〇年、党創立百周年、新中国成立百周年の発展目標にもとづけば、われわれは今世紀の最初の二十年間に、力を集中して、十数億の人口に恵みをもたらす、より高いレベルのいくらかゆとりのある社会を全面的に建設し、経済をさらに発展させ、民主をさらに健全なものにし、科学、教育をさらに進歩させ、文化をさらに繁栄させ、社会をさらに調和させ、人民の生活をさらに豊かにするようにしなければならない。これは現代化建設の第三段階の戦略的目標を実現するのに経なければならない、過去を受けて未来を開く発展段階であり、社会主義市場経済体制を充実させ、対外開放を拡大する重要な段階でもある。この段階の建設を経て、さらに数十年奮闘しつづければ、今世紀中葉に現代化を基本的に実現し、わが国を富強、民主、文明の社会主義国に築き上げる。
いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する目標は、次のとおりである。
――構造最適化と効率向上を基礎として、二〇二〇年の国内総生産(GDP)を二〇〇〇年に比べて四倍に増やし、総合的国力と国際競争力を目に見えて増強する。工業化を基本的に実現し、完全な社会主義市場経済体制とより活力があり、より開放的な経済システムを構築する。都市部人口のウエートがかなり大幅に増え、工業と農業の格差、都市と農村の格差、地域間の格差が拡大する趨勢をちくじ転換する。社会保障システムがかなり健全で、社会における就職がかなり十分であり、家庭の財産が普遍的に増え、人民はより豊かな暮らしができるようになる。
――社会主義民主がさらに充実し、社会主義法制がさらに完備したものとなり、法によって国を治める基本的な方策が全面的に実行に移され、人民の政治、経済、文化の権益が確実に尊重、保障される。末端における民主がさらに健全なものとなり、社会秩序が良好で、人民が安心して生活を楽しみ、仕事に打ち込めるようになる。
――全民族の思想・道徳の資質、科学、文化の資質、健康の資質が目に見えて向上し、かなり完全な現代国民教育体系、科学技術と文化の革新体系、全人民の健康と医療衛生体系が形成される。人民は望ましい教育を受ける機会を享有し、高校段階の教育が基本的に普及し、非識字者がなくなる。全人民の学習、生涯学習という学習型社会が形成され、人間の全面的な発展が促される。
――持続可能な発展の能力がたえず増強され、生態環境が改善され、資源の利用効率がいちじるしく向上して、人間と自然の調和を促し、社会全体が生産が発展し、生活が豊かになり、生態環境が良好な文明、発展の道を歩むように促す。
今回の大会で確立された、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する目標は、中国の特色のある社会主義の経済、政治、文化が全面的に発展する目標であり、現代化推進の加速と統一しあう目標であり、わが国の国情と現代化建設の実情に合致し、人民の願いに合致するものであり、非常に重要な意義をもつものである。新しい世紀の新たな段階における党のこの奮闘目標を達成するには、発展は新しい発想がなければならず、改革は新たな突破がなければならず、開放は新たな局面がなければならず、諸活動は新しい措置がなければならない。各地、各部門は実情から出発し、確実で効果的な措置をとって、この目標の実現に努めなければならない。条件のあるところでは、よりはやく発展し、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設することをふまえ、率先して現代化を基本的に実現してもよい。いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する目標を達成すれば、われわれの祖国はかならずいっそう繁栄し、富強になり、人民の生活はかならずさらにしあわせでうるわしいものとなり、中国の特色のある社会主義はかならずその巨大な優位性をいちだんと顕示するとはっきり言うことができる。
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