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友好の歴史をふり返って  
郭沫若の眼に映った日本

価しておらず、日本人が崇拝する桜の花についても、これも風刺する眼で評している。

しかしながら、郭沫若が日本を軽視したのにはより深い理由がある。1920年3月20日に郭沫若が宗白華に宛てた手紙が問題を十分に説明している。「われわれが日本に留学し、読むものは西洋の書であり、受けるのは東洋の罪である」。いわゆる「東洋の罪」とは、まさに日本式の民族差別であり、その忍び難きは、一種の中国人を下に見る性質にある。いわゆる「東洋」はもちろん、「西洋」と相対的に言ったもので、「東洋」が「西洋」のように先進的でないのは、すでに歴史によって証明された事実である。「アジアを脱して欧州に入る」志のある日本人であれ、「全面的な西洋化」を求める中国人であれ、いずれもこれを否定することはできなかった。日本に留学した学生は、家庭が経済的に貧しく、本当の西洋文明に直接教えを受けられなかったことから、仕方なく次の目的の日本に行ったのであり、東洋の「ヤミ商人」を通じて西洋を学ぶことに甘んじてはいなかった。だからこそ郭沫若はこう記している。「わたしは本当についていない、本当に運が悪い! わたしはこのところ、本当に奮い飛び立ちたいと考えている、本当に西洋に逃げたいと思っているが、悔しいことに銭がない、わたしは自由ではない、なんとしたことか!」

西洋の書を読み、東洋の妻をめとり、翻訳をし、一時代の詩風を切り開き、歴史唯物主義をもって甲骨文を研究することで、日本における郭沫若の生涯は豊富多彩なものとなった。しかし、これらすべては基本的には、西側の文化や思想を背景にしたものだ。新たな詩の創作については言うまでもなく、完全にダガールやハイネ、ゲーテ、ホイットマンなど、外国の大詩人の影響を受けた結果である。あの東洋の妻については、日本の女性のなかでも別のタイプであり、キリスト教に献身し、人類主義の心情のある貞女であり、伝統的な日本の女性とは大きく異なる。郭沫若の日本留学時代の著述を検証すれば、自伝小説において背景となった日本を除き、その他の作品においては日本に関する内容が非常に少ないことが分かる。とくに翻訳作品については、川上肇を除いて、すべて西洋人に持ち去られている。郭沫若の異郷での交流から、ほとんど日本の文化人とは行き来せず、中国の学生が崇拝する日本文壇の巨匠も、彼の鋭敏な眼には入っていなかったことが見て取れる。田漢は一度、彼と約束して佐藤春夫に拝することにしたが、謝絶された。また秋田雨雀に会いに行くことも、謝絶。郭沫若は自らのこうした気質を「尊ぶ気持ちがない」としているが、そこにはほとんど西側の文化人は含まれていない。

しかしながら、「全面的な西洋化」を主張する人びとと違って、郭沫若は決して中国の伝統的文化を見下していたわけではない。反対に、彼は中国の伝統文化の擁護者であり、発揚者でもあり、しかも中国文化に対しては一貫して自信にあふれていた。孔子を高く評価し、老子や荘子の思想を積極的に解釈しているところから、それが見て取れる。彼は、活力四方にあふれる西側の現代的文化は、中国古代の文化と本質的に一致すると見ていたのではないか。だからこそ、郭沫若の精神構造においては、「大中華主義」と「大西洋主義」が有機的に強く結ばれていた。まさにこの「大中華」に「大西洋」を加えた文化的な心理状態が、日本を深く研究する妨げとなったのである。郭沫若は日本の明治維新の成功についてこう説明している。「すでに人びとが疲弊している幾つかの島々が、植民地的価値に立ってどうしてわれわれに追いつけるだろうか。だからこそ、日本民族が覚醒し、自ら奮い立った時、欧米人はむしろ意に介さなかった。彼らはわれわれをしっかりと縛りつけたことを喜んでおり、争って小さな新鮮なものなど食べる暇はないのである」。これは典型的な外的要因による結論であり、明治維新の底のる深い意味を説明するには不十分かも知れない。

◆郭沫若作家、詩人、戯曲家、歴史学者、古文字学者、考古学者、社会活動家。1978年6月に北京で逝去。享年86歳。四川省の出身。1927年に共産党員となり、国務院副総理兼文化教育員会主任、中国科学院々長、中国科学院哲学社会科学部主任、中国科学技術大学校長、全国文学連合会の第1、2、3期の主席、第1~5期全国人民代表大会常務委員会副委員長を歴任。著作は「女神」や「屈原」「虎符」「蔡文姫」「棠棣之花」「甲申三百年祭」「青銅時代」「十批判書」「奴隷制時代」など歴史戯曲、評論のほか、詩文は多数にのぼる。

「北京週報日本語版」2007年7月23日

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