この25日で、「全国土地の日」は17回目を迎えた。今年のキャンペーンテーマは「用地を節約・集約し、耕地のレッドラインを死守する」。では、なぜ死守する必要があるのか。設定した耕地保有面積の最低ラインがこれまで何度も破られてきたからだ。
国土資源部が提出した「全国土地利用総合計画要綱」が国務院に却下されたとのニュースが一時伝わったことがあるが、このほど専門家は、「同要綱は06年9月6日に国務院が開催した第149回常務会議で否決された」ことを明らかにした。
歴史的なレッドラインはいずれも突破
06年10月31日現在、耕地面積は前年末に比べおよそ30.83万ヘクタール純減して、約1億2267万から1億2240万ヘクタールとなった。現在の1人当たりの耕地はわずか0.09ヘクタール余りだ。
実際にはここ数年来、耕地は毎年少なくても数万、多くて数百万ヘクタールずつ減少し続けている。国土資源部の関係者は「96年の耕地面積は約1億3071万ヘクタールだったが、この10年間で830万ヘクタール余り減少した。1人当たりの耕地面積も06年10月31日時点で、0.1065から0.0931ヘクタールまで低下した」と指摘。
このため政府は、耕地面積について1億2060万ヘクタールをレッドラインに設定し、これを下回ってはならないとの政策を果断に打ち出した。1億2060万ヘクタールは今後5年間にわたる法的拘束力を持つ指標であり、超すことのできないレッドラインとなる。
期待は「占用分だけ補充する」
耕地にレッドラインを設けるのは、実は今度が初めてではない。これまでにも何度が設定されたものの、結局はいずれも死守されることはなかった。そのために、人びとの死守しようとする自信がかなり削がれてしまったのは確かだろう。
96年に始まった第2期全国土地利用総合計画は、00年の耕地保有面積を約1億2998万ヘクタール、10年には1億2864万ヘクタールにすることを決定。そして、00年になってみると、保有面積は当時の設定ラインを109万ヘクタール下回って1億2888ヘクタールまで減少してしまった。そこで国は、第10次5カ年計画(00~05年)の1年目に再度、10年の目標としていた1億2864万ヘクタールを05年に前倒しして達成することにした。では結果はどうだったか。05年に全国で残った耕地は、1億2267ヘクタール余りだった。
ある専門家は、1億2060万ヘクタールのレッドラインを死守するには、耕地を農業以外の建設用地とした場合に、「占用分だけ補充する」原則を着実に実施することに力点を置くべきだと提言している。
土地管理法は、農業以外の建設のために耕地を使用する場合には「占用分だけ補充する」ことで、そのバランスを維持しなければならないとしている。05年を見ると、全国で土地の区画整理や再開墾、開発によって補充された耕地は約30万8200ヘクタールにのぼり、建設や自然災害で失われた耕地の総面積をおよそ4万1272ヘクタール上回った。第10次5カ年計画期間全体では、補充された耕地面積は全国で約143万3800ヘクタールに達して、同じような現象が見られた。
国土資源部が公布・施行した「全国土地開発整理計画」は、土地の開発や区画整理を行っても補充できる潜在的な耕地面積は全国でおよそ1346万ヘクタールある、としている。そのうち区画整理によるものは603万ヘクタール。再開墾によるものは約154万1000ヘクタールで、連結した土地の集中再開墾によるものは約40万8700ヘクタール。土地開発によるものは589万6000ヘクタール。
非農業建設用地に対して「占用分だけ補充する」原則を着実に進めれば、1億2060万ヘクタールのレッドラインは保証されるだろう。それには、この原則を着実に実施することがカギとなる。監督がしっかりとなされず、土地の違法な占有が摘発されなければ、その結果として「レッドラインがスプリングライン」に変じるのは必至だ。現在、地方では依然として違法な耕地の占用が見られるが、摘発については、関連する政府機関はその取り締まりにびくびくしているのが現状だ。そこに根絶できない理由が存在している。根本的な問題から手をつけることができなければ、違法な土地使用という悪習は止められず、1億2060万ヘクタールというレッドラインも絵に描いた餅に終わるだろう。
「北京週報日本語版」2007年6月29日
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