香港の復帰から10年。この間、中央政府は香港に常に関心をもち、さまざまな面でサポートしてきている。香港がアジア金融危機、SARS、経済不況などさまざまな困難に面した時、中央政府は人民元を切下げずにあくまで維持し、大量の医薬物資を送り、中国本土住民の香港における観光とビジネス経営を自由化させるなどの方策を取り、香港人と世界各国の投資者が香港に対する自信を強め、香港経済の回復と発展を促進した。
香港の金融危機克服のための有力な盾となった人民元為替レートの安定
1997年7月2日、タイバーツが暴落したことで、アジア史上最も深刻な金融危機が起こった。アジアの金融と商業の中心である香港も、当然のことながら巻き込まれた。
香港ハンセン指数は当時の最高位18000ポイントから1998年には6000ポイントに暴落した。香港の上場会社は1997年10月23日の一日で4335億香港ドルの損失、金融、不動産、貿易、観光の四大中堅産業も大きな損失を被った。これに対し、香港特別行政区政府は中央政府の強力な支持のもとで、断固たる措置をとった。政府は自由市場経済に関与しないという「慣例」を打ち破り、1100億香港ドルにあたる外貨基金を流用して一部の現地株式を買い上げ、香港の株式市場を守った。1999年第2・四半期になって、ようやく香港の経済は一年間余り続いたマイナス成長に終止符を打ち、回復に向かい始めた。2000年4月までに、特別行政区政府は流用した上場資金を回収し、等価の株券をもつようになった。中央政府は香港が苦境に陥った日々、援助の手を差し伸べ、人民元為替レートの安定を保ち、香港が金融危機を乗り越えるのを助けた。
CEPAの締結による香港経済の回復と発展
金融危機から最も早く回復し始めたのは観光業だ。中央政府が中国本土住民の香港訪問に対する制限を緩め、香港を訪れる中国本土の観光客が増えたためだ。
2003年は香港にとって格別な年だった。同年6月29日、「中国本土香港経済貿易緊密化協定(CEPA)」が香港で締結された。これにより、中国本土と香港の経済関係は大きな発展をとげ、香港の経済は金融危機やSARSの打撃を乗り越え、転機を迎えた。
CEPAは貿易、金融、サービス、観光などの分野に及び、中国本土と香港経済の一体化を促し、香港経済の回復と発展を進めた。
2004年1月1日のCEPA実施以来、中国本土は2年間で香港製品へのゼロ関税ベースを達成し、香港の製造業の発展を促した。このほか、香港のサービス業の中国本土進出の分野、範囲を拡大し、香港の国際金融・貿易の中心地、水運の中枢としての地位を高めた。
CEPAの締結と実施により、香港の発展は大陸の広い市場、快速に成長する経済と連携され、香港人の香港に投資する自信を強め、香港経済の見通しを明るくした。
中国本土住民の香港観光の自由化は、香港の消費市場を促し、就職の圧力を緩和し、香港社会の安定した発展に重要な役割を果たした。CEPA締結3年来、香港を訪ねる大陸の観光客は1700万人を上回り、消費総額は800億香港ドルあまりとなった。香港のホテル、小売り、飲食、運輸および不動産業は全般的に回復し始めた。
中央政府の指導者の香港訪問
香港復帰10年来、中央の指導者は繰り返し香港を訪問し、民情、民意を考察するなど、香港に寄せる関心は常に高い。
1997年7月1日、香港は百年にわたる植民支配の歴史を終わり、祖国に復帰した。当時の江沢民国家出席は李鵬国務院総理ら国の指導者を率いて香港の地を踏んだ。中国首脳の香港訪問はこの時が初めてだった。江沢民主席は香港で、世界の注目のもとで行われた中英の香港政権の引き継ぎ式、香港特別行政区設立および特別行政区政府の宣誓就任式、香港特別行政区設立祝賀イベントなどに出席した。
胡錦涛中国共産党中央総書記を始めとする新しい中央指導グループも、前の一代同様、香港に関心を抱いている。1999年6月、当時の胡錦涛国家副主席は香港復帰記念碑の除幕式に出席し、香港の各界と幅広く交流した。2003年4月、SARSが内陸と香港で蔓延したゆゆしい時期、胡錦涛国家主席は広東省を視察した際、深圳で当時の董建華香港特別行政区行政長官と会見し、「中央政府は香港住民の健康を高度に重視し、SARSの予防と対応に関心を持ち、疫病に打ち勝つよう全力をあげて香港を援助する」と示した。
2003年6月29日、温家宝総理が香港を訪問した際、SARSの被害が最も深刻な淘大花園(アモイガーデン)を視察し、SARS患者と治療に当たる医療関係者を見舞った。
2005年9月、曾慶紅国家副主席が香港を訪問し、香港ディズニーランドのオープニング・セレモニーに出席した。曾副主席は「『一国二制度』、『香港人による香港統治』という高度な自治の方針を導きとし、偉大な祖国を盾とする香港は、香港同胞の共同的努力と全国人民の強力な支持の下で、必ず長期的な繁栄と安定を保ち、より美しい香港を建設することができる」と述べた。
その10カ月後には、賈慶林全国政治協商会議主席が香港を訪問した。
2006年12月、呉邦国全国人民代表大会常務委員会委員長が香港を訪問し、各界と接触し、香港の喜ばしい変化に感嘆した。
曾蔭権香港特別行政区行政長官は「復帰10年来、中央の指導者たちの度重なる香港訪問は、中央政府の香港に対する関心の現われである。香港市民は指導者の風采に直接触れ、祖国に寄せる信頼と中央政府に対する自信が大いに強まった」と語っている。
「北京週報日本語版」2007年6月28日 |