記者 私達が知っているように、内陸部の経済の発展は非常に速いが、香港の国際金融、海上輸送、物流センターとしての地位は内陸部のいくつかの都市、例えば北京、上海、広州などに取って代わられるのではと懸念する声も聞かれる。曾長官はそれをどう見ているのか?それに対し懸念があるのか?
曾蔭権 この問題を答えるには、最も重要なのは香港と内陸部の都市との相違点を分析しなければならない。上海、北京、広州と比べて、香港は異なる発展期に異なる発展の重点がある。香港は国際金融センターであり、90%はサービス業であるが、広州、上海は一方では商業都市であり、最も重要なのは製造業、重工業の都市であり、香港の発展の方向と違っている。私は香港と北京、上海、広州との間にいかなる悪質な競争が存在する側面を見て取ってはおらず、私達の間に良質な協力がたくさんあり、特に香港は金融市場の面で内陸部の都市に寄与できる経験がたくさんある。
香港が国際金融センターとして、発展させているのは金融である。金融センターの発展はいくつかの特別な条件を必要とし、香港の法律制度、国際都市としての地位、かなり清廉潔白な公務員制度、自由港としての地位、完全に流通している貨幣、強い融資能力などを含むいくつかの条件は香港だけにあるものである。したがって、世界の最大手の銀行、保険会社はすべて香港に代表事務所を設けており、香港の金融市場は世界の上位6、7位にランクされている。昨年、香港の融資能力は世界2位に上昇し、すでにニューヨークを上回り、ロンドンに次ぐものとなった。さまざまな面から言って、香港の発展の方向は内陸部の都市のそれとは違うものであり、そのため、香港の発展とこれらの都市の発展との間には真っ向からぶつかり合う競争は存在しない。
同時に、香港とこれらの都市との間に大きな相互補完性があり、香港の金融事業は広州、上海、北京の発展にとってプラスの役割を果たしている。もちろん、いくつかの分野において、香港は内陸部の都市と競争できる。
香港の市場経済はたえず変化し、たえず国際市場の要求にもとづいて変わっている。香港の物流は海上の物流だけでなく、空輸の面においても大いに力を入れている。市場の要求、特に内陸部の都市の発展を含む外部の発展に伴って、香港もたえず変わっており、このプロセスは止まることはありえないものである。
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